http://nogakusanpo.maya-g.com
記事移動
2012年03月20日
鵞毛庵には今年も蔵書票の季節がやってきました。

蔵書票ってなんぞや?という読者の方は昨年の記事をご覧ください。


蔵書票の季節     画像はクリックすると拡大します。

BOOK展 I  Book & Art 
2012年3月28日〜4月8日


11:00〜17:00  休廊 月・火

装丁・豆本・蔵書票・原画・・・本とアートの関係をお楽しみ下さい。

Gallery USHIN

4月1日(日)13:30〜はカリグラフィーの1day レッスンも予定しています。
詳細は上記ギャラリーのブログにて

  今回はイソップの寓話のフランス版であるラ・フォンテーヌの寓話を題材にした蔵書票と寓話を五話選んでカリグラフィーで書いたものを元にした豆本を中心に展示予定です。

また、昨年同様、蔵書票をお買い上げの方には、ご希望によりカリグラフィーでイニシャルやお名前をお入れします。

  動物などを擬人化して風刺や教訓を織り込んだ物語を寓話といいますが、その代表がイソップの寓話。このイソップとは英語読みで、本当はアイソポスといい、紀元前7〜6世紀頃の古代ギリシャの奴隷出身の人です。自身の創作というよりは、恐らく昔からの伝承や民話を集めたものだったのでしょう。

  ギリシャ語の原典は失われてしまっていますが、ラテン語に訳されたものから15世紀末には英語訳、ドイツ語訳、フランスは17世紀にジャン・ド・ラ・フォンテーヌによるフランス版寓話集が出版されています。

  日本で最初にイソップの寓話が紹介されたのは、16世紀末イエズス会士によってですが、江戸時代には「伊曽保物語」として仮名草子、そして明治期になって英語版から翻訳された「伊蘇普物語」がベストセラーになり、その教訓性が修身の教科書に取り入れられたことから広く親しまれてきました。子供の頃に読んだという方も多いことでしょう。

  どの国も、その気候風土に合わせてアレンジしてあるようで、日本では「アリとキリギリス」として有名な話は英語版からの和訳。

  原典では「セミとアリ」で、ラ・フォンテーヌの寓話でもキリギリスではなくセミが登場します。フランスでは南仏にしかセミは生息していないのに、なんでラ・フォンテーヌはセミのままにしたのか疑問ですが、後世になって昆虫記で有名なファーブル(南仏出身)が、この話はセミの生態を理解しておらずおかしいと批判したとか。

                 蔵書票の季節   画像はクリックすると拡大します。

La Cigale & La Fourmi (セミとアリ) Exlibris 
ラ・フォンテーヌ寓話シリーズ蔵書票 (c)La plume d'oie 2012  
        
        
5月末からは北浦和のアートプレイスKでも蔵書票展に参加予定です。
投稿日 2012年03月20日 3:22:57
最終更新日 2012年03月20日 3:28:20
修正
2012年04月20日
ただいま準備中。しばらくお待ちください!

                         聖書の写本


                   ケルスの書  アイルランド写本 8世紀末
投稿日 2012年04月20日 10:59:53
最終更新日 2012年04月20日 10:59:53
修正
   三余堂が唐代の書法やら古事記の写本やらの記事を書いていますが、時を同じくしてヨーロッパでは...。

   世界史が得意だった!という方には懐かしい響きやもしれません。そう、フランク王国の最初の王朝メロヴィングからカール大帝(フランスではシャルルマーニュといいます)のカロリング朝の頃。

   この西ヨーロッパの大部分を支配していたカール大帝(在位768-814)、カロリング朝ルネサンスという運動の中心人物でもあります。キリスト教に基づいて国を統治する目的で聖職者の質を高めるようにしたり、文化面では古典研究に力を注ぎ、だんだんと俗語化する傾向にあったラテン語を見直してラテン語教育にも力を注いだそうな。となると、聖書が重要になります。お勉強のためにあちこちの修道院から写本を取り寄せると、あらら、誤字脱字すっとばしのみならず、みんな書体がバラバラで読みづらいのなんの。

そこで困ったカール大帝は書体改革を思いついたのでした。

    ここで時を少し遡って5世紀。聖パトリックという人が、アイルランドにキリスト教を広めました。アイルランドからイングランドなどあちこちに修道院が建てられ、同時に導入されたラテン語の聖書の写本がすごく盛んになりました。先人のもたらした経典をこつこつ写すのは、洋の東西を問いません。

    特に7〜8世紀にかけて、ケルト文字やケルト風の幾何学や組紐模様、動物や奇獣をあしらった写本が数多く手がけられ、そのうちの数冊が現存しています。どういうわけかキリスト教を比較的すんなりと受け入れたアイルランド人は古来のケルト文化や民間信仰などうまく取り入れてキリスト教の聖書を書き上げていてます。日本ではちょうど遣唐使だ、古事記の編纂だ、東大寺の大仏開眼だのという時代のこと。



聖書の写本と書体の改革

ケルスの書  8世紀末 アイルランド 典礼用の四つの福音書が収められいる写本   本の宝石とも呼ばれている
最澄や空海が遣唐使として派遣された頃にはこのケルスの書が完成していました。
                        こんな風に誤字を修正も

                               聖書の写本と書体の改革

    
    やがて、このアイルランドなど北の方の修道院から優秀な学僧が多く輩出されて、今度は逆にヨーロッパ大陸の各地へ伝道に出向くということになったのです。

    そこで、カール大帝の時代に戻ると、大帝は早速イングランドのヨークからはアルクインという高僧を呼びつけ、他所からも優秀な学僧を何人か集めて教会制度や教育制度の指南役および書体を統一するための研究組織を設けたのでした。

   書き手や修道院によって様々だった書体を目にしながら頭をひねったお坊さん達が考案したのはもっとシンプルで規則正しい「カロリンヌ」という書体でした。
   そして「カロリンヌ体」は12世紀にゴシック文字へと移行するまで長きに渡ってヨーロッパで愛用されたのですから、書体改革は大成功とあいなり、ローマ字のアルファベットの基本の基になったのです。 イタリアルネサンス期に作られた活版文字も、この書体を基に考案されていて、それが現在まで息づいています。例えば a b c d e f g ←こんな活字はカロリンヌ体が基礎なのです。



聖書の写本と書体の改革

こちらは世界遺産のフランスのモンサンミッシェルの写本。ここはかつては修道院で、そこで書かれたモンサンミッシェルの写本はカロリンヌ体で書かれています。11世紀

投稿日 2012年04月20日 21:21:10
最終更新日 2012年04月20日 21:45:01
修正
2012年05月20日
今月25日(金)から蔵書票展第二段です。

題して


「書票をほどく展」


蔵書票 第二段

出展者:大野加奈 岡部いさく 五木田摩耶 高橋好美 野口恵子
2012年5月25日(金)〜6月2日(土)
アートプレイスK 
11:00〜18:00 土日13:00〜19:00
水・木休廊  最終日18:00まで

出展者による蔵書票のほか、版画やカリグラフィーなどの作品や書票協会収蔵の蔵書票も展示されます。
日本書票協会のサイトには蔵書票の歴史やら技法やら詳しく載っています。


蔵書票 第二段


世界で現存するものでは最古の蔵書票といわれているヨハネス・クナベンスベルグの蔵書票です。俗称「ハリネズミの蔵書票」といい、「もしもこの書物を返さなければ、ハリネズミがあなたにキスをする」という意味の文が書かれています。15世紀半ばの版画。


本はきちんと返せ!ということなのでしょうが、20世紀前半のフランスのを代表するノーベル賞作家のアナトール・フランスの言葉に次のようなものがあります。
「人には本を貸すな。借りた本は決して返さないものだ。」
と、ここまでは、ま、実際に貸した本がそのままだとか、借りたままだとかの経験にうなずいている方も多いかと。アナトール・フランスはさらに次のように続けています。
「私の本棚の唯一所持している書籍は、すべて借りたものである。」
アナトールの父はパリのルーヴル美術館近くの書店経営者だったと思いますけど...

