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2009年06月20日
往時渺茫

La plume d’oie ©鵞毛庵 2007  能  善知鳥より (部分)

往時渺茫としてすべて夢に似たり
Des choses d’antan le reflet lointain n’a plus de consistance qu’un rêve


月探査機の「かぐや」から送られた地球の姿は目を見張る青さだったが、アポロの足跡の映像も送られて、ああ、あの日、双眼鏡片手に月を見つつ、実況中継を見ていたなァとぼんやり思い出しました。
これじゃ、うさぎさん、落着いて餅つきできませんな〜〜。

先日、三十年ぶりに幼馴染み数人と再会する機会があった庵主は、往時渺茫たる気持ちになるも、しばらくすると、みな、たちまち幼い頃の顔と声がよみがえり、夢ではない楽しいひと時を過ごすことができた次第。
しかし、人の記憶、それも子供の頃の記憶というのは曖昧なもので、同じことを話しているのに、食い違ったり、覚えていなかったりで、やはり往時渺茫であったかも。
投稿日 2009年06月20日 11:19:18
最終更新日 2009年06月21日 0:30:58
修正
2009年07月20日
ただいま準備中!

                  no subject



                    善福寺公園の睡蓮
投稿日 2009年07月20日 9:15:19
最終更新日 2009年07月20日 9:15:19
修正
処変われば祝日も...と、今日は日本は祝日だというのは、夕べ遅くに気付いた鵞毛庵。
梅雨明けが例年より早く、暑い毎日が続いていますが、皆さま、お変わりなくおすごしでしょうか?

東京で7月の風物といえば、入谷の朝顔市に浅草のほうずき市。その入谷から今年は朝顔や夕顔が三余堂にやって来ず、ちょっぴり残念。

先日、片付けの途中で鵞毛庵の母の蔵書の一冊を手にとってしげしげ眺めたのに「ヨーロッパの花の装飾文様」。日本語のタイトルと合わせてフランス語の原題付き。これは1896年にパリで刊行されたグラッセという人の監修による本を日本で覆刻したものでした。パリの本屋さんで時折見かけた本が家にあったとは!!
実際の花のスケッチとそれを文様、図案化された例が何点かづつ掲載されています。中には、あ、あれはこの花だったのか、などという発見も。

さて、その中に見つけたのが画像の文様。ひょうたん です。

          
                         処変われば

おお、これは夕顔の図じゃ。

能の「半蔀」でお馴染みの蔀にからむ夕顔の作り物を思い浮かべました。


処変われば

La plume d’oie © 鵞毛庵 2007 能「半蔀」 部分
頭文字の装飾は能「半蔀」の舞台の作り物より着想
画像をクリックすると大きくなります。

夕顔のことは三余堂が2006年10月に書いた記事で触れていますので、そちらを改めてご参照ください。

処変わっても似たようなもの。
投稿日 2009年07月20日 13:15:05
最終更新日 2009年07月20日 13:15:17
修正
2009年08月20日
  昨年7月には夏の風物として納涼でお化けのお話をした鵞毛庵ですが、今年は別の風物で、蝉。

  朝から夜遅くまで、ミンミン、じりじりと賑やかな蝉。この声を聞くと、ああ夏だァと暑さが増すものの、なんだかうれしい。

  と、いうのは、長年住み暮らしたフランスでは、南にくだらないと蝉が生息していないのでパリでは全く馴染みがなく、夏=蝉という方程式が成り立たちません。

  南仏に夏のヴァカンスで行った際には蝉の声がたっぷり聞けて一人ではしゃいで友人達に変な顔されたこともありました。蝉は南仏のプロヴァンス地方では夏の太陽いっぱいで幸せのシンボルとして置物や布のモチーフに使われているのに、普通のフランス人にとってはただの騒音で馴染みのない昆虫なのです


              夏といえば   と題して  夏といえば   と題して                    
                   Une douce brise s'élève du chant des cigales
                        La plume d’oie©鵞毛庵 2002   

                画像はクリックすると大きくなります。              

 花鳥風月シリーズとして2002年に書いた作品から「そよ風は蝉の声より起る哉」という小林一茶の句。芭蕉の句「閑さや巖にしみ入る蝉の声」も好きだけど、この一茶の句の閑かさも好き。

 しかし、ベランダのコンクリートの壁に鎮座して長いこと鳴かれると、ちと、うるさすぎるぞォ〜〜〜ッ、と、気分は仏蘭西人に。


夏といえば   と題して
投稿日 2009年08月20日 21:04:00
最終更新日 2009年08月20日 21:11:32
修正
2009年09月19日
ここ数日、能楽さんぽにアクセスできない状態で、皆さまには大変ご迷惑をおかけ致しました。申し訳ございません。

本日より、再開致しましたので、引き続きご愛読のほど、どうぞよろしくお願い致します。


            お詫び
          La plume d'oie(c) 鵞毛庵 2009   能「清経」
投稿日 2009年09月19日 9:36:48
最終更新日 2009年09月19日 9:36:48
修正
2009年09月20日
昨日小津和紙博物舗の文化教室でのカリグラフィーの一日講習の後、すぐ近所の三井記念美術館で「夢と追憶の江戸」 を見てきました。慶応義塾の高橋誠一郎浮世絵コレクションです。その多くが青や赤や黒がくっきりととても鮮明な色を保っています。

ちょうど先週末、中世ヨーロッパのレシピでゴールインクを作ろうというワークショップを開いた庵主ですが、その前の9月6日にテレビ番組
「ザ!鉄腕!DASH!」 で天然顔料の色を探すというのがテーマになっていました。昔の絵から赤、黄、青、緑、紫、白と黒の7色選んでその天然材料を見つけるというもの。そこで黒色は写楽の役者絵「市川蝦蔵」の髪の毛の「黒」。文献を紐解いたり専門家に聞いたりしてたどりついたのが「五倍子(ごばいし)」。おお、なんというタイミング!

いにしえの色  
三井記念美術館「夢と追憶の江戸」のパンフにある写楽の役者絵 まさにこの絵が[ザ!鉄腕!DASHI!」で黒と黄色、白の見本に選ばれていました。これが展示されるのはこの展覧会の後期


ゴールインクのゴールとは、英語で虫こぶのことを指し、ブナにできる没食子(もっしょくし)やヌルデにできる五倍子がそれにあたります。この虫こぶはタンニンを多く含み、それを抽出して、酸化鉄と合わせたものがインクになります。日本では古来から染料として五倍子を使っており、鉄漿(おはぐろ)の原料として知られています。ぬぬぬ?鉄漿とゴールインクは同じもの??そうなんです。染料以外に、没食子や五倍子は漢方薬としても使われていて、止血、止汗、下痢などに効能があるとか。(でもインクはくれぐれも飲まないように!)

ゴールインクの材料 硫酸第一鉄、粉砕された五倍子、丸いのは没食子いにしえの色

このインクは書き始めは薄めの色合いですが、時間が経つと鉄が空気に触れて酸化し徐々に濃くなっていきます。中近東あたりで発祥し、ヨーロッパには12世紀ごろ広まって、古文書の殆どがこのインクで書かれています。
本来は羽ペンで羊皮紙に書くところですが、19日付記事にも掲載した「清経」など普通の紙の作品にも庵主はこのインクを時々使用しています。


いにしえの色

La plume d’oie© 鵞毛庵 2007 能「葵上」部分

三井記念美術館の展示はなかなか見ごたえあり、いにしえの色をたっぷり満喫。

「土蜘蛛」、「安達原」など能の曲目を題材にした浮世絵もいくつかありましたが、題材として選ばれているだけで、どれもなぜかおどろおどろしいものばかり。「景清」も恐ろしい形相で...。
しかし、それはこれらの曲目や話が当時ポピュラーな題材だったということでしょうけれど。
投稿日 2009年09月20日 11:20:06
最終更新日 2009年09月22日 9:37:21
修正
2009年10月20日
 三余堂の先回の記事で隅田川のことを書いていますが、庵主は時代劇に出てくる大川ってどの川?と、よくパリで日本人に聞かれたものです。他県の人のみならず、東京出身の人にも聞かれたほど!隅田川のことだといとも簡単に答えていましたが、三余堂が語るように、隅田川の変遷はちとややこしい。

                          都鳥
 
                       能「隅田川」 La plume d’oie©鵞毛庵2009
                       (画像はクリックしてご覧ください。大きくなります。)

*この作品はポストカードにしたものを、26日に鎌倉能舞台で、当日の演目の狂言「茶壷」の作品とセットで販売いたします。 


在原業平の古歌に登場する都鳥はユリカモメのことらしいですが、ミヤコドリというカモメもいて、こちらもちとややこしいですね。一応、伊勢物語にある描写に近いものということで、この古歌に登場する都鳥はユリカモメに落ち着いている様子です。「都の鳥」ということで、東京都の鳥にもなっています。

カモメはパリのセーヌ川にもたくさんいます。あれが、都鳥、ユリカモメですよ、と言った日本人もいましたが、本当はどうなのか。

 
都鳥  こちらは地中海を眺めて物思いにふけるモナコの○○カモメ
何を「いざ言問はむ」?  

