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2010年01月20日
  毎年恒例になっている御題に添ってのお書初め、今年は「光」です。


画像をクリックすると拡大されます。 光

Il n’y a pas de lumière sans ombre. Louis ARAGON
La plume d’oie© 鵞毛庵 2010

  「影なき光はない」。フランスの小説家ルイ・アラゴンの言葉です。確かに、光と影は表裏一体。光が当たっている裏側には必ず影があり、まるで影に支えられているようです。

  ヨーロッパの写本の装飾の技術では、単なる光と影以外に、もうひとつ、光の当たっている影というのがあります。光を直接浴びていず、かといって完全には陰になっていない箇所のことです。写本装飾の技法では、まず下地になる色をべた塗りして、次に影を重ねて塗り、さらに光の当たっている影、光と順番に重ねていきます。この三拍子揃わないと描くものが立体化されないのです。

光

スペイン 1398年〜1405年頃 カタロニアの写本から

  画像の写本のアカンサスの葉模様の青や赤をご覧下さい。影になっているところが一番濃く、お次は少し薄め、そして光が一番当たっているところを白でくっきり描いて立体感を出しています。
影がなければこの立体感は成立しません。

まさに影なき光はない世界なのです。


  能の面の表情が 演者のしぐさひとつで変わるのも、この光と影のなせるわざ。
投稿日 2010年01月20日 12:00:15
最終更新日 2010年01月20日 12:00:15
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