鵞毛庵は3月に引き続き、ラ・フォンテーヌの寓話シリーズなど蔵書票EXLIBRISの原画と、新旧取り混ぜてカリグラフィーの作品を出展、また、蔵書票をお買いあげ頂いた方には、カリグラフィーでイニシャルやお名前をお入れします。



蔵書票 第二段


Liber mihi opus est 私には本が必要である。
EXLIBRIS  (c)La plume d’oie 2012

いつまでも手元に置いておきたい本の見返しに貼ってみませんか?そういう本は特に誰にも貸さないように...
投稿日 2012年05月20日 0:02:03
最終更新日 2012年05月20日 0:02:03
修正
2012年06月20日
またまた面白人物伝!次なる御仁はフランスは19世紀末から20世紀初頭にかけて、その名は恐らく世界中に知られているエッフェル塔のエッフェル。

   アレクサンドル・ギュスタヴ・エッフェル(Alexandre Gustave Eiffel)、1832年12月15日生まれ、1923年12月23日パリ市内の自宅で没。もともとはドイツ系で18世紀からフランスに移住、苗字もベニックハウゼン Bönickhausen といったそうですが、この名前がフランス人は読めない。そこでご先祖の出身地だったドイツのアイフェルEifel からとって Eiffelに、そして読み方もフランス流にエッフェルと正式に改名したのは1880年のこと。結構裕福な家庭に育ち、学業は化学系でしたが、縁あって鉄道関係の仕事につきます。当時のフランスは鉄道建設ラッシュ。大規模な鉄橋建設に携わって経験を積み、やがて独立してエッフェル社を設立します。

   ここで、パリ万博のパビリオン、駅舎、鉄橋など鉄骨を用いた建設を手がけ、ヨーロッパだけでなく中国や東南アジアにまで広範囲で活躍。その特徴は鉄骨の構造をむき出しにした大胆な巨大建築。そのひとつがエッフェル塔です。

   エッフェル塔は1889年にパリで開催された万国博覧会のためのモニュメントで、当時は賛否両論でしたが、万博後も取り壊すことなく、今日ではパリを代表するシンボルになりました。実はエッフェル自身は塔の設計は直接手がけておらず、エッフェル社が塔の建設を受注して建設したので彼の名が付いています。

   いつの時代も新しいものができると不評を買うもの。詩人で作家のモーパッサンはエッフェル塔建設中から抗議文を送ったりしたものの、いざ出来上がると、その中のレストランに足繁く通ったとされます。なぜならば...そこが唯一変な鉄の塔を見ないで済むところだったからだとか。

   もうひとつ誰もが知っているエッフェルによるものに、ニューヨークのシンボルである「自由の女神」像。ギュスト・バルトルディの彫刻を元に、鉄の骨組みに銅をかぶせたもので、1886年のアメリカ独立百周年にフランスが寄贈したものです。その返礼として、1889年のフランス革命百周年にはパリ在住のアメリカ人たちがレプリカを贈りセーヌ川にも女神がいます。これもエッフェルが手がけています。


                      エッフェルパリの自由の女神像
最近ではブロンズ製のフランス政府公認のレプリカがお台場にも!


   後にエッフェルはパナマ運河建設に関わるスキャンダルに巻き込まれましたが、晩年はエッフェル塔の4階に専用の研究室を設けて気象や天体観測、無線アンテナの設置、風の研究などにいそしみました。

   エッフェルは、鉄の固まりの塔が、万博で単なる人目を惹くためだけの無用の長物ではなく、あらゆる科学に役立ち、さらには国家防衛に役立つ研究機関の一端を担うものなのだということを、自ら示そうとしていたのです。

   1909年にはエッフェル型とよばれる風洞を造りました。人工的に風の流れを発生させて、実際の流れを再現してさまざまな実験をする装置で、現在はパリ市内の別の場所に移転しています。これは航空機の進歩に多大な役割を果たし現在に至っていますし、最終的には自ら航空機の設計も手がけるに至りました。

   1921年には、その研究のすべてを国に寄贈し、1923年に91歳で永眠。結構長生きですねェ。


元万博会場だったシャイヨ宮からみたエッフェル塔エッフェル


   毎年、7月14日のパリ祭にはエッフェル塔付近で花火が打ち上げられます。2009年のエッフェル塔での花火の様子はこちらで。

そのパリ祭に寄せてのアート展が7月10日から神楽坂で開催されます。鵞毛庵も参加します。庵主はエッフェル塔をモチーフにした作品をいっぱい準備中!

パリ祭に寄せたアート展 巴里の詩

7月10日(火)〜7月16日(月)12 :00〜19 :00

神楽坂セッションハウスガーデン

絵画、版画、カリグラフィー、キャンドル、フラワーアート、ガラスなど、日仏のさまざまなアーティストが展示いたします。
パリ祭当日7月14日16時からは小倉浩二氏によるシャンソンライブ(1ドリンク付¥3500)もありますので、どうぞお出かけ下さい。
投稿日 2012年06月20日 0:49:47
最終更新日 2012年06月20日 0:51:53
修正
2012年07月20日
               ん?鵺の羽根ッ!?



いえいえ、そうではありません。

フランスから昨日やってきた鵞鳥の羽根です。空を飛んではきたのですが、羽根だけ。多分、御本体の方は食されてしまったのでは。そしてその肝臓は世界三大珍味のひとつである「フォアグラ」として、どこかの御仁の舌を喜ばせたかどうか...。

以前に筆記用具として使われていた葦のカラムのことを書きましたが、その後、ヨーロッパで筆記用具の主流となったのが羽根ペン。いつから使われ始めたのかはっきりしたことは判っていません。ただ、ロンドンのブリティッシュミューゼアムにある古代エジプトの絵画に書記が羽ペンを使用している絵があります。 鵞鳥の飼育自体は地中海沿岸地域ではめずらしいことではなく、古代ギリシャやローマ人たちも飼育していました。

恐らく、ローマ字の根源であるローマンキャピタルの発生、文字を書き残すためのパピルスが羊皮紙へと移行していったことなどと関係して羽根ペンの需要が増加していったのではと思われています。

9世紀ごろからアラビア人によって少しづつ使用され始めた金属の酸化作用をベースにしたインクが、酸化鉄とタンニンを合わせて作るゴールインクというものになり、12世紀にはヨーロッパに広がりました。このインクの導入が羽根ペンの使用を一般化したとされています。


ん?鵺の羽根ッ!?  
ん?鵺の羽根ッ!?  画像はクリックすると大きくなります。
     鳥の羽根なら何でもいいかというと、耐久性や柔軟性などから鵞鳥、白鳥などが一般的で、さらに風切り羽根という翼の先の羽根5本が適しています。この風切り羽根は自然に落ちることは無いので、地面に落ちている羽根では耐久性の面からいってペンには不向きです。あ、あそこによく落ちてるから拾って....というわけには残念ながらいきません。また、翼の左右で羽根のカーブが違うので、右利きには左の翼の羽根のほうが手になじみます。 この羽根の先を文字を書きやすいように削ってペンにするのですが、詳しい削り方はまたのお楽しみに!



ここでちょっと豆知識。「羽」と「羽根」の違いをご存知ですか?羽は翼のこと、羽根は羽から離れて一本づつになっているもの、英語ならウィングとフェザーの違いです。日本語では発音が同じなのでつい漢字を間違えがち。 

そして、La plume d’oieラ・プリュム・ドワこと鵞毛庵は、この鵞鳥の羽根ペンからきています。

鵞毛庵は今年の夏も日本カリグラフィースクールのサマーセミナーで羽根ペン講座を担当します。
投稿日 2012年07月20日 0:26:04
最終更新日 2012年07月20日 0:26:04
修正
2012年08月20日
夜遅くなっても蝉が鳴く暑さの続く中、しばしお付き合いのほどを。

今、上野の東京都美術館でフェルメールの「真珠の耳飾の少女」が公開されていますが、その耳にぶら下がっている真珠、とても大きいです。直径2cmぐらいだそうな。この絵が描かれたのは、フェルメールの没年などから、恐らく1665〜66年にかけてだろうと推定されています。

時を同じくして、フランスにジャン・ド・ラ・ブリュイエールというモラリストがおりました。モラリストというのはフランス特有の呼称で、17世紀頃から使われ始めたのですが、人間性や風俗習慣などを随想や格言で書き残している人達です。ラ・ブリィエールはその代表格なのですが、彼の格言のひとつに、「人間の分別に次いでこの世でもっとも稀なものといえば、それはダイヤモンドと真珠である」というのがあります。

分別、ゴミの分別ではありませんッ。ふんべつ、つまり、物の道理をわきまえていること、事の善悪や損得を心得ていること、仏教用語ではもろもろの事理を思量し、識別する心の働きのことをいい、要は思慮深いということ。それが17世紀フランスにおいて、すでに、というか当然ながらなのか、非常に難しいことであり、今もちっとも変わりないかと。

そして当時のフランス、おそらくヨーロッパにおいて、世の中で希少価値の高かったものがダイヤモンドと真珠であったのですね。これは今の時代では何に値するのでしょうか。

少女の耳飾の真珠、さぞ希少で高価だったでしょうが、直径2cmとなると今でも充分希少で高価ですね...