投稿日 2009年10月21日 11:27:14
最終更新日 2009年10月21日 11:28:14
修正
2009年11月20日
世阿弥の秘伝書
La plume d’oie©鵞毛庵2009
Un moyen de provoquer dans l’esprit des gens une émotion imprévue , voilà ce qu’est la fleur .
人の心に思ひも寄らぬ感を催す手立、これ、花なり。
世阿弥 「風姿花伝」 より
画像はクリックすると少し大きくなります。

  三余堂が何度かその記事で触れている世阿弥の秘伝書はフランス語に翻訳されています。世阿弥の書が発見されて今年で100年なのだけれども、フランス語訳が出版されたのは1960年のこと。すでに半世紀になります。
  その数年前の1957年にはフランスで初めて能が演じられました。これには庵主の父も参加しています。この公演は当時評判は高かったようですが、それは本当に理解されたからでなく、書物からの少ない情報しかなかった観客が、ただただその神秘的な雰囲気に圧倒されていたので、実はまったく理解できなかった、退屈したというのが正直なところだったと、世阿弥の秘伝書の翻訳者が前書きで語っています。

  そこで、日本でもずいぶん研究が進んできたし、これからはフランス人も能を実際に鑑賞することがより一層あるだろうから、演目のテキストの翻訳だけにとどまらず、芸術の理論家としての世阿弥を通して能楽を紹介する時期が来たと、能勢朝次などの著書をもとに風姿花伝等を仏訳することになったわけです。この翻訳が功をなしたかどうかは判りませんが、庵主がパリに住んでいた間に確かに能公演はどんどん盛んになり、チケットもすぐ完売するというほどにまで。


世阿弥の秘伝書

 画像の本が世阿弥の秘伝書の翻訳版 La tradition secrète du Nô (能の秘伝)。これは1985年に再版されたもので、庵主はその折に入手し、ちょっと年季が入ってきました。
なんだか表紙が内容と合ってないな〜〜〜と気になってましたが、1960年初版の表紙は千仏画、これは大凧の武者絵みたいで、フランスで日本っていうとどうしてこうなんでしょう? しかし、最新の再版の表紙は能面の写真に替わっていて、それが痩せ女の面っていうところがフランスっぽい。変なこだわりです。この変遷はなんとなくフランスにおける日本文化の浸透の一面を表しているような気が。 


世阿弥の秘伝書   
中はこんな具合。10月1日の案内望遠鏡に載っている本の画像とだいたい同じ部分にあたります。

  長きに渡り埋もれていた書物、震災や戦災による損失があったものがこうやって外国でも翻訳、出版されて後世に残るなどと知ったら、世阿弥はいったいどんな顔をするでしょうか....
投稿日 2009年11月20日 17:07:00
最終更新日 2009年11月20日 17:07:00
修正
2009年12月20日
   NHKの教育テレビで、今、久々に人形劇をやっています。アレクサンドル・デュマ原作の「三銃士」。これはダルタニアンという若者が田舎からパリに出てきて、フランス国王の銃士隊に加わり、さまざまな体験をして成長していく物語で、実は3部作からなり、「三銃士」はその一部目にあたります。最初は若者として登場するダルタニアンも、三銃士たちも老齢に達するまで長く話は続きます。もともと新聞小説としてスタートした長編時代劇です。何度も映画化されているし、日本ではアニメもありました。

   主人公のダルタニアンも三銃士も実在の人物で、ちょっと調べものをしていたら、ダルタニアン直筆の書を見つけました。1672年のものです。


羽ペン

   物語の中でも、密書やら手紙やらいろいろ登場しますが、当時は羊皮紙に羽ペンで書いていて、インクは9月に庵主がワークショップを行った酸化鉄インクです。
   当時の一般的な筆記道具であった羽ペン、削り方は覚えてしまえばさほど大変ではありませんが、エンピツを小刀で削るのと同様、得手不得手があるはずだし、字を読み書きする人でも、削るの苦手!という人がいたとしてもちっともおかしくありません。そこで、もうひとつ発見。17世紀には羽ペン削り器なるものが存在していたのです。 何やら調節できるようになっていて、一発で羽の先がペン仕様にカットされるとか。どのような構造になっているのか、写真では詳細は定かではありませんが、なかなか興味深いものです。
 パリにあるペンの博物館所蔵                           
   羽ペン
         拡大には画像をクリック

    羽ペンだと適度に柔らかく、細いラインの装飾のアラベスクなどが書き易く、メタルのカリグラフィーペンとは全く違った書き味です。
                                 羽ペン
La plume d’oie© 鵞毛庵2007 能「半蔀」部分
拡大には画像をクリック


いよいよ2009年も余すところわずか。
みなさま、今年も一年間ご愛読ありがとうございました。
どうぞよいお年をお迎えください。





投稿日 2009年12月20日 12:48:12
最終更新日 2009年12月20日 12:59:49
修正
2010年01月20日
  毎年恒例になっている御題に添ってのお書初め、今年は「光」です。


画像をクリックすると拡大されます。 光

Il n’y a pas de lumière sans ombre. Louis ARAGON
La plume d’oie© 鵞毛庵 2010

  「影なき光はない」。フランスの小説家ルイ・アラゴンの言葉です。確かに、光と影は表裏一体。光が当たっている裏側には必ず影があり、まるで影に支えられているようです。

  ヨーロッパの写本の装飾の技術では、単なる光と影以外に、もうひとつ、光の当たっている影というのがあります。光を直接浴びていず、かといって完全には陰になっていない箇所のことです。写本装飾の技法では、まず下地になる色をべた塗りして、次に影を重ねて塗り、さらに光の当たっている影、光と順番に重ねていきます。この三拍子揃わないと描くものが立体化されないのです。

光

スペイン 1398年〜1405年頃 カタロニアの写本から

  画像の写本のアカンサスの葉模様の青や赤をご覧下さい。影になっているところが一番濃く、お次は少し薄め、そして光が一番当たっているところを白でくっきり描いて立体感を出しています。
影がなければこの立体感は成立しません。

まさに影なき光はない世界なのです。


  能の面の表情が 演者のしぐさひとつで変わるのも、この光と影のなせるわざ。
投稿日 2010年01月20日 12:00:15
最終更新日 2010年01月20日 12:00:15
修正
2010年02月20日
   寒明け、立春あたりからものすごく寒くなり、東京でも雪が降り積もったりして、そう簡単に春はまだまだやってきません。でも、日脚も伸びてきたし、鳥の声も少しだけ軽やかになってきたような。

                       春はまだまだ

                      能「老 松」より  梅の花笠春も来て縫ふてふ鳥の梢かな
La Plume d’Oie © 鵞毛庵 2007
Ô fleurs de prunier,coiffure que porte à sa venue le printemps,
Et que l’oiseau, dit-on, tresse à travers les branches

画像はクリックすると大きくなります。

  この書体、ちょっと見慣れないものだと思います能楽さんぽの記事でも以前にご紹介したメロヴィンガ朝(481〜751年)の頃の書体です。小文字しかない書体で、一文字づつ一応決まった形はあるものの、単語や文章になると崩されて繋がって文字が変化してしまうという厄介な書体です。現存する写本がとても少ないのですが、とても有名なのはフランスのLuxeuilリュクソイユの写本というのがあり、それがこの書体のモデルになっています。

春はまだまだ  
7世紀末のリュクソイユの修道院の写本の部分(パリ国立図書館蔵)
リュクソイユの修道院は4世紀にアイルランドの僧侶聖コロンバンによって創立
投稿日 2010年02月20日 1:00:00
最終更新日 2010年02月20日 1:02:56
修正
2010年03月20日
ただいま編集中につき、しばしの間、お待ちくださいませ。

今月の案内望遠鏡で登場した三余堂のクロッカスはただいま花盛り。


しばしの間

そしてこちらの画像はサフランのめしべ。水にひたすと黄色くなります。スペイン産のもので、料理にも使うし、写本装飾にもと思っていても、ずっとこの小瓶にとじこもったまま鵞毛庵のアトリエに鎮座しています。
フランスでは春真っ先に咲く花にミモザ、黄水仙、れんぎょうなど、黄色の花が目立ちます。

ミモザ/パリの花屋さんで  しばしの間

日本では、今か今かと桜を待つ季節。
投稿日 2010年03月20日 18:16:31
最終更新日 2010年03月20日 18:16:31
修正
  今の時期になると、本当に日本人はみなソワソワ。桜がいつ開花するのかが重大事です。いつだったか、フランス人に日本ではテレビや新聞で桜の予報が連日報道されるんだって?と聞かれたこともありましたっけ。

   先日、鵞毛庵は木挽町で満開の桜を愛でて来ました。と、いうのは、歌舞伎座で桜門五三桐(さんもんごさんのきり)を幕見で観劇。ご存知天下の大盗賊石川五右衛門が南禅寺の山門の楼上で煙管をくゆらせながら、絶景かな、絶景かなと京の都の爛漫たる桜を愛でるシーン。たった15分足らずだけれども、歌舞伎の形式美がぎゅっと凝縮された豪華な舞台です。桜が咲き誇っているところに本当に自分もいるような気分に。

   昨年から鎌倉能舞台主催の「能を知る会」の公演の際、演目に合わせた作品をポストカードにして会場で販売させて頂いており、来月は道成寺。今までも道成寺は何作か書きましたが、今回は新作をと思索中で試作中です。
ほんの一部をば。


                      La plume d’oie©鵞毛庵2010 桜はまだかいな

入相の鐘に花ぞ散りける。石川五右衛門のせりふにもありました。

  今年は能の花シリーズと並行して、フランスのシャンソンをいくつかシリーズで制作。5月にシャンソンのコンサートと共に発表する予定になっておりますので、それはまた改めてお知らせいたします。乞うご期待!

