http://nogakusanpo.maya-g.com
記事移動
2010年09月20日
中秋の名月はいかに
今年の十五夜は今月22日です。
猛暑に残暑で、え?もうお彼岸?もう中秋の名月?という感じですが。

統計からみるに、十五夜がきれいに見える確立はかなり低く、曇っていることが多いのは、この季節、台風が多かったりするからだそうな。

この中秋の名月をお祝いする風習は平安時代頃に中国から伝わったもので、中国では今でも中秋節として大いに賑わいます。その一つが月餅を贈る慣わし。毎年この時期になると商店のかなりのスペースが中秋節の特設コーナーで占められて、パリの中華街も大賑わいでした。どれにしようか吟味している人達の真剣なことといったらありません。

中秋の名月はいかに    月餅の缶 月に住むという仙女が描かれている  

日本のお中元やお歳暮のように、日頃からお世話になっている人などに缶入りの月餅を贈るのです。これは中国がモンゴルの支配下にあった元朝の時代にさかのぼります。


臥薪嘗胆の頃には、まだ月餅は贈り合ってなかったわけですな。


言動や集会の自由を束縛されていた中国人たちが、どうにかしてモンゴル人から政権を奪い返そうとし、宋朝時代の指導者が中秋節が近づくことに目をつけ、中国には昔からこの時期月餅を贈り合う風習があるのだとモンゴル人の支配者に作り話をでっちあげたとか。そしてまんまと許しを得て月餅を作り、その中に中秋の満月の夜に反乱だというメッセージと反乱の計画を忍ばせで兵士全員に贈ったのです。中秋の満月の夜、見事不意討ちに成功し、その武勇伝から中秋に月餅を贈ったり食べたりするようになったと言われています。

元々農作物で丸い月を模して作られた月餅は、この武勇伝から団結の象徴、家族の絆ということにもなり現在でも家族、親戚、そして友人やお世話になっている人に月餅を贈る習慣が続いているのだそうな。

ヨーロッパでは月を愛でるという習慣は東洋ほどなく、しかし、妖しい月光にはかなり興味はあるようです。美しいというよりは何か邪悪だったり陰湿だったりするイメージの方が多いかもしれません。2007年の御題が「月」だった時に、それをテーマにお書初めをしようといろいろフランス語のテキストを探したら、出てくるものは暗くて妖しいものばかり。そんな中から、やっと見つけたのがジャン・コクトーの「月は彫像の太陽である。」という言葉でした。


La plume d'oie (c)鵞毛庵2007             中秋の名月はいかに

La lune est le soleil des statues.  月は彫像の太陽である   ジャン・コクトー  
画像はクリックすると少し大きくなります。

さてはて今年の名月はいかに?
投稿日 2010年09月20日 0:39:19
最終更新日 2010年09月20日 0:44:50
修正