さて、この一節、今までも作品にしていますが、今回、蝋画の技法も取り入れて新作を書きました。
 

(c)La plume d'oie 2012      この世で希少なもの

Après l’esprit de discernement, ce qu’il y a au monde de plus rare, ce sont les diaments et les perles.
「人間の分別に次いでこの世でもっとも稀なものといえば、それはダイヤモンドと真珠である」
             −カラクテール・当世風俗誌より−


9月3日から銀座のあかね画廊でのグループ展「虹色Palette展 vol.2」に出展します。他にもラ・ブリュエールの格言などの小作品を展示予定です。


この世で希少なもの
虹色Palette展 vol.2  於 あかね画廊
2012年9月3日(月)〜9月9日(日)
11:00〜18:30 (初日13:00から、最終日17:00まで)

もしお時間ございましたらお運び下さいませ。
投稿日 2012年08月20日 0:06:02
最終更新日 2012年08月20日 0:11:44
修正
2012年09月20日
あまり評判がよろしくないようですが...某局の大河ドラマ「平清盛」。

   鵞毛庵は評判とは関係なく、最近テレビ自体から遠ざかっていて数回しか見ていないのですが、たまに見ると顔色の悪いまだら塗りのお公家さんたちに薄汚い武将の面々で誰がどの方やら。(と、似たようなことを以前に三余堂も書いていたやも)
でもストーリーはお馴染みの平家物語。しかし、登場人物を網羅熟知するのは至難の業。

   能の曲目には平家が題材になっている曲がいくつかあり、武将の名前がそのまま曲名になっているものもあって名前だけはお馴染みなのですが、はてさて、この人誰だっけ?ということに。その度に系図を探して確認したり、ドラマをやっていれば誰が演じてるのやらとドラマの公式サイトで登場人物図などと照らし合わせてみたり。


平家のこの人って誰だっけ?La plume d’oie (c) 2010 能「盛久」

   平盛久はこれといった功名をたててはいないのですが、壇ノ浦の合戦の後に京都の清水寺を参詣した際に捕らえられて鎌倉へ。逃げてる途中でなんかのん気な話ですが、盛久は清水観音を厚く信仰していたそうな。そして由比ガ浜で処刑されることになるのですが、頸をはねようとすると太刀が折れてしまいます。これはきっと観音様の御加護かということで、死罪を免れたという逸話が残っています。それを題材にしたのが能「盛久」です。 

   能「盛久」では、平盛久は刑場に金泥の経典を携えるのですが、そこから光りが射して処刑人は思わず太刀を落とし、それが二つに折れてしまうという展開。

   今回の大河ドラマに登場するのかどうか知りませんが、盛久は盛国の息子なのです。その盛国は上川隆也が演じていますよォ。若い頃は鱸丸と称して、ちょっとカリブの海賊みたいなカッコして舟漕いでましたっけ。
投稿日 2012年09月20日 1:22:25
最終更新日 2012年09月20日 1:25:18
修正
2012年10月20日
先日、ご近所の井草八幡宮で5年に一度の流鏑馬が行われました。この八幡様は源頼朝縁の神社で、奥州討伐の折に戦勝を祈願したとか。

流鏑馬神事は雨天だと中止になるので、実は10年ぶりでした。5年前は準備万端の様子から大雨で中止になったことを案内望遠鏡で書いています。

今年は予報では晴れなどと言っていたものの、雲行きあやしくなり心配しましたが無事に開始。大勢の見物客がみな、携帯、スマホ、カメラでパシャパシャ。空はだんだん薄暗くなるは、こんもり茂った神社の参道はもとから薄暗いは、そこで自然にフラッシュがぴかっ。「馬が驚きますから、フラッシュはたかないように」とのアナウンスが何度あってもなかなか止まず、そうこうするうちに、お馬さん、びっくりしてこけそうに。これ以上フラッシュが光るなら、撮影禁止にします!との声でやっとおさまりました。

流鏑馬が行われた参道は200mあり、的は三ヶ所。庵主は一の的のあたりにいましたが、あまりのスピードで目にも留まらぬ速さを実感。とてもそれは写真に撮れず、射終わってゆっくりと戻ってくる姿をば。

流鏑馬

さて、世の中はカボチャがいっぱい。そうです、もうすぐハロウィンです。カリグラフィーのレッスンでの欠かせないテーマのひとつ。今年もレッスンで新作のカードができあがりました。



      流鏑馬
投稿日 2012年10月20日 3:35:45
最終更新日 2012年10月20日 3:35:45
修正
2012年11月20日
   この記事を準備している今日19日は、いかにも冬の到来を感じさせる冷え込みに、まだ寒さに慣れきっていないので着膨れ状態。

   日本はあちこち紅葉で綺麗な様子ですが、東京の街なかはやっと銀杏が色づき始めたところで、鵞毛庵はfacebookで友人達が掲載している写真をただただ眺めているばかりです。

   紅葉はやはり日本が一番! フランスだと今頃はなんだかどんより薄暗く、霧も濃くなる季節です。フランスの農作業に関する暦や諺には、11月は冬だぞォというものばかり。11月1日はカトリックでは諸聖人の大祝日とか万聖節とか呼ばれて、すべての聖人を祝う日なのですが、この日から冬支度が始まるという諺があります。そして、フランスではお墓参りをするのが慣わし。お供えの花は菊の鉢です。墓参り=菊の花という日本と偶然にも一緒なのですが、これは季節柄と、花の持ちが良いということから自然に菊ということだそうで、この時期は花屋さんの店頭にはずらっと菊の鉢植えが並びます。
    長年彼の地に住んでいた庵主の記憶では、11月1日頃は雨だったり曇っていてすごく寒い日のほうが多かったようです。だから、この日を境に本格的に冬になるという言い伝えは、そう間違ってはいないわけです。
    そして、19日は聖エリザベスの日で、この日に毛皮を纏うものはおろかではないと言い、21日に霧が深いとその冬は厳しい、23日の聖クレマンの日には、もし冬がゆっくり訪れたとしても、聖クレマンの日には必ずやってくる、との言い伝えがあります。今年の東京の気候になんだかぴったりかも。

   さて、12月1日から5日まで神楽坂のセッションハウスガーデンで今年も「ノエル展−クリスマスをご一緒に−」を開催します。


           いよいよ冬に


ノエル展 −クリスマスをご一緒に−

2012年12月1日(土)〜12月5日(水)
12:00〜19:00(最終日は17:00まで)


神楽坂 セッションハウスガーデン 

12月1日(土)は16:00からオープニングパーティー

今年は参加者15名、絵画、版画、切り絵、カリグラフィー、フラワーアート、キャンドル、型染め、フェルト、パッチワーク、ビーズなど、多彩なグループ展です。会期中、¥500のワンコインワークショップの他、デモンストレーションやタロット占いなど予定しています。皆さま、是非お出掛け下さい。


鵞毛庵はクリスマスや新年をテーマにした作品やカード、豆本などのほかに、フランスの諺のカレンダーを販売いたします


いよいよ冬に  
(c)2012La plume d'oie  
万聖節の日には寒さが帰ってきて、冬支度が始まる。
投稿日 2012年11月20日 0:22:45
最終更新日 2012年11月20日 0:22:45
修正
2012年12月20日
ただ今準備中!