投稿日 2010年03月20日 22:30:53
最終更新日 2010年03月20日 22:30:53
修正
2010年04月20日
  先日は4月も半ばを過ぎての東京での雪。昭和42,44年の4月以来、遅い雪の観測史上1位の記録だとか。衣替えが全くできずにどなたも苦労されていると思いますが、確か7,8年前のパリもそうでした。その年は一年の3分の2は殆ど同じ恰好をして過ごし、気持ちが滅入ったものでした。やれやれ。

  しかし、暖かくなくても暦はどんどん先に進んでいるわけで、あちこちで鯉のぼりを見かけるようになりました。木々もどんどん芽吹いています。そう、もうすぐ五月なのです。五月は日本では風薫るなどといって気持ちのよい季節なのですが、パリも五月が一番美しいとされています。すずらん、リラ、マロニエの花、藤の花がいっせいに咲いて、軽やかな空気に。


美しい季節に 藤やマロニエ満開のパリの街 美しい季節に


  その美しい五月のパリにちなんで、シャンソン歌手の小倉浩二さんとジョイントで「五月のパリが好き」と題して5/21〜5/23の3日間展覧会を催すこととなりました。今回は「能の花」シリーズはちょっとお休みして、シャンソンを描きます。日本でも馴染み深い歌を中心に、原曲の歌詞からイメージした作品を準備中です。5/22(土)にはシャンソンのコンサートもありますので、是非お出かけください。 

                   美しい季節に  

          「J'aime paris au mois de mai」 2010(c)La plume d'oie 鵞毛庵
            画像はクリックすると大きくなります。 

  五月のパリが好き
            J’aime Paris au mois de mai
  
  
  五木田摩耶 カリグラフィー展 シャンソンを描く
  小倉 浩二  シャンソン コンサート
  展    示  2010/5/21(金)〜2010/5/23(日)  
            13時〜19時(最終日は17時まで)
  コンサート  2010/5/22(土) 
            17時、19時 2ステージ 1ドリンク付¥3500
  会   場  カフェ&ダイニング イマーゴ
   
  
        東京都文京区千駄木3-48-2  TEL 03-3827-0881    営業時間 12:00-22:30 水曜定休

        ★交通 
         地下鉄 千代田線 千駄木駅下車 2番出口より徒歩5分
         JR山手線 西日暮里下車 徒歩5分
         いづれも道灌山下(どうかんやました)方面へ


コンサート等、お問い合わせはイマーゴ、または鵞毛庵、小倉さんogurin☆fruits.jpまで。(☆を@に替えてください)

  会期中、フランスの学校で教える筆記体の無料体験を致します。会場にお手本をご用意しますので、エンピツやボールペンなど普段に使う筆記用具で、英習字とはちょっと違うフランススタイルの筆記体を気軽に体験していただけます。


  「五月のパリが好き・J’aime Paris au mois de mai」(ジェィム パリ オーモワドゥメ♪)は、シャルル・アズナブールの軽やかな歌です。早く季節らしい陽気がやって来ますように!
投稿日 2010年04月20日 11:55:26
最終更新日 2010年04月20日 12:12:34
修正
2010年05月20日
          五月のパリが好き!

いよいよ明日から「五月のパリが好き」が始まります。
今回は「能の花」シリーズはちょっとお休みして、シャンソンをテーマに描いています。
 五月のパリが好き           
J’aime Paris au mois de mai  
  
  五木田摩耶 カリグラフィー展 シャンソンを描く
  小倉 浩二  シャンソン コンサート
  展    示  2010/5/21(金)〜2010/5/23(日)  
            13時〜19時(最終日は17時まで)
  コンサート  2010/5/22(土) 
            17時、19時 の2ステージ  

1ステージのみでも、2ステージでも料金は¥3500で1ドリンク付です。

展示作品と歌の解説などを交えたトークショーも予定  
  
  会   場  カフェ&ダイニング イマーゴ     
        東京都文京区千駄木3-48-2  TEL 03-3827-0881    
        営業時間 12:00-22:30 水曜定休
        
★交通 
         地下鉄 千代田線 千駄木駅下車 2番出口より徒歩5分
         JR山手線 西日暮里下車 徒歩5分
         いづれも道灌山下(どうかんやました)方面へ

コンサート等、お問い合わせはイマーゴTEL 03-3827-0881 、または鵞毛庵、小倉さんogurin☆fruits.jpまで。(☆を@に替えてください)

  会期中、フランスの学校で教える筆記体の無料体験を致します。会場にお手本をご用意しますので、エンピツやボールペンなど普段に使う筆記用具で、英習字とはちょっと違うフランススタイルの筆記体を気軽に体験していただけます。

こちらがその筆記体。
フランスの小学校で教える書き方です。五月のパリが好き!

英語とはちょっと違った書き方、お試しください!

投稿日 2010年05月20日 3:46:42
最終更新日 2010年05月20日 13:57:30
修正
2010年05月24日
「五月のパリが好き」の展覧会はおかげさまで無事終了いたしました。

とても暑かったり、雨でお足元が悪かったりした中、お出かけくださいました皆様、どうもありがとうございました。

シャンソンとの企画も大変好評を得て、コンサートも盛会でした。

能の花シリーズとは雰囲気が違うとのご意見も。
やはりもとからフランス語のものを書くのは違うのでしょうか??

お運びいただけなかった方に、好評だった作品の中から少しご紹介いたします。


(c)La plume d'oie 鵞毛庵2010 展覧会のご報告

セ・シ・ボン C'est si bon  イヴ・モンタンYves Montand 1947年の歌。

 あてもなく腕を組んで歌いながらどこかに行くのは、すごくいい。
なんていいんだろう、甘い言葉を互いに交わし合うのって、どうでもいいことをだらだらと.....なんていいんだろう、二人が愛し合えば、理由なんかいらない、だってすごくいいんだから、だって、すごく、すごく セ・シ・ボン!


展覧会のご報告 (c)La plumed'oie 鵞毛庵2010

パリの空の下  エディット・ピアフÉdith Piaf の歌。
1954年の映画La Seine coule à Parisの挿入歌。

パリの空の下、セーヌが流れ、歌が飛び交い、恋が生まれ、恋人たちで溢れるパリの歌です。


展覧会のご報告 (c)La plume d'oie 鵞毛庵2010 

忘れじの面影 Tous les visages de l'amour シャルル・アズナブールCharles Aznavour 1974年の歌。

イギリスのTVドラマSeven faces of woman(七つの顔を持つ女) の主題歌として作られたもので、その折の原題は「She」。歌詞も英語です。その後、フランス語の歌詞がつけられました。
1999年、映画「ノッティングヒルの恋人」の主題歌としてエルビス・コステロElvis Costelloがカバーしてリバイバルヒットした歌です。

君はいつも違う魅力に溢れ、いったい誰なのかちっとも判らない、顔も様子も頻繁に違うから、年がいくつだろうが、なんと言う名前だろうが、天使だろうが悪魔だろうが、僕にとっては代わるがわるどれも愛おしい顔。

つづく....



投稿日 2010年05月24日 12:34:39
最終更新日 2010年06月01日 11:40:06
修正
2010年05月29日
今回は和紙を使った作品も。
                      展覧会のご報告  2   セ・フィニ La plume d'oie(c)鵞毛庵2010

邦題には「なげき」とされていることも。自分の下を去っていってしまった女性を後悔している男心の歌。展覧会のご報告  2 恋心 La plume d'oie(c)鵞毛庵2010

恋なんて〜なんになるの〜で有名な歌。原曲では恋なんて売れない、買えない。AMOURを燃やして破ってコラージュしたのは中国の紙。
愛の賛歌 La plume d'oie(c)鵞毛庵2010   展覧会のご報告  2
神が愛し合う者たちをめぐり合わせる 

この歌は本当はとっても激しく悲しい歌なのですが、日本での一般的なイメージがどうも違い、結婚式などで歌われることが多いとか。実は、不倫の恋から生まれた歌で、たとえ何がどうだっていい、愛し合う二人を神様がめぐり合わせてくれたんだから、ということなのです。

今月は能の花シリーズとはちょっと違ったものを、先日の「シャンソンを描く」シリーズからご紹介しました。
投稿日 2010年05月29日 12:54:02
最終更新日 2010年05月29日 12:58:00
修正
2010年06月20日
                  アカンサスの花が咲いた!