しばしお待ち下さい


          サンタさん
投稿日 2012年12月21日 14:14:08
最終更新日 2012年12月21日 14:14:08
修正
時節がらサンタクロースのことなど。

  4世紀頃のミラ(現在のトルコ内)というところの司教だった聖ニコラウスという人がサンタクロースの起源とされています。ラテン語ではニコラウス、フランス語などだとニコラ、ロシア語ではニコライと呼びます。

  この聖ニコラは三人の娘を貧困のあまり嫁がせることの出来ない家の存在を知り、真夜中にその家の煙突から金貨を投げ入れたという言い伝えがあります。このとき暖炉に靴下が下げられていたので金貨は靴下の中に入り、そのおかげで娘たちは身売りしないで済んだという逸話も。夜中になると煙突から入って、靴下の中にプレゼントを入れるという、おなじみのサンタさんの言い伝えはこの逸話がもとになっています。

  また、オランダでは聖ニコラウスをシンタクラースと呼んで、14世紀頃から彼の命日である12月6日をシンタクラース祭として祝う習慣があり、それが後にアメリカへ移殖したオランダ人たちによってサンタクロースと伝えられ、ポピュラーになったのは19世紀になってからとか。

他に、北ヨーロッパを起源とする冬至の祭りに関連して、貧しい人達や子ども達に贈物を届ける神様などの伝承と合わさって、サンタさんが定着していきました。

   皆さんがサンタと聞いて思い浮かべる姿は、1931年にアメリカで行われたコカコーラの宣伝のイメージという俗説がありますが、白いひげを蓄えて赤い服を着ている姿は19世紀後半にはヨーロッパですでに定番だったようです。フランスなどでは一般化されたのは案外遅く、20世紀初頭、日本にも大正初年にはすでに登場しています。

   ヨーロッパの国々によって、その姿は民間伝承と合わさって少しづつ違いはありますが、子ども達にプレゼントを持ってきてくれるのはだいたいどこも一緒。

サンタクロースは英語でファーザー・クリスマスとも呼ばれ、フランス語でもペール・ノエル、パパ・ノエルと呼ぶのが一般的です。

   さて、フランス語の面白い文章を見つけたので、ご紹介しましょう。

男の人生には四つの年代がある: サンタを信じている年代、サンタを信じなくなった年代、自分がサンタになる年代、自分がサンタに似てくる年代。
         サンタクロース (c)La plume d'oie 2012



このブログの読者の男性の方々は、どの年代でしょうか?
投稿日 2012年12月21日 16:03:18
最終更新日 2012年12月21日 16:03:18
修正
2013年01月20日
   ヨーロッパの中世の写本によく登場するアラベスク文様は、いわゆる唐草文様の西洋スタイル。その葉はアカンサスというアザミ科の植物をデザインしたもので、今までも何回か能楽さんぽの記事にも登場しています。モデルはアカンサスといっても、次第になんだかすっかり違う姿になっていて、鵞毛庵の家の近所のアカンサスを見るたびに、これがどうしてああなるのかァ?などと思ったりも。特に花はまったく違った、と思うのは現代人の目で、何百年も前の人にはそう見えたのかなァ。。。とも。

アラベスク・唐草・唐花  (c)La plume d'oie 2013 
人の心に思ひも寄らぬ感を催す手立、これ、花なり    
世阿弥「風姿花伝」より
画像はクリックすると大きくなります。

   カリグラフィー作品のモチーフにとフランスやイタリアの写本から装飾を取り出してみると、すっかりこちらの唐草文様のようにも見えてしまい、案外違和感がないような。能装束から唐花をモチーフにしても、同様、フランス語の作品にすんなりマッチしてしまいました。


(c)La plume d'oie 2013
人人(にんにん)心心(こころごころ)の花なり 
世阿弥「風姿花伝」より                             アラベスク・唐草・唐花


   今年は観阿弥生誕680年、世阿弥生誕650年にあたり、新たに「風姿花伝」のフランス語訳を基にしたカリグラフィー作品を制作しています。 そのうちの小作品を何点か「大きな夢・小さな絵展」に出展いたします。


大きな夢・小さな絵展アラベスク・唐草・唐花

2013年1月24日(木)〜2月3日(日)
12:00〜19:00 最終日は17:00まで
神楽坂セッションハウスガーデン

画像はクリックすると大きくなります。

*大きな夢・小さな夢 は 間違いで、大きな夢・小さな絵が正しい展覧会名です。
投稿日 2013年01月20日 1:34:58
最終更新日 2013年01月20日 1:34:58
修正
2013年02月20日
旧暦では今月10日に新年になったばかりなので、暦とそして四季のお話。

聞くところによると、最近七十二候が注目を浴びているふしが。
この七十二候は古代中国に由来し、季節や気候の変化を細かく分けたものですが、二十四節気のほうが比較的身近かもしれません。たとえば、つい先日の立春に始まり、春分、夏至、秋分、冬至などは今でも日常生活になじんでいるもの。これは一年を半月ごとに季節の変化を二十四に分けているものです。それをさらに5日ごとに区切って気象やそれに伴った動植物の変化などを表したものが七十二候なのです。時代と共に、日本の気候風土に合わせて少しづつ改訂されてきたそうで、読んでみるとなかなか面白いですが、そうかなァ?と思うようなものも。

参考までに、ちょうど今の時期にあたる2月19日頃より3月6日頃が二十四節気では「雨水(うすい)」で、七十二候では 土脉潤起 つちのしょううるおいおこる (雨が降って土が湿り気を含む)、 24日頃より 霞始靆 かすみはじめてたなびく (霞がたなびき始める) だそうな。

昨年暮にフランスの諺を書いた2013年版カレンダーを制作しましたが、それに用いた諺はフランスの農耕作業に関する四季折々の言い伝えの中から選びました。中世の写本の中にも必ず暦の章があり、月ごとの天体の位置や農作業の挿絵が施されていて、気候の変化と農耕と庶民の生活が密着していたのでしょう。

暦 
Les Très Riches Heures du duc de Berry
(ベリー公のいとも豪華なる時祷書:15世紀フランス)3月の暦 春耕の図 

このフランスの四季の諺と二十四節気や七十二候を読み比べてみたら、洋の東西の違いにも関わらず似たようなものを発見しました。

二十四節気の「雨水」の次は「啓蟄」ですが、これは春分までを指し、冬眠していた虫が穴から出てくることです。俳句の季語にも「蛇穴を出づ」というのもあります。そして七十二候は 蟄虫啓戸 すごもりむしとをひらく (冬ごもりの虫が出てくる)。

さて、これがフランスだとどうなるかといいますと、3月17日「聖パトリス(アイルランドの守護聖人である聖パトリック)の日が暖かいと、ザリガニが穴から出てくる」そうです。
今年の暦には復活祭の諺を書いたので、来年の3月にはこれを書こうかな。



2013年版カレンダーの2月は14日聖ヴァレンタインの日の諺。
聖ヴァランタン(ヴァレンタイン)の日の天気はその年の春の気候である。暦

さて、14日はどんなお天気だったか...


立春を過ぎてからのほうが寒さが厳しい東京。「すごもりむし」状態の方も多いかと。暖かい春が待ち遠しいです。
投稿日 2013年02月22日 1:17:26
最終更新日 2013年02月22日 1:17:26
修正
2013年03月20日
今月も季節の話題を。

その前に、先月の記事で暖かい春が待ち遠しいなどと書いた鵞毛庵ですが、花粉症のことは全く念頭になかったわけでして、あれから、例年に比べて非常に多いという今年の花粉にすっかりやられてしまっています。


                 復活祭

復活祭に雨が降ると麦がたわわになる  2013年版カレンダーの3月の諺

復活祭に因んだ諺で、これは恵の雨ですね。


復活祭とはキリストが十字架にかけられて亡くなった日から三日目に復活したことを記念するもので、キリスト教の典礼に於いては一番大切な祝日となっています。

この祝日はキリスト教では移動祝日とされていて、もともと太陰暦にしたがって決められた日であったため、太陽暦にすると年によって日付が変わることになります。グレゴリオ暦を用いるカトリックの教会では、復活祭は3月22日から4月25日の間のいずれかの日曜日で、春分の日の後の満月の次の日曜日と定められているので、今年は3月31日が復活祭になります。

キリスト教以前からあった春分の頃の民間行事などに由来していて、春なので再生の季節=復活ということなのでしょう。

復活祭のシンボルとして卵、ヒヨコ、多産ということからウサギなどが用いられ、フランスやベルギーでは鐘も大切なシンボルのひとつです。これは、復活祭の前のキリストの受難の間は教会では鐘を鳴らさないため、その時は教会の鐘がすべてローマへ行ってしまい、復活祭と共に空を飛んで戻ってくるという言い伝えがあるからです。


  復活祭

フランスではチョコレートを贈る慣わしもあり、今の時期になるとパン屋さんやお菓子屋さんには可愛い形のチョコレートがたくさん飾られます。


復活祭の頃には花粉症は少しはよくなっていることを願って。
        
                       復活祭
投稿日 2013年03月21日 1:08:38
最終更新日 2013年03月21日 1:08:38
修正
2013年04月20日
ただ今編集中につき、しばらくお待ち下さい。

no subject

EXLIBRIS 蔵書票 (c)La plume d'oie鵞毛庵
La lecture, une porte ouverte sur un monde enchanté

読書とは、魔法の国への開かれた扉である。(フランソワ・モリヤック)
モチーフは「貴婦人と一角獣」より着想
投稿日 2013年04月20日 0:37:48
最終更新日 2013年04月20日 2:01:40
修正
毎年恒例になっている蔵書票展が今年もやってきました。17日から5月2日まで小手指のギャラリーUSHINで開催されています。BOOK EXHIBITION カリグラファーと銅版画家からの紙片 と 題し、毎年ご一緒している銅版画家の大野加奈さんとの二人展です。和とじ袖珍本「風姿花伝」カリグラフィー作品集やブックカバーなども合わせて出展し、お買い上げ頂いた蔵書票にはカリグラフィーでの名入れも致します。


蔵書票は、今回は本にまつわる格言に中世の写本の装飾からのモチーフを加えたものを中心に、近日日本で初公開となるパリのクリュニー美術館所蔵の「貴婦人と一角獣」のタピスリー(タペストリーは英語)に着想を得た蔵書票も数枚加えました。

貴婦人と一角獣



この「貴婦人と一角獣」のタピスリーは鵞毛庵がパリに住み始めた当初から馴染み深いもので、クリュニー美術館には何度も足を運んだものです。 タピスリーは6枚のシリーズで、15世紀末ごろパリで下絵が描かれ、フランドル地方で織られたとされています。その内容は貴婦人が一角獣と獅子を従えて人間の五感を表す5枚と「私の唯一の望みに」と書かれた謎の6枚からなり、どれも草花や動物が細かく描かれています。6枚目がなぜ謎かというと、まず他の5枚に比べてサイズが大きいとか、何を意味するのかなど、さまざまな解釈がなされてきているからです。4月24日から7月15日まで、東京の国立新美術館で、その後は大阪で展示されます。特設サイトがありますのでこちらをご覧ください。

今から10年ほど前ですが、「真珠の耳飾の少女」という映画を覚えている方もおられるかと。この映画は同名の小説の映画化で、あのフェルメールの少女の肖像画から着想を得たアメリカの小説家トレイシー・シュヴァリエの作品なのですが、このシュヴァリエ女史は「貴婦人と一角獣」のタピスリーを題材にした小説も書いています。謎の多いタピスリーがどうやって出来上がっていったか、依頼主と若い絵師や周囲の人間模様、タピスリーの工房の様子などが描かれています。日本語訳もあるようですね。

5月末には別のグループ展に参加しますが、その時にはこのタピスリーを題材にした6枚の新作も予定しています。それはまた追って...
投稿日 2013年04月20日 1:59:12
最終更新日 2013年04月20日 1:59:12
修正
2013年05月20日
   物を切って細かくする、彫る、記憶にとどめる、入れ墨をする、切って跡をつける、細かく区切って進行する(時を刻む)、の他、責め苦しむなどの意味のある「刻む」。

   先回の三余堂の記事の「ハンコ」も文字を刻んであるもので、その多くに篆書を用いるために篆刻と呼ばれています。

   鵞毛庵が最近よく作品に取り入れている蝋画も、蝋を薄く引いたところに軽く彫って跡をつけるということから、北浦和のアートプレイスKで催される「なめらかに刻む」展に出展します。


刻む


「なめらかに刻む」展

2013年5月24日(金)〜6月1日(土)
11:00〜18:00 土日は13:00〜19:00  最終日は17:00まで
29日(水)、30日(木)休廊
於 アートプレイスK

銅版画、蝋画、絵画など、「刻む」作家7人でのグループ展です。

  世阿弥生誕650年を記念しての「風姿花伝」のカリグラフィー作品のほかに、日本初公開中のフランスのタピスリー「貴婦人と一角獣」から題材を得た「五感」の新作を展示いたします。どれもすべて蝋画作品です。蝋画については鵞毛庵を蝋画への扉に誘って下さった荻野哲哉氏のブログ にて。  1月には私のことも取り上げて下さいました。今回の展示もご一緒します。

刻む  5 sens  五感


  人間には五感という感覚機能のほかに、第六感と呼ばれるインスピレーションや直感、霊感などがあります。

  乳母の見舞いに行った際に、ひなびた隣家の夕顔の花をみかけて、姿を見ずともなんとなくそこの女主人が気になってしまった光源氏。なんとなく何かを感じるというのも第六感のひとつかもしれません。


さて、その夕顔を、三余堂こと五木田三郎が7月の観世九皐会定例会で勤めますので ご高覧賜りたく御案内申し上げます。

まだ多少お席をご用意できるかと思いますので是非ご予定にお加え下さい。

7月14日(日)  観世九皐会定例会  13:00〜
        於 矢来能楽堂
 
                  
『夕顔』 五木田三郎
      ワキ 工藤和哉  
           笛 一噌隆之  小鼓 大倉源次郎  大鼓  柿原弘和
                        
    他  能 『阿漕』、 仕舞、 
        狂言 『口真似』 山本泰太郎 山本則重ほか

 正面 ¥6,000   脇正面・中正面 ¥5.000 〈 全席指定 〉

お申込は ご連絡先、チケットお届け先住所、ご希望枚数を添えて
ブログの右上の「メール」に件名「夕顔 さんぽ」でお申込ください。 こちらからチケットをご予約頂いた方にはもれなく鵞毛庵より小さな特典をご用意いたします。


投稿日 2013年05月22日 1:35:12
最終更新日 2013年05月22日 19:12:42
修正
2013年06月20日
ただ今編集中につき、しばらくお待ちください!

no subject
投稿日 2013年06月20日 0:01:38
最終更新日 2013年06月20日 0:02:51
修正
2013年06月21日
  先日、国立新美術館に「一角獣と貴婦人」展を見に行き、6枚のタピスリーと再会しました。パリのクリュニー美術館(中世美術館)の所蔵で、他所に貸し出されるのは非常にめずらしいことです。今回はタピスリーを修復したこと、美術館を改装中ということで、特別貸出と相成った様子。まさか東京で再会できるとは!

  この6枚連作のタピスリーはデザインはパリでなされたとされていますが、実際に織られたのはフランドル、つまり、北フランスからベルギーあたりで、その特徴のひとつである細かな草花文様が特徴。写本装飾とちがって実物にかなり近い姿で描かれていています。日本語では千花文様と呼んでいるようですが、とにかく沢山の花が登場します。40種類は確認されているとか。その名の一部を揚げると、オダマキ、ジキタリス、マーガレット、スミレやパンジー、ツルニチソウ、ハナダイコン、豆科の花などなど。オダマキというと、静御前の「しずやしず しずの苧環...」を思い浮かべてしまう鵞毛庵ですが、品種には西洋種もあり確かに今頃の時期に森など散歩すると咲いていたような。ソラマメはどんな土地でも育つことから豊饒のシンボルとされていたので、ここに登場するのも納得。などと、あれやこれや思いを巡らしました。

  少し前に東京の道端にはハナダイコンが咲乱れ、スミレやパンジーもあちこち見かけて、1500年頃のタピスリーに描かれた花の一部が今、ここにも沢山咲いている!となんだかワクワクも。

花いろいろ

  今回の展示では某TV局制作のデジタル資料がとてもよくできています。それにはちょっと劣りますが、こちらをご参考までに。


もうひとつこちらはクリュニー美術館制作のビデオです。 

 この記事のUPをお待たせしている間に掲載した画像は1900年ごろフランスで刊行された花の図案集にある夕顔とおぼしきもの。扇や能装束に描かれている夕顔に似ているとも似ていないとも。花の姿はいろいろということで。