   こちらの記事でも何度か話題に取り上げているアカンサス。コリント式の柱の柱頭の飾り、ヨーロッパ中世の頃の写本の装飾の葉模様のアラベスク、そしてシルクロードを経て日本までたどり着いた唐草模様の原型です。

アカンサスの花が咲いた!

La plume d’oie©鵞毛庵2009  部分
Un moyen de provoquer dans l’esprit des gens une émotion imprévue , voilà ce qu’est la fleur .
人の心に思ひも寄らぬ感を催す手立、これ、花なり。
世阿弥 「風姿花伝」 より

 ↑ こちらの作品の葉模様がアカンサスをデザインしたもの。

今、ちょうど花盛り。鵞毛庵アトリエのすぐ目と鼻の先に、玄関先にアカンサスが植わっているお宅を発見してびっくり。日本でもこんなところに普通にあるなんて!葉っぱは常緑なので、いつ花が咲くか密かに楽しみにしていた鵞毛庵です。


                           アカンサスの花が咲いた!                       

アカンサスについてはこちらをどうぞ。
投稿日 2010年06月20日 0:23:01
最終更新日 2010年06月20日 0:23:01
修正
2010年07月20日
  先日の三余堂の記事で葦について触れていたので、鵞毛庵が使っている南仏産の葦のペンをご紹介した次第。今回はもう少しその葦のペンのお話をば。

  この葦のペンをカラムqualamというのですが、その語源はギリシャ語で葦を意味する言葉。現在ではアラビア語やトルコ語などではペンや筆のことをカラムといいます。湿地帯に多く育つ植物ですから、ナイル河、チフリス・ユーフラテス河流域から広まっていったと思われます。その古代においてはさらに広範囲に渡って筆記用具として使用されていましたが、ヨーロッパでも羽ペンが定着するまではパピリュスや羊皮紙にカラムを使って字を書いていました。ルネサンス期の人文主義者達もまだカラムを使っていることが多かったようです。

  南フランスには湿地帯に暖竹といわれる葦の一種が密生していて、そのカラムがこちら。そのほか、竹のカラムも使われています。これはアジア産が主流になっています。

葦と竹のカラム。こうやって写真でみると違いが判りづらいですが。。。。


カラム


実際に生えている根元も竹のようで。。。。


葦のカラムで書いた作品。

                             カラム

                     能 「邯鄲」より La plume d’oie(c) 鵞毛庵2003

                        百年の歓楽も命終われば夢ぞかし
                    Cent ans fussent-ils de joie et bonheur
                    quand la vie s'achève ne sont plus que songe

書体はリュスティカというローマ時代のものなので、カラムを使用。

*作品の画像はクリックしてください。少し拡大されます。
投稿日 2010年07月20日 0:52:18
最終更新日 2010年07月20日 0:53:16
修正
2010年08月20日
読書の秋に....なんて、まだまだ猛暑が続いていますが。

24日から東京の吉祥寺にあるPARADA(パラーダ)で開催される「PARADA書店」という企画に参加します。
本をテーマにした企画展で、大勢の作家が参加しています。

鵞毛庵は豆本三種類と蔵書票を出展・販売。

豆本は「巴里の思い出」という写真とカリグラフィーとエッセイ、五月に展示したシャンソンシリーズから7曲選んで作品にコメントを付けた「シャンソンを描く」の二種に、1冊づつ手書きでデザインの異なる「魔法のアルファベット」は折本タイプでケース付、各10冊づつ出展。

                   読書の秋に

蔵書票はデザインは二種類。カラーとセピアバージョンの魔法のアルファベットシリーズの柄と、ゴティック風のアカンサスの葉模様。

読書の秋に

日本では書物はもとは和紙だったので 蔵書印の方がなじみですが、西洋の蔵書票またはラテン語でEXLIBRIS (エクスリブリス)は、本来は版画で作られ、蔵書する人の名前や、紋章、ゆかりのあるもの、好きな格言などを取り入れるのが正式。でも今回は誰でも名前や日付など自由に書き込んで使えるようにデザインしました。

著名な作家のデザインによる蔵書票になると、本来の蔵書票としてよりも、最近ではこれだけで美術品として収集されていることの方が多いようです。

さらにこの頃話題になっている電子書籍の出没で、ますます蔵書票の存在があやうい。 

蔵書票なんか貼るような立派な本なんか持ってないなァ...という声が聞こえてきそう。

そんな格式ばらずに!

鵞毛庵はパリから大切に持って帰ってきた、ちょっと古ぼけてきた



「天才バカボン」


にも貼ります。


投稿日 2010年08月20日 2:43:37
最終更新日 2010年08月20日 2:43:37
修正
2010年09月20日
今年の十五夜は今月22日です。
猛暑に残暑で、え?もうお彼岸?もう中秋の名月?という感じですが。

統計からみるに、十五夜がきれいに見える確立はかなり低く、曇っていることが多いのは、この季節、台風が多かったりするからだそうな。

この中秋の名月をお祝いする風習は平安時代頃に中国から伝わったもので、中国では今でも中秋節として大いに賑わいます。その一つが月餅を贈る慣わし。毎年この時期になると商店のかなりのスペースが中秋節の特設コーナーで占められて、パリの中華街も大賑わいでした。どれにしようか吟味している人達の真剣なことといったらありません。

中秋の名月はいかに    月餅の缶 月に住むという仙女が描かれている  

日本のお中元やお歳暮のように、日頃からお世話になっている人などに缶入りの月餅を贈るのです。これは中国がモンゴルの支配下にあった元朝の時代にさかのぼります。


臥薪嘗胆の頃には、まだ月餅は贈り合ってなかったわけですな。


言動や集会の自由を束縛されていた中国人たちが、どうにかしてモンゴル人から政権を奪い返そうとし、宋朝時代の指導者が中秋節が近づくことに目をつけ、中国には昔からこの時期月餅を贈り合う風習があるのだとモンゴル人の支配者に作り話をでっちあげたとか。そしてまんまと許しを得て月餅を作り、その中に中秋の満月の夜に反乱だというメッセージと反乱の計画を忍ばせで兵士全員に贈ったのです。中秋の満月の夜、見事不意討ちに成功し、その武勇伝から中秋に月餅を贈ったり食べたりするようになったと言われています。

元々農作物で丸い月を模して作られた月餅は、この武勇伝から団結の象徴、家族の絆ということにもなり現在でも家族、親戚、そして友人やお世話になっている人に月餅を贈る習慣が続いているのだそうな。

ヨーロッパでは月を愛でるという習慣は東洋ほどなく、しかし、妖しい月光にはかなり興味はあるようです。美しいというよりは何か邪悪だったり陰湿だったりするイメージの方が多いかもしれません。2007年の御題が「月」だった時に、それをテーマにお書初めをしようといろいろフランス語のテキストを探したら、出てくるものは暗くて妖しいものばかり。そんな中から、やっと見つけたのがジャン・コクトーの「月は彫像の太陽である。」という言葉でした。


La plume d'oie (c)鵞毛庵2007             中秋の名月はいかに

La lune est le soleil des statues.  月は彫像の太陽である   ジャン・コクトー  
画像はクリックすると少し大きくなります。

さてはて今年の名月はいかに?
投稿日 2010年09月20日 0:39:19
最終更新日 2010年09月20日 0:44:50
修正
2010年10月20日
   あちこちで見かけるハロウィンの飾り。今年は結構板についてきてるかな?と思われるような、秋の自然の光景のようにも。鵞毛庵のカリグラフィーレッスンの教材にも欠かせません。

                       悪霊漂う (c)La plume d'oie 2010

   そもそも、このハロウィン、なんぞや??と思われる御仁も多いことと察し、簡単に解説をば致しましょう。

   もともとは異教徒の民間行事だったものが次第にケルト人の行事とつながっていったもの。ケルト人とは今でいうところのアイルランド周辺に居住していた民族で、フランスでもブルターニュ地方という北西のあたりに住んでいました。
   このケルト人にとって、10月31日というのは一年のおしまい。その年の収穫を感謝するお祭りでもあったわけです。そして、この一年の締めくくりの日に、死者の霊が家族のところに訪れるとか、あの世とこの世の間の門が開いて行き来が自由になり、精霊や悪魔がやってくるいう、と、こう聞くと、まるで日本のお盆のような。

   日本の場合は道しるべに火を焚いて、乗り物(お迎えには足の速いキュウリのお馬さんやら、帰りにはゆっくりのナスの牛さん)をご用意するのですが、ケルト人はそうではない! 