               花いろいろ
                能[夕顔」より 山の端の心も知らで行く月の... (c)La plume d'oie 2013

7月は三余堂こと五木田三郎が「夕顔」をつとめます。
投稿日 2013年06月21日 12:10:16
最終更新日 2013年06月21日 12:10:16
修正
2013年07月20日
フランスの諺に 7月の太陽は富をもたらす というのがあります。

今年の日本の猛暑続きにうんざりの方も多いことかと思いますが、こう照り付けて暑いと、豊作よりも水不足が心配に。かといって、日が当たらなければ作物は育たず。痛し痒しといったところでしょうか。

そして、もうひとつ、 聖ドミニコの日に太陽の日差しが強くとも文句を言うな という諺もあります。聖ドミニコの日は8月4日にあたり、暑くたってなんだって、太陽の恵みには感謝せねばならないということなのでしょう。

         
                    
 (c)La plume d'oie2013  夏の太陽


そして 9月に雨の湿り気がもたらされると、樽が空になることはない つまり、ワイン用のブドウが豊作で樽にはワインがいっぱい!ということです。

今月の23日(火)から 巴里祭に寄せたアート展 夏の詩 に参加し、上記ことわざの作品のほか、風姿花伝や巴里の標語「たゆたえど沈まず fluctuat nec mergitur などのミニ作品を多数展示いたします。 



巴里祭に寄せたアート展 夏の詩

夏の太陽

7月23日(火)〜29日(月)
神楽坂セッションハウスガーデン

12:00〜19:00 最終日は17:00まで

27日(土) 18:00からパーティー
       19:00から ジャズ&ボサノヴァ ミニライヴ
         ライヴにはドリンクチャージ¥700
その他、ワークショップ等 いろいろ企画しています。
詳細はこちらへ。

毎日在廊を予定しています。
7月の太陽が照りつけることと思います。お出かけの際は熱中症にはじゅうぶんお気をつけください。
投稿日 2013年07月20日 0:04:33
最終更新日 2013年07月20日 0:05:51
修正
2013年08月19日
涼しい時期に作ろうと思いつつも、いつも暑い時になってしまうインク作り。今年も酸化鉄のインクを作りました。暑い中、ぐつぐつと五倍子を煮詰めること1時間。

このインクはワインのように長いこと寝かせると熟成してどんどんいい具合になります。

寝かせると好いもの

ワインといえばフランスではそろそろブドウの収穫期。その収穫作業は昔は夏休みの学生アルバイトとして有名でしたが、昨今は収穫も機械化されてそんなに人手はいらないとか。
フランスもこの夏の途中から猛暑になった様子。ということは、今年のワインは結構イケルかもしれません。そして涼しくなって雨が続いたりすると尚よろしいそうな。


寝かせると好いもの

 Septembre humide pas de tonneau vide
 9月の湿り気は樽を空にしない

この作品の文字は酸化鉄のインクで書いています。
これ以外の9月、10月、11月のことわざを書いたミニ作品や世阿弥の風姿花伝のシリーズなど数点を26日(月)から銀座のあかね画廊で開かれる「虹色パレット展」に出品致します。



寝かせると好いもの
投稿日 2013年08月20日 0:13:06
最終更新日 2013年08月20日 0:18:33
修正
2013年09月20日
昨夜の中秋の名月は皆様愛でられたでしょうか。今年は十五夜と満月がめずらしく一致した年だとか。

日中はまだまだ暑いものの、朝晩はすっかり秋らしくなってきました。暑さ寒さも彼岸までの言い伝えの通りのようです。 フランスの季節のことわざにも、

聖ユスタッシュ(9月20日)の白露はぶどうを熟す
Gelée blanche de Saint Eustache grossit le raisin qui tache
というのがあります。

やっと秋

9月20日は聖ユスタッシュの日で、昔の暦ではこの時期、朝晩冷え込み、たっぷりの朝露がブドウをさらに大きくして熟すようです。
夏が暑いとブドウは良作で、さらに冷え込んで朝露を纏うとさらに美味しくなるのでしょう。



今夏の猛暑で山梨のブドウは美味しい。甲州ワインもおいしいのができるのかな。。。。
投稿日 2013年09月20日 22:50:22
最終更新日 2013年09月20日 22:50:22
修正
2013年10月20日
三余堂の記事にあった黒田官兵衛の時代。ところ変わってフランスではプロテスタントとカトリックの間でごちゃごちゃした時代で、世界史に強い方は「ユグノー戦争」と聞くと思い当たるやも。

時のフランスのブルボン王朝の国王アンリ4世が1598年に発布した「ナントの勅令」により信仰の自由が認められて宗教の争いはちょっと収まった頃が日本では関ヶ原です。

この「ナントの勅令」は原本が現存していて、こちらをクリックして画像をご覧ください。
(フランスの文化庁は太っ腹だ。しっかり閲覧できます。)

羊皮紙にびっしり細かく書かれていますが、書体はゴティックの草書体からロンド体への過渡期の頃のものです。

ゴティックの書体はドイツを中心に発展した手書き及び活版文字の書体ですが、フランスでは手書きの草書体が独自で発展し、さらにロンド体に移行していきました。このロンド体はフランス書体とも呼ばれ、17世紀にヨーロッパの国々から世界で最も美しい書体と言われていたものです。

こちらがロンド体で書かれた写本。

その時代には...


フランスの書家ルイ・バルブドールによる  17世紀

縦の流れじゃなくて、横の流れを学びなさい、と、パリで美術史を勉強していた時の先生の言葉をつくずく思い出す鵞毛庵です。
大河ドラマと一緒にフランス史も学ぼう!な〜んて。
投稿日 2013年10月20日 1:15:46
最終更新日 2013年10月20日 1:15:46
修正
2013年11月20日
(c)La plume d'oie 2013  新酒解禁


   Tonnerre d'août, belle vendange et bon moût.
8月の雷はブドウの収穫もしぼり汁も良いものをもたらす。

21日は11月の第三木曜日。ワインの新酒ボジョレーヌーヴォーの解禁日。そこでワインに関するフランスの諺の一つ。挿絵は収穫に使用する籠の背負子とブドウのしぼり汁用の大きな桶。この背負子は素材は変わっても現在でもスタイルはほぼ同じで、摘み取ったブドウがいっぱいになったら、背負子を外さずにお辞儀をする格好で前に屈み中身を出す仕組み。その際に肩、首、頭などに触れないように、背負子の背の部分が広がって高くなっている。摘んだブドウは大きな桶で人が踏んでしぼられてました。

さてはてボジョレーヌーヴォーは一時ほどではないだろうけれど、相変わらず日本では本場フランスよりも早く飲めると賑わうのでしょうか…。

世の中はかぼちゃやお化けが過ぎ去って、新酒解禁はクリスマスまでのちょっとした橋渡し役かもしれません。

鵞毛庵は今年もノエル展の準備に追われています。

新酒解禁


ノエル展 クリスマスをご一緒に

2013/11/29(金)〜12/3(火)
12:00〜19:00(最終日は17:00まで)
神楽坂セッションハウスガーデン

¥500ワンコインワークショップでは羽根ペンで文字を書く体験ができます。
その他、いろいろな作家のワインコインワークショップや30日(土)は18:00からボサノヴァ&ジャズのミニライヴ(ドリンクチャージ¥700)など企画しています。

今回は天使をテーマにした作品を用意しました。中世の写本から着想を得た天使たちが皆様のお越しをお待ちしています。

神楽坂の後は、12/4から小手指のギャラリーUSHINでクリスマスのcraft展、12/14,15は竹ノ塚でのArt Festaにも参加します。

投稿日 2013年11月20日 23:10:20
最終更新日 2013年11月20日 23:10:20
修正
2013年12月20日
今年もあとわずかとなり、クリスマスが近づいてきました。

クリスマスというと思い浮かべる歌の中に「グロリア」があります。カトリック系の学校に通っていた鵞毛庵にはとてもなじみのある歌なのですが、カトリックでは「あめのみつかいの」という題の聖歌。でも、グロリアと呼んでいたと思います。

この歌はもともとはフランスの16世紀ごろに作られた歌で、原題はLes anges dans nos campagnes 野辺の天使というような意味なのですが、その詩のリフレインの部分がルカの福音の一部より引用されたラテン語で Gloria inexcelsis deo グロリア インネクシェルシス デオ、日本語にすると「天のいと高き処に神に栄光」です。

小学生の頃、リフレインの部分がラテン語だというのでなんだかわくわくした記憶がありますが、はたして歌は何語で唄っていたのかさっぱり思い出せません。日本語の歌詞を見ても聞いてもピンとこないし。フランス語ではなかったと思うし、英語だったのかなぁ...。というのは、「もろびとこぞりて」や「しずけき」をはじめ、クリスマスの歌はみな、英語で習って唄っていたし、フランスではフランス語だったし、とあやふや。

こちらがフランス語のその歌です。 

パリのノートルダム寺院のクリスマスのミサ

こちらは木の十字架少年合唱団のバージョン


               Gloria  あめのみつかいの
                 

Gloria inexcelsis deo et in terra pax hominibus bonae voluntatis
天のいと高き処に神に栄光  地には善意の人に平和あれ
ルカ福音より 
©La plume d’oie 2013
羊皮紙、酸化鉄インク、羽根ペン  
装飾は「ベリー公のいとも豪華なる時祷書」(15世紀フランス)よりアレンジ

今年も一年間、能楽さんぽをご愛読いただきまして、どうもありがとうございました。
皆様、どうぞ良い年末年始をお過ごしください。
投稿日 2013年12月20日 0:31:00
最終更新日 2013年12月20日 0:33:21
修正
2014年01月20日
2014年バージョンの鵞毛庵製フランスの諺の暦の1ページ目の1月は「ご公現祭の雪は豊作をもたらす」という意味の諺を選びました。



      大寒

Neige à l’Epiphanie, le grenier sera rempli.
ご公現祭に雪が降ると、納屋はいっぱいになる。

ご公現祭とは、キリスト誕生を祝って東方から三博士がやってきた日を記念した日(1月6日)。

大寒   四谷の聖イグナチオ教会にて  馬小屋にかしずく三博士

フランスではそれに因んだガレット・デ・ロワというパイ菓子を頂く習慣があります。そのお菓子にはフェーヴと呼ばれる陶製の小さな人形が入っていて、王冠と共に売られていて、フェーヴを当てた人が王様に選ばれるというお遊び付。もともとはキリスト教以前からある冬至の行事だったものが由来だとか。そして、やはり古くからの風習で、正月飾りとしてのヤドリギを諺に添えました。常緑なので生命やら永久やらのシンボルです。

                        大寒

暦がすすんで二十四節気の24番目は大寒。1年で一番さぶ〜い日とされてます。

フランスでも1月20日過ぎのこの時期はちょっとゆるんだ寒さがぶり返して寒波襲来となり、言い伝えにも寒さに要注意を促すものが目立ちます。中には、凍土によって雑草の始末の手間が省けるなんていうのも。
七十二候では大寒にはフキノトウが蕾を出し、沢に氷が厚く張りつめ、鶏が卵を産み始め、滋養強壮に寒卵を食したりするのですが、大寒卵はさらに金運も招くとか!
ガレットのフェーヴを当てた人はその一年幸運や金運良しとされてますが、今年はフェーヴ当たらなかったので大寒卵を食べようかしら....
投稿日 2014年01月21日 14:19:34
最終更新日 2014年01月21日 14:19:34
修正
2014年02月01日


               no subject


             May peace and tranquillity prevail througout the world 
             世の中安穏なれ。(親鸞聖人)(c)La plume d'oie2011
投稿日 2014年02月01日 18:21:05
最終更新日 2014年02月12日 20:14:36
修正
2014年02月20日
天気予報が本当にあたるなんて!と思った方が多かったかもしれません。関東周辺を襲った大雪。


臙脂  臙脂


そんな雪に覆われた梅の花。

白梅はもう花なのか雪なのか判らない状態で、蝋梅も紅梅もこんな様子に。紅梅の濃い紅色もすっかり薄まって見えます。

濃いめの紅色といえば臙脂色というのがありますが、これはエンジムシとも呼ばれるカイガラムシの体内色素を抽出させたものが原料となっています。

ヨーロッパの中世写本の装飾には南米産のコチニールと呼ばれるカイガラムシが使用されていて、鵞毛庵も写本装飾のワークショップを受けた時に乾燥したカイガラムシを水に浸けてつぶして顔料を作った経験があります。

(c)La plume d'oie   臙脂 
貝母(網笠百合)の模様や茎の一部はコチニール(エンジムシ)から作った顔料を使用。Mira calligraphiae monumenta 16世紀写本の複製
画像クリックすると少し大きくなります

日本では昔は紅花染めと呼んでいたものが、大正末から昭和初期にかけてコチニール(エンジムシ)が顔料の色の着物が流行したとことから、臙脂色という名前が定着したとか。このコチニールが原料の赤い色素は染色だけでなく、化粧品や食料品などにも多く使われています。イチゴ味のお菓子とか、赤いシロップ、赤いかまぼこ、口紅など多岐に渡って日常生活でかなりお世話になっているのですが…。これがアレルギーを引き起こすということが話題になっている様子。コチニール色素そのものがアレルギーをおこすのではなく、エンジムシから色素を抽出する際に除去しきれないたんぱく質のせいでアレルギーが起きるのだそうな。でも、きっと多くの人が、ムシがいけないんだ!と反応してしまいそう…。 


この「能楽さんぽ」のブログのベースカラーは臙脂色です。


3月11日より神楽坂で開催されるチャリティーアート展に参加します。詳細はこちら
投稿日 2014年02月21日 12:20:02
最終更新日 2014年02月21日 12:21:47
修正
2014年03月20日


        no subject
投稿日 2014年04月01日 13:09:28
最終更新日 2014年04月01日 13:09:35
修正
2014年04月20日
no subject


ただいま編集中。しばらくお待ちください。


投稿日 2014年04月20日 11:19:04
最終更新日 2014年04月20日 11:20:13
修正
例年ならば今頃からスタートする蔵書票展ですが、今年は花真っ盛りの時期から今月27日まで、本にまつわる合同の展示となりました。そしてテーマがスイーツ。
         


                    お好きな本に甘い香りを!


ギャラリーUSHIN



鵞毛庵は「不思議な国のアリス」と「鏡の国のアリス」に登場する甘いものなどをいくつか選んで原文を合わせて作品にし、蔵書票やブックカバーに。そして、フランスの代表的なお菓子やイースターのチョコも蔵書票や豆本にしました。お好きな本に甘い香りを!

ご希望の方にはカリグラフィーでお名前書き入れしています。お好きな本に甘い香りを!


蔵書票はEXLIBRISエクスリブリスとも言い、本の見返しに貼って、その本の所有者を表すものです。詳しくは以前の記事をご参照ください。


そんな蔵書票を貼るようような立派な本はないと言わずに、ずっと手元に置いておきたい本や、大好きな本にどんどん貼って楽しんでみては。鵞毛庵蔵書の中には「天才バカボン」だってあります!


 お好きな本に甘い香りを!

今回の展示のために、新しい蔵書票を貼ったお気に入りの2冊。
いたって普通の本、しかも1冊は水木しげるの漫画ですッ。



BOOK ORCHESTRA展は今月27日17時までですが、7月に予定している神楽坂での夏のグループ展にも蔵書票は出展いたします。
投稿日 2014年04月22日 11:18:55
最終更新日 2014年04月22日 11:19:52
修正
2014年05月20日
          マロニエ?栃ノ木?

        ©La plume d’oie2014

 フランスのことわざより  聖テオドジィの日(5月28日)には、花と言えば薔薇。
                                                                  
今年のフランスの諺の暦の5月に選んだ諺。この時期、フランスではあちこちのバラ園が賑わいます。
一方、パリでは街路樹の代表のマロニエが花盛り。白や赤の花が遠目には円錐形に見えます。



マロニエ?栃ノ木?   パリ市内のマロニエ 白い花が満開
画像をクリックすると拡大します。

これは赤いマロニエの花。近寄って見るとこんな花!マロニエ?栃ノ木?   これが集まって円錐形をなしています。


先日、銀座で見かけたマロニエの花は木自体が小振りで、なんだかさみしい感じがしてしまいました。残念ながら写真を撮り損ねました。

調べてみると、どうやら栃ノ木の可能性もあるようです。マロニエも栃ノ木も同じトチノキ属で、マロニエは西洋栃ノ木。花は赤くても白くてもマロニエでも栃ノ木でもほとんど違いはなく、葉っぱも少しちぢれているのとそうでないものとありますが、大きな違いは実。栃の実の殻は突起がなく、マロニエはぼつぼつ突起があります。

銀座のはいったいどちらなのか、実の頃合いを見計らって自分の目で確かめてみようかな。
投稿日 2014年05月21日 23:32:12
最終更新日 2014年05月21日 23:46:23
修正
2014年06月20日
                 くだもの

    (c)La plume d'oie 2014

洗者聖ヨハネの日(6月24日)はイチゴの摘み時  というのはフランスの北方やベルギーに伝わる農作業に関する諺のひとつ。

でもこの時期になるとやはりサクランボでしょうか?