   精霊や悪魔に襲われてしまったり、死者に魂を吸い取られたりと、物騒です。そのため、魔よけとして仮面を被ったり、お迎えじゃなくて追っ払うために火を焚いたりしていたわけです。そこへ7世紀初頭キリスト教の伝播により、民間行事が宗教的にすりかえられていきました。キリスト教では11月1日は諸聖人の祝日で、その翌日が死者の日。10月31日は諸聖人の祝日の前夜祭ということで、英語のAll Hallows Eveから転じてHalloween ハロウィンと呼ばれるようになり、アイルランドを中心にアングロサクソン系の人達の間で行事として残っているのです。

    子供達がtrick or treat! お菓子かいたずら!といいながら人の家を訪ねるのは、古いケルトの風習では死者に食べ物やワインを施すというのがあり、キリスト教徒は死者の日に物乞いをして、その見返りに死者の天国への道を助けるお祈りをするという習慣あったことに由来するようです。

    そしてカボチャのランタン。これはある性悪な男の悲しい顛末。その男が死に際して天国の門へ着いた時、番人である聖ペトロをだましてこの世に甦り成功!さらに悪さを続けたので、再び天国に現れた際に聖ペトロの怒り爆発。
 聖人でも怒るんですな。

天国も地獄もダメ、ただひたすら暗闇に彷徨っていなさい!ということに。それを悪魔が哀れんで燃える石炭を一つ明かりとして分け与えたという話がもとになっています。悪魔の方が慈悲深い。

この明かりが夜な夜なちらりと見え隠れ。ひゅ〜どろどろ。

それがカボチャ(本来はカブだったとか)のランタンへ。
ちょうど季節の野菜なこと、種は炒って食べ、実はスープやケーキなどにと、無駄がない応用なのです。

    フランスでも10数年前に一気に導入を試みましたが、見事沈没! 商業ベースに便乗して云々と相当批判されて、今ではディズニーランドでの秋のイベントぐらいでしょうか?

    日本だと、秋には紅葉の戸隠の鬼女。そうでなくとも能の演目には精霊、亡霊、怨霊と季節を問わず頻繁に出没します。くわばら、くわばら。

悪霊漂う
狂言「武悪」  La plume d’oie(c) 鵞毛庵 2010

主人を脅かそうと亡霊になりすます死んだはずの奉公人武悪。

やっぱり生きてる人間が本当は一番怖い?!
投稿日 2010年10月20日 0:58:19
最終更新日 2010年10月20日 0:58:19
修正
2010年11月20日
  今年は18日が第3木曜日。ボジョレー・ヌーヴォー解禁日です。相変わらず日本では人気があるのか、もう定番になりきってしまったのか。時差の具合でどこよりも早く飲めるというのが、みんなの気を引いてるのか。。。。

  以前はパリでも結構賑わってました。カフェやレストランには必ず賑々しく用意されていたのだけど、最近はさっぱり。レストランは仕入れてもお客さんは注文しなくなってしまったようです。 ある年には、友人が近所の酒屋さんで買えるだけ違う種類のを集めて飲み比べなんていうのもやりました。が、これもやはりこの日だけの御しるしといった感じ。


                   11月の第3木曜日  
                   ずらっと並びました。2008年Paris

新酒というだけでなんでこんなに騒ぐのやら。

  今年は価格を抑えるためにペットボトル入りまで登場。しかし、やはりフランスではこれは承認されないらしい。一応ボジョレーという銘柄なんですから、容器が透明のプラスチックってな訳にはいきません。価格抑えるって、フランスではどっちみち、ボジョレー・ヌーヴォーは安いワインなんです。¥500でおつりが来るくらいなんですから。それが飛行機に乗って日本までやってくるので、どうしてもお高くなってしまうのです。

飲んでしまえばあっという間におしまい。
酌めども尽きぬ、というわけにはいきませんね〜。


11月の第3木曜日  能 「猩々」 La plume d'oie (c)鵞毛庵 2009
投稿日 2010年11月20日 2:58:20
最終更新日 2010年11月20日 3:01:33
修正
2010年12月20日
  山茶花の咲いた垣根(いや、単なる塀ですな)を見ると、あの有名な「たきび」の童謡を思い出しますが、昨今、日本では落葉をかき集めての焚き火は環境問題やらなんたらで見かけなくなって、パチパチっと音がしたり、煙たい匂いがしたりしない。お芋を埋め込んでいるらしいと、どっかから良い匂いがしたんだけど... おててがしもやけなんて子も見かけないしなァ。

  フランスでもパリのような都会では焚き火は見かけないけれど、暖炉がまだ使えるアパートは結構多いので、煙突から煙が出ていると時折煙の匂いがします。冬の匂い。



              焚き火
La plume d’oie(c) 鵞毛庵 2010  能 鉢木 より

「鉢木」についてはすでに三余堂の記事がありますのでこちらをご覧ください。  

東京はやっと12月らしく寒くなってきました。
例年よりも暖かなので、もうすぐ冬至だなんてちょっと信じがたい感じもしますが、世の中はすっかりクリスマスだし。年の瀬も押し迫って来ました。

そこでひとつお知らせです。


鵞毛庵は年明け1月にいろいろなアーティストのグループ展に参加します。二ヶ所ですが出品作品は同じものです。

ちいさな絵 matsuri   於 ギャラリーK
1/9(日)〜1/18(火) /12(水)休廊 11:00〜18:00 初日12:00より、最終日16:00まで)
越谷市瓦曽根3-7-7 小柳ビル3F TEL&FAX 048-947-9135
オープニングパーティー9日16時より

大きな夢 小さな絵 展  於 神楽坂セッションハウスガーデン
1/21(金)〜1/30(日) 12:00〜19:00  最終日 17:00まで
新宿区矢来町158 セッションハウス2F TEL 03-3266-0461 FAX 03-3266-0772 
21日オープニングパーティー

見て楽しむカリグラフィーの小さな小さな作品を10点ばかり出品予定です。
鵞毛庵はどちらも初日には在廊しております。

今年も一年、「能楽さんぽ」のご愛読、どうもありがとうございました。
みなさま、良いお年をお迎えください!


焚き火 東京のホテルに飾られたクリスマスツリー  
投稿日 2010年12月19日 23:59:50
最終更新日 2010年12月19日 23:59:50
修正
2011年01月20日
  昨年12月の鵞毛庵の記事でお知らせしましたが、東京の神楽坂のセッションハウスガーデンで開催される「大きな夢 小さな絵」展に鵞毛庵が参加します。大勢の作家が参加する小さなサイズの作品のグループ展。8〜10点展示します。サイズの指定以外は自由ですので、鵞毛庵はテーマに今年の御題の「葉」を選びました。御題というのは、宮中の歌会始(毎年宮中で行われるその年最初の歌会)のテーマで、毎年宮内庁で選ばれています。

葉っぱ、葉っぱ、と思いをめぐらし、ふと頭をよぎったのが

青いは葉っぱ、葉っぱは揺れる

♪いろはに金平糖、金平糖は甘い♪です。
が、これ、時代や場所でいろいろなバージョンがあるようで、鵞毛庵の知っているバージョンは 「カエルは青い」から続き、「揺れるは幽霊」に繋がっていきます。終わりは必ず「光るはおやじの。。。。」。

というのは、余談なり。

  さて、今回の小さな作品には、「葉」にまつわる諺など、いくつか選んでみました。


葉っぱは揺れる La plume d’oie 2011© 鵞毛庵  Vin, bois de deux, de trois feuilles

フランス的と選んだのが  ワインの木は2年、葉は3年... ワイン用のブドウの木は2年で再生、葉は3年で再生するという意味。 木のパネルに直接描いてみました。ローマ時代の古い書体をアレンジしてデザインしてあります。次の作品も同様のアレンジ。

  La plume d’oie 2011© 鵞毛庵                 葉っぱは揺れる     
              
 Avec le temps et la patience, la feuille du mûrier devient de la soie.
  時間と忍耐があれば桑の葉は絹になる


墨で筆書きの書体はオリジナルのアレンジです。

先回の三余堂月次に掲載した作品も同じ内容の文面。
小学生の時に教室で大事に育てた蚕を繭玉にし、細い絹糸を取った経験のある鵞毛庵ですが、この諺は広く中国からペルシャまで似たようなものがたくさんあり、まさにシルクロードです。
           


葉っぱは揺れる  La plume d’oie 2011© 鵞毛庵
                   
                   N’aille au bois qui a peur des feuilles    葉を恐れるなら森に行くべからず

こちらは4cm角ほどの小さな作品。和紙をコラージュ(貼って装飾)してボリュームを出しました。
ちょっとでも疑わしいと思ったら近づくなという意味。さしずめ、揺れる葉っぱが幽霊に見える?


大きな夢 小さな絵 展  於 神楽坂セッションハウスガーデン
1/21(金)〜1/30(日) 12:00〜19:00  最終日 17:00まで
新宿区矢来町158 セッションハウス2F TEL 03-3266-0461 FAX 03-3266-0772 
21日17時よりオープニングパーティー
投稿日 2011年01月20日 1:20:19
最終更新日 2011年01月20日 10:05:52
修正
2011年02月19日
  先日は東京もいきなりの雪に見舞われ、一瞬にして辺り一面白妙の景色となりました。

                     ガリガリ

               ©2010 La plume d’oie 鵞毛庵  能「葛城」


  雪はさておき、題のガリガリ。昨年夏には大人気で売り切れ続出だったアレではありません!

鉄筆でガリガリと蝋引きされた謄写版の原紙を切る音です。故にガリ版という名を賜っていたわけで、なんとも懐かしいものに小津和紙で再会。
最近、和紙の博物館以外に公開を始めた特別展示室を、小津文化教室のカリグラフィーの講習会の折に見学しました。

今はもう作り手が絶えてしまった和紙などが展示されています。
その中で、おおおッ、これは!!と思わず声が出てしまったのが謄写版原紙。ロウ紙と呼ばれる薄葉紙は和紙だったと再発見。その薄葉紙にパラフィンなど塗ったものが謄写版の原紙です。

ガリガリ


原紙をやすりの板の上に乗せて鉄筆で文字を書くと、原紙を傷つけてロウ状の塗料が削れ その部分に細かな孔が開き透かしのようになります。そして木枠に網をかけたものの下に原紙を置き、ローラーでインクを押し付けると一番下に置いた紙に印刷ができるという仕組み。
電気が要らず、原紙とインクさえあれば印刷できるという手軽さから、日本では学校での印刷物のほか、同人誌、チラシなどいろいろなものに随分と活用されました。

鵞毛庵も中高生の頃、部活の資料づくりなどで鉄筆を手によくガリを切りました。思い起こせば、あの頃の授業で配られる資料や試験の問題用紙などすべてわら半紙にガリ版。

日本でガリ版が大いに普及した理由のひとつに、文字の数。アルファベットに比べて、漢字、ひらがな、カタカナと、今風に言うと「半端ない」。ああ、言っちゃった!この言葉もいずれの日にか辞書に載るのだろうか?

欧米のように活版印刷となると手間ひまかかり、費用もかかり、というわけで、お隣の中国でも同様にガリ版印刷が多く使われていたようです。

自分でガリガリやったものは手元に一つも残っておらず、それでも何かないかなと探して出てきた高校生の時の調理実習の資料。当時、世に出回り始めた電子レンジを使っての調理について書いてありました。なんでそんなものが、というのはさて置き、そこに書いてあったのは、

エレックする

これを思い出された方が読者の中にもいらっしゃるでしょうか?
ここにも先回の三余堂の記事にある「話し言葉の日本史」を垣間見たような...
投稿日 2011年02月20日 0:02:00
最終更新日 2011年02月20日 0:02:00
修正
2011年03月20日
蔵書票ってなんぞや?

   蔵書票とは、本の見返しに貼ってその本の所有者の名前を記す小さな紙片です。ヨーロッパではグーテンベルグの活版印刷の発明により、印刷された本が多く出回るようになったと同時期の15世紀半ば過ぎにドイツで蔵書票が誕生します。日本では中国の影響を受けて蔵書印が奈良時代にもたらされたとか。

    蔵書票は国際的にEXLIBRIS エクスリブリスといい、「〜の蔵書から」という意味のラテン語で蔵書票に必ず記載されます。そのほかに蔵書の持ち主の名前やゆかりの図柄、紋章、好きなものや格言などがほどこされています。当初は木版画が主流だったようですが、16世紀になると著名な芸術家達が手がけるようになって版画の技法もさまざまになり、ヨーロッパにどんどん広まっていきました。

日本では蔵書印が奈良時代にと前述しましたが、蔵書票は明治になってから紹介されて知られるようになりました。

    本来はその名の通り蔵書に貼るものですが、著名な芸術家のデザインによるものも多く、蔵書票自体が美術品としてコレクションされたり、蔵書票コレクターの間では交換による交流も盛んになっています。

    現在では版画に限らずあらゆる技法が用いられていて、鵞毛庵はカリグラフィーで蔵書票に挑戦。昨年夏に「PARADA書店」という本をテーマにした企画展に参加して蔵書票を出品しましたが、来る4月8日からは北浦和のアートプレイスKで開催されるEXLIBRIS展に参加することになりました。


                    蔵書票



読書にまつわるフランス語のテキストを織り込んだカリグラフィー作品や今年の干支にちなんだウサギが描かれているEXLIBRISなど原画と蔵書票とを展示、販売いたします。
また、鵞毛庵在廊日には、お買い上げ頂く蔵書票にはお名前やイニシャルなど直筆でお入れできる予定です。在廊日はまだ未定。決まり次第こちらでお知らせいたします!



<画廊企画>第一回EXLIBRIS展

書票協会所蔵の作品も展示されます。

2011年4月8日(金)〜4月17日(日)
11:00〜18:00 (最終日17:00まで)13(水)、14(木) 休廊
アートプレイスK
〒330-0074
さいたま市浦和区北浦和1-14-11 越谷ビル2F
投稿日 2011年03月20日 0:04:21
最終更新日 2011年03月20日 0:04:21
修正
2011年04月20日
ただいま編集中。


                     花筏

                   東京の石神井川にて 
投稿日 2011年04月21日 1:16:55
最終更新日 2011年04月21日 2:44:59
修正
北浦和のアートプレイスKにての蔵書票展は無事終了いたしました。

お運び下さった皆様、どうもありがとうございました。お求め頂いた蔵書票にお名前を入れるのは、おかげさまで好評でした。

今回の展覧会で「蔵書票」がどういうものなのか初めて知りました、という声をたくさん耳にしました。

書物もだんだんとデジタル化してゆく傾向ですが、きっと手元に大切な一冊、大好きな一冊があるはず。そんな本に名前を書いて是非蔵書票を貼ってみてください。


大切な本、大好きな本に

パリでずっと持っていた「天才バカボン」にも貼っています!

そして、

今月27日(水)から5月8日(日)まで、Book&...でも蔵書票をカリグラフィー作品の豆本などと共に展示・販売したします。お求め頂いた蔵書票にはカリグラフィーでイニシャルやお名前をお入れします。
Book&... 蔵書票・原画・Book Cover 栞。本が楽しくなる展覧会


ギャラリーUSHIN
4月27日〜5月8日  11:00〜17:00  (4月29日5月1日2日 休)

大切な本、大好きな本に

鵞毛庵は4月30日、5月8日は午後13時から在廊予定。また、5月3~5日のいずれか1日は在廊予定です。

※5月3日13時頃から在廊します!
投稿日 2011年04月21日 2:43:23
最終更新日 2011年05月01日 1:57:41
修正
2011年05月20日
  今月の案内望遠鏡に登場する、紙も筆もない時代の堅いものを引っ掻いた文字。ラテン語のアルファベットもそうでした。

「ABC」のような大文字書体をローマンキャピタルと呼びますが、これは引っ掻くのではなく、石に刻んだ文字。いくら今と違って読み書きが一般的なことではなかったとしても、これでは走り書きや簡単なメモというわけには......。したがってローマ時代にも、工夫されてもう少し書き易い書体がいくつかあります。

蝋板に金属の棒や葦のペンなどで引っ掻いて書いた書体や 壁に平筆状のもので書かれたもの、パピルスに葦のペンで書かれた走り書きのような草書体などいろいろあります。蝋板は蝋を溶かして平らに直せばあらたに何か書くことができます。
   

          
   ラテン語の古い書体

                      CODEXコデックスという本の起源のような、
                      蝋板を何枚かつなぎ合わせたもの。
                      皇帝ネロの時代(紀元37〜68)



    
                        ラテン語の古い書体
  
こちらはリュスティカRUSTICAと呼ばれる書体で、ポンペイの遺跡の壁に書かれたもの。現代のポスターの役目を果たしていたのでしょう。これも不要になったら上から塗りつぶして、書き直すことができます。

                     
  ラテン語の古い書体   (c)La plume d'oie           


「文字は言葉に時空を超えさせる」という、あるフランスの学者の言葉を作品にしようと思った時に、何か古い書体で書こうと思って選んだのがリュスティカ。
そしてバックには中国の青銅器にあった篆書をあしらっています。
リュスティカはローマンキャピタル同様、紀元前1世紀ごろから使われ始め、最盛期は4〜6世紀。
漢字の方がずんと古い!楷書は5世紀には完成しているんだ〜〜〜ッ。





投稿日 2011年05月20日 1:34:51
最終更新日 2011年05月20日 1:34:51
修正
2011年06月20日
ただいま準備中につき、しばしお待ちください。
                      no subject

                能 自然居士  2011(c)La plume d'oie 鵞毛案
投稿日 2011年06月21日 0:41:42
最終更新日 2011年06月21日 0:41:42
修正
2011年06月21日
今年も鵞毛庵の近所にあるアカンサスの花が咲いてます。
昨年の猛暑ではすっかり枯れて、へろへろになってちょっと心配した庵主ですが、冬の間に再生して、いつの間にか葉っぱは青々繁りました。
そしてただいま開花中。


あじさい




何度かこのブログでも記事にしていますが、ヨーロッパの中世の写本には装飾としていろいろな形や色にデザイン化されて頻繁に登場します。
アカンサスというのは、ギリシャ語の「とげ」が語源で、地中海沿岸が原産。ギリシャの国花。はっぱのぎざぎざから、別名、葉アザミというそうな。

このアカンサスの花が咲く時期は、ちょうど紫陽花の時期。今、あちこちでたくさん咲いているのを見て、写本の装飾にはいろんな花が登場するけれど、はて、紫陽花は見たこと無いな...と。フランスにも紫陽花はたくさん咲いているのに、昔はなかった?