        くだもの

聖リュファンの日(6月14日)には、庭はサクランボで満たされる。

パリだと、結構サクランボがなっている木があり、鳥がいち早くついばんで木の真下は種だらけに。

東京では枇杷も色づいてきましたが、これも熟れてくるとカラスがよく狙っています。飛びながら種を吐き捨てるので、頭上注意です!
枇杷は比較的温暖な地に育つので、パリでは緯度が高すぎて見かけず、南仏のニースではあちこちで沢山実がなっていました。くだものとしてはパリでもスーパーや朝市では売られています。でも日本の枇杷の方がずっと美味。手間暇かけてますから、お値段もお高いですが...

先月の記事で書いた銀座のマロニエ。木によって「マロニエ」、「トチノキ」と名札がかかっているのを発見。実の方は...花が咲いていた割にはその痕跡があまり見られません。また今度確認してみましょう。



投稿日 2014年06月21日 16:10:38
最終更新日 2014年06月21日 16:10:38
修正
2014年07月20日
なんでも某テレビ局の朝の連ドラが結構評判だとかで、なにかの折に観はじめました。小学生の頃に読んだ「赤毛のアン」。それを翻訳した人の自伝のドラマです。

その赤毛のアンの中に出てくる「曲がり角の先には何があるかわからない。だけどきっと一番よいものがある」というくだりがあり、子供の時には恐らく理解できていなかっただろうと思い、という以前に全く覚えていなかったので、ちょっと再読しようかという気になりました。

今はネットであれこれ即調べられて便利な時代!かなり詳しくいろいろ判る上に、2003年に著作権が切れているのでインターネット上で原書が読めてしまう!ということは、カリグラフィーの作品に活用できる、ということで、早速やってみました。

22(火)から開催する巴里祭に寄せたアート展 夏の詩 に他の作品と共に数点出展します。


曲がり角

巴里祭に寄せたアート展 夏の詩

2014年7/22(火)〜7/28(月)

場所 神楽坂セッションハウス

初日14時〜 19時  その他の日  12時〜19時(最終日は17時まで)

絵画、版画、カリグラフィー、切り絵、陶芸、アクセサリー、フェルトなど、さまざまな作家が集います。

ワークショップもいろいろ企画しています。
カリグラフィーでは羽根ペン体験を¥500で行います。
詳しくはこちらへ。


曲がり角
(c)La plume d'oie 2014
投稿日 2014年07月22日 0:55:44
最終更新日 2014年07月22日 0:58:36
修正
2014年08月20日
猛暑もそろそろ終わりかと予報がある割には暑さが相変わらず続く東京ですが、今年の蝉はそれほどうるさくなく、夜遅くになっても鳴き声がやまないほどではないようです。

以前の記事でも書きましたが、イソップの寓話で有名な「アリとキリギリス」は、もともとギリシャ語では「アリと蝉」でした。
そのお話の中で、冬になって蓄えのない蝉がアリに食べ物を乞うと、夏に何やってたの?と問われ、「夏の間は歌って過ごしてました」との答えると、「そんなら今度は踊って過ごせば!」と手厳しく突き放すアリ。


                    蝉の命はみじかくて

                Exlibris(蔵書票)「アリとセミ」ラ・フォンテーヌの寓話より (c)La plume d'oie2012


後生になってフランスの昆虫学者のファーブルが、蝉の生態がわかっていないと文句を言ったとか...。
確かに、蝉は幼虫期は地中に長年生息しますが、成虫はほんの1,2週間から長くても1カ月。考えてみればおかしな話です。

今年はあまり蝉がうるさくないとは言え、実は我が家のマンションの階段や廊下、バルコニーなど、ご臨終を迎えている姿が例年より多いような。コガネムシも同様。イソップの寓話には実は蝉の他に同等のお話でコガネムシバージョンもあるのですが、日本ではお金持ちで金蔵建てるコガネムシなんだけどなァ。

蝉もコガネムシも、本来なら土で臨終を迎えるのが一番だと思いますが、都会ではそうもいかず、マンション内の一角でじっと動かなくなってしまった姿は気の毒なようでもあります。
投稿日 2014年08月21日 10:19:18
最終更新日 2014年08月21日 10:19:18
修正
2014年09月20日
世の中、ただいま栗のシーズン真っ最中。フランスでも秋から冬にかけて焼き栗がおいしい季節です。
                
 
                火中の栗を拾う


(c)La plume d’oie2013 聖ジェローの日(10月13日)には栗で暖を取る。

火中の栗を拾うという言葉をみなさんご存知かと思いますが、自分の利益にはならないのに、他人にそそのかされて危険をおかすことの喩です。転じて、あえて困難なことに自ら身を乗り出すという意味にも使われます。

実は、この言葉、17世紀フランスの詩人ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの寓話に由来します。ラ・フォンテーヌはイソップ物語をもとに寓話集を書いていて、鵞毛庵も蔵書票や豆本のテーマに寓話をいくつか取り上げています。その寓話集の中の「猿と猫」というお話。

猿はベルトラン、猫はラトンという名前で、名うてのごろつきですが、ある主人に雇われている身。どのみち素性が素性なので楽して稼ごうというようなことに関しては達人なわけで、ある日暖炉にくべた栗がおいしそうに焼きあがっているのを見て、猿は猫をおだてて栗を拾わせます。てっきり二人で栗を食べるものと、必死で火の中から栗を拾う猫。ところが、猿は拾ってもらっては端からむしゃむしゃ。そこへ女中があらわれて、その場を追い立てられてしまいました。猫は不満たらたらというわけです。



火中の栗を拾う
19世紀に出版された寓話の挿絵(フランソワ・ブショ画)

ラ・フォンテーヌの寓話?と云う方も日本には多いかと思いますが、意外に身近だったりします。2015年度のカレンダーはラ・フォンテーヌの寓話をテーマに、この「猿と猫」を掲載予定です。
投稿日 2014年09月20日 11:16:48
最終更新日 2014年09月20日 11:16:48
修正
2014年10月20日
    世の中は「栗」の真っ最中と書いてからひと月。それが今では「カボチャ」にとって替わっています。なぜならば、ちょうど食べごろの時期であるのと、10月31日のハロウィンの影響。ハロウィンについてはご参考までに2010年10月のこちらの記事で触れています。

カボチャは漢字にすると南瓜、これは中国語に由来するのですが、ほかに、中国渡来のという意味で唐茄子とか南京とか言われてました。

唐茄子というと落語の「唐茄子屋政談」が有名。商家の御曹司が吉原に入りびたりで勘当され、路頭に迷って川に飛び込もうとしたところを、叔父さんに助けられて唐茄子の担ぎ売りを始めるという「唐茄子屋政談」。結末までここで書くと長くなるので、あらすじ等はお時間のある時に検索願います。あしからず。

また、井原西鶴の一節に「とかく女の好むもの 芝居浄瑠璃芋蛸南京」。かぼちゃは女性が好むものとされていた(いる?)わけです。でも「唐茄子屋政談」に出てくる「唐茄子のあべかわ」というのが大好物な人物は男性ですけどねェ。

言葉としては「カボチャ野郎!」なんてあまり良い意味に使われないことが多く、フランス語でもカボチャみたいな頭というのは頭が痛いことを指し、あいつはカボチャみたいに丸いというと、酩酊状態。でも、英語のスラングにはマイ・パンプキンというと愛しい彼氏のような意味にもなります。うっかり間違って訳すと愛しい彼氏は「カボチャ野郎」っていうことになりかねませんが...。(そういう場合もあり得るかも。)

でも実際はカボチャはカロテンやビタミン類を多く含んだ緑黄色野菜で私たちの健康を支え、種から実から皮までもすべて食することができるという優れもの。さらには、フランスの作家シャルル・ペローのシンデレラの