                           あじさい
           
                           パリに咲いてた紫陽花

ということはアジアが原産? そうです、日本が原産でした。フランスにはフィリベール・コメルソンPhilibert Commerson という植物学者によってモーリシャス島から18世紀末にもたらされたとか。ですから、中世の写本の装飾に描かれるはずがありません。

あじさい


中世写本には存在しなかったけれど、1901年刊行されたセギーの「花とその図案化」には登場する紫陽花。

投稿日 2011年06月21日 2:54:22
最終更新日 2011年06月21日 9:54:34
修正
2011年07月20日
   先の三余堂月次で夏の涼に触れていますが、日本の夏の風物詩といえば「花火」。川開きで納涼を兼ねての具合から、花火大会といえば夏なのです。しかし西洋では必ずしも夏のものではありません。ヨーロッパは特に夏はなかなか暗くならないので、夜の11時ぐらいにならないと始められません。

   それでもフランスでは7月14日のフランス革命を記念した「国民の祝日」では全国で花火が欠かせません。
この日を日本では「パリ祭」と呼んでいます。

なぜそう呼ぶかというと...今ではネットで検索すればいっぱい出てきますが、庵主は高校生の時に、フランス語の勉強で通っていたアテネフランセのカフェテリアで、某大学の仏文の先生にそのわけを伺ったのでした。

    1932年のルネ・クレール監督のフランス映画「Quatorze Juillet」(原題:7月14日)が翌年の1933年(昭和8年)に日本で公開されたのですが、その時の邦題が「巴里祭」だったからです。だって日本でいきなり7月14日なんて言われても、誰もなんのことか判らないし、「革命」という言葉は避けたかったし、などなどから、輸入配給元であった東和の川喜多氏等によって「巴里祭」になり、そして映画も主題歌も日本で大ヒットしたそうな。


                  巴里祭

        巴里祭 La plume d’oie ©鵞毛庵 2011 
        映画「巴里祭」の主題歌  
*現在、甲府市内のレストラン「バールスロー」でシャンソンシリーズ「巴里祭に寄せて」を展示中。こちら


    さて、その巴里祭の花火。パリでは毎年7月14日の夜、エッフェル塔あたりで開催されます。今年はエッフェル塔のセーヌを挟んで向かい側にあるシャイヨ宮で行われました。シャイヨ宮は第一回万博会場だったところです。その花火大会の全容がパリ市の正式なビデオで見られますので、ご堪能ください。
35分間の花火のスペクタクル
    
今年のテーマは「ブロードウェイからパリへ」と題して、アメリカとフランスのミュージカルの名曲の数々をBGMにたくさんの花火が打ち上げられています。今年はずいぶんお金かけてるな〜〜。50万人以上の人出だったとか。

    日本では震災以来、ちょっと自粛ムードで花火大会は....と言われてましたが、隅田川の花火を始め、全国で行われるようです。


巴里祭

巴里祭  Paris-Amour  La plume d’oie ©鵞毛庵 2011

♪パリの街角では なにもかもが恋に染まる
投稿日 2011年07月20日 0:14:43
最終更新日 2011年07月20日 0:26:05
修正
2011年08月20日
                     世の中安穏なれ


29日からグループ展に参加します。

29日から銀座のあかね画廊にて。
中央区銀座4-3-14 筑波ビル2F  (並木通りです)

今回のテーマは親鸞聖人の「世の中安穏なれ」

''Peace and tranquillity prevail throughout the world''

''Que la paix et la tranquillité prédominent partout dans le monde''


その他、蔵書票展に出品した作品や、巴里際の作品も合わせて展示します。

小さい作品を沢山だしますので、是非お出かけください!

ただ今、制作奮闘中につき、とりあえずお知らせまで。

また、後ほど詳細等更新します


世の中安穏なれ

鵞毛庵は29,30,31日と最終日の9月4日に在廊しています。
投稿日 2011年08月29日 9:34:25
最終更新日 2011年08月29日 9:37:04
修正
2011年09月20日
   三余堂が新聞小説のことを書いていますが、新聞小説といえばなんたって19世紀フランス。1836年に新聞の購読者数を延ばすための策として連載小説を掲載することにしたのがきっかけだったのですが、日本でもよく知られているフランス文学の代表作であるアレクサンドル・デュマの「三銃士」や「岩窟王(モンテクリスト伯)」とか、バルザックの小説も新聞の連載小説でした。新聞の連載小説というジャンルが大衆化しているのはどうやら19世紀のフランスと日本が主だとか。

   鵞毛庵が日本に戻ってすぐに、NHKで「三銃士」の人形劇が始まり、毎週、なんとなくワクワクして見ていたのは、まるで連載小説の続きが待ち遠しい気持ちそのもの。そして、その人形劇につられて原書も読み返してみました。よく映像化される「三銃士」や「鉄仮面」の物語は実は長い長い三部作の小説のほんの一部にしか過ぎず、新聞に何年にも渡って連載されていたのですから、ポケットサイズの本でも分厚い! 従って完全読破には至らず... 

   などとグズグズしていたら、10月末からまたもや「三銃士」の新しいハリウッドの映画が公開されるではありませんか。


   ダルタニアンと三銃士を取り巻く陰謀やら策略やら、物語はじゅうぶん知っているけれど、またちょっとワクワクしている鵞毛庵です。


                     連載小説

物語は17世紀フランス。当時使われていたように羽ペンを削り、その頃に最も美しいとヨーロッパ諸国で賞賛されていたフランスのロンド(Ronde)という書体で Trois Mousequetaires(三銃士)と書いてみる。

が、なぜか今宵、久しぶりに手にしているのは「鬼平犯科帳」。こちらは「オール読物」という雑誌に掲載されていた小説です。
投稿日 2011年09月19日 23:59:57
最終更新日 2011年09月19日 23:59:57
修正
2011年10月20日
                        ようやく秋らしく...                  
               能 「紅葉狩」 ©La plume d’oie 2011


  暑さがぶり返したりしていますが、それでも季節は秋。
金木犀も終わりに近づき、日の暮れも早まってきました。紅葉はすぐそこに。そしてやがて枯葉へと。。。



ようやく秋らしく...
シャンソン「枯葉」©La plume d’oie 2011



今月28日から鵞毛庵(ラ・プリュム・ドワ)の近作展が始まります。

五木田摩耶 近作展

10月28日(金)〜11月1日(火)
14:00〜19:00 (最終日は18:00まで)


場所 カフェ&ダイニング イマーゴ ギャラリー

「能の花」シリーズや「シャンソンを描く」など近作、新作を展示いたします。
またラ・プリュム・ドワの教室作品展も行います。東京および近郊の各教室の皆さんの力作も合わせて展示いたします。どうぞお運び下さいませ。


ようやく秋らしく... ©La plume d’oie 2011

Abécédaire アルファベット集  教室受講生共同作品
投稿日 2011年10月20日 0:50:16
最終更新日 2011年10月20日 0:50:16
修正
2011年11月20日
   11月になると近所の八幡様に「七五三」の祈願受付が告知されますが、なんだか年々その姿を見かけない気が。やはり少子化なのでしょうか?でも、つい先日、若いお母さん達が、ドレス姿と着物姿で4,5枚撮影し、着物は自分の着たのを持ち込んで娘に着せたのだとか、いろいろおしゃべりしていたのが耳に入りました。うん、やっぱりちゃんとやってるんだ、と。

   そしてこの時期、あの、ボージョレーヌーボー。これも、以前ほど騒ぎじゃないのではと思いますが、それなりに盛り上がっているところを通りかかった鵞毛庵。試飲もできるとあって大賑わい。売るほうも買う方も、もっともらしいウンチクたっぷりで、それを聞いてるだけで下手な芸人の話より面白い!
そこに日仏カップルが通りかかって...フランス人のダンナ様、一瞥を投げかけただけで、試飲する奥様をせかしつつ、こんな若いワインなんかと試飲もせずに去って行ったのでした。鵞毛庵はさんざん試飲しただけで、やっぱり買わず。
 
   東京はなかなか気温が下がらなかったので紅葉も黄葉もいまひとつですが、繁華街はすっかりクリスマスモード。鵞毛庵も実はクリスマスモードにどっぷりです。


             毎年恒例の

ノエル展  

クリスマスをご一緒に。

11月23日〜30日
場所 神楽坂 セッションハウス・ガーデン
時間 11:00〜19:00(初日は13:00から、最終日は17:00まで)
(セッションハウスのサイトには12:00からと記載されてますが11:00からです!)
出展作家  池田亜矢子 青木明美 金魚時間 五木田摩耶 小坂井順子 さかもと直子
中谷 綾 宮岡宏会 山岸菜穂子
26日(土)、27日(日) 13:00〜17:00 出展者によるワンコインワークショップ(予約不要)

カリグラフィー、リース、キャンドル、ペーパークイリング、パーチメントクラフト、フランス額装、染色型染め、クリスマスオーナメント、ビーズジュエリーの作家たちが、クリスマスやお正月を素敵に演出する品々を揃えて、皆様のお越しをお待ちしております。

鵞毛庵はプレゼントにも最適なミニミニ額作品や豆本、カード、ハガキ、シールなど、クリスマスやお正月用品をいろいろと揃えております。
開催中、26日(土)、27日(日)は、13時〜17時の間、出展者による¥500ワンコインワークショップを企画しています。どうぞ手ぶらでご自由にご参加下さい。
カリグラフィーでは、小さなクリスマスの作品をマーカーでお試しいただけます。

この展覧会は12月1日からは南越谷のギャラリーKに巡回します。(Natale展)
また、鵞毛庵は同時に小手指のギャラリーUSHINのCraft展にも参加します。12月11日(日)はクリスマスを演出する作品の1dayレッスンを予定しています。こちらのお申込はギャラリーへ。


毎年恒例の
投稿日 2011年11月20日 3:21:36
最終更新日 2011年11月20日 3:25:19
修正
2011年12月20日
    もうすぐ冬至だというのに、まだまだ綺麗なイチョウの黄金色が目に入ります。あと数日でクリスマスなんですが...

   鵞毛庵は11月末からずっとあちこちのギャラリーでクリスマス展を掛け持ち。ただ今、最後の展示が北浦和のアートプレイスKで27日まで行われています。

   さて、そのクリスマス。キリストの誕生を祝った日なのですが、本当は生まれたのは12月なんかじゃないのです。キリスト誕生にまつわる記載がある新約聖書のルカやマタイの福音にも、日付はどこにも出てきません。
ではなぜ12月25日になったのか???

    それは、キリスト教以前から、ケルトやらゲルマンやら北欧やら、あちこちの民間信仰で冬至の祝いがあったからなのです。昔は冬至で一年が終り、翌日からどんどん日が長くなって春に向かうというわけで、五穀豊穣を願って神に感謝したり、一年の締めくくりとしてさまざまな風習がありました。 神様が悪い子を見つけては叱責し、良い子にはお菓子や贈物を持ってくるなどというような言い伝えもたくさんあります。なぐごはいねが〜〜〜〜のナマハゲみたい。

   そして人々は互いに感謝の念を贈物であらわしたり、困っている人に施しをしたりなどという風習もいたるところであったのでした。

    キリスト生誕(正しくは降誕)の祝いを広めるには、民間に強く根付いた風習を上手く取り入れて融合させるのがよいとのことで、12月25日に落ち着いたとされるのが、紀元4世紀頃のことです。

    今年は展覧会用のクリスマスカードやミニ作品に クリスマス柄を沢山描きました。ヒイラギは常緑なので緑は永遠の命を象徴、赤い実はキリストが流した血、ヒイラギ(西洋ヒイラギ)のとげは古くから邪気を払うともされ、(あれ?これ、節分の時の...。)、リボンは永遠の結びつき、鐘はキリスト誕生を知らせる、羊飼いのベルから音を聞き迷わず神の元に帰れる、音で邪気をはらう魔よけ、などそれぞれ意味があります。


                いやはやもうすぐ冬至

   さてさて、日本でも冬至は暦の上で節目。柚子湯にかぼちゃにうどんに、無病息災を願ってあれやこれや。そしてクリスマス、大晦日と、いろいろあった一年も余すところわずかです。

皆様 どうぞ良い年を迎えられますように。
今年も一年間、「能楽さんぽ」をご愛読ありがとうございました。 
投稿日 2011年12月20日 0:02:01
最終更新日 2011年12月20日 0:02:01
修正
2012年01月20日
安穏なれ

                                  

 安穏なれ

(c)La plume d'oie 2012   世の中安穏なれ


阪神淡路大震災から早17年。先の大震災から10ヶ月。
今年は親鸞聖人の750回忌、大遠忌(だいおんき)。そのスローガンである「世の中安穏なれ」を昨年から多く作品にして、沢山の方々に見ていただきました。

ただ今、神楽坂のセッションハウスにて、「大きな夢・小さな絵展」に参加している鵞毛庵は、新年あらためてまた新作を展示しています。

2012年はどんな年になるのでしょうか?先ほども楽しく一杯やっていた時に 友人の携帯の緊急速報が鳴り、しばらくドキドキしたばかりです。
出来うる限り安穏であって欲しいと願うばかりです。

上記作品は、正倉院の螺鈿紫檀五絃琵琶の図柄から写した鳥と花のモチーフをあしらった作品です。

琵琶といえば平家物語。今年の大河ドラマでは 清盛の活躍はどのように描かれるのか、ちょっと興味深々。

数々の平氏の合戦にまつわるエピソードは能の曲目の題材になってます。

藤戸の合戦は清盛の死後なので大河ドラマでは描かれないでしょうが、先の三余堂月次にありますように、2月5日のラジオでの三余堂による「藤戸」、みなさま御堪能ください。
とはいっても、日曜の早朝、起きられるかいなァ… そんなァ、無理です!と知人に言われてしまった鵞毛庵ですが…

その前に、矢来能楽堂からもすぐ近くの神楽坂セッションハウスガーデンでの展覧会にも、是非お運び下さい。

鵞毛庵は22日(日)、23日(月)、26日(木)と最終日28日(土)は在廊を予定しております。


とにもかくにも、2012年、安穏なれ。
投稿日 2012年01月20日 1:58:51
最終更新日 2012年01月20日 2:25:40
修正
2012年02月20日
   まだまだ寒い日が続いていますが、ヴァレンタインデーが終わると世の中は一斉に「おひなさま」モードで、花屋さんでは桃の花を売っているのを見かけます。

   三余堂の玄関も雛飾りで華やかになっております。鵞毛庵は雛あられやかわいい雛菓子を購入して飾りつけの準備中。そして、3月1日からスタートするグループ展「桃の華」のための作品準備中でもあります。


   何人かと雑談中に、桃の花を詠んだ和歌って意外にないかも?というのが話題に。早速調べてみたところ、俳句になると結構たくさん詠まれているのですが、和歌ではやはりすごく少ないようです。

そのひとつに万葉集にある大伴家持の歌

春の苑くれなゐにほふ桃の花 下照る道に出で立つをとめ

というのがありました。

そういえば、いつだったか上巳の節句がお雛様なのだと中国人の友人に説明した時に、それならば桃の花の歌をと唐の孟棨(もうけい)が記した書物「本事詩」に出てくる崔護(さいご)の歌を教えてくれたのを思い出しました。


去年今日此門中
人面桃花相映紅
人面不知何処去
桃花依旧笑春風


去年の今日しかもこの門の中で
(あの娘の)顔と桃の花が紅く映りあっていたなあ
あの娘はどこへいったのか知らないけれど
桃の花は去年と同じように春風に笑っているよ

という意味合いです。

なんでもこの詩を詠んでこの家に置いていった後、気になって再び戻ってみると、老人が出てきて、娘はこの詩を見て悲しんで息絶えましたといい、驚いて亡骸に寄添うと、娘が生き返り、二人は末永く桃の花の下で幸せに暮らした、というお話だとか。

どちらもうら若き美しい娘と紅染むる桃の花。昔ながらの桃の花って結構濃い色合いなのです。今、よく目にするのは、品種改良されたり、花桃といわれる種類で色が薄めになっています。

鵞毛庵が住んでいたパリの中華街のプチ桃源郷の桃花(タオホワ)はそろそろ咲くかしら?今年はシベリア大寒波に襲われたようなので、まだまだでしょうか?

桃の花  パリ13区中華街の桃花

などなど思いをめぐらせながら、「桃の華」展用の作品の色合いをあれやこれや。

弥生女流展「桃の華」

ギャラリー華沙里

川崎市麻生区上麻生1-10-6-2F
最寄駅 小田急線 新百合ヶ丘 南口より徒歩5分
2012年3月1日(木)〜3月13日(火)
11:00am 〜 6:00pm (最終日5:00pmまで/水曜休)

桃の花
投稿日 2012年02月20日 2:04:39
最終更新日 2012年02月20日 2:08:36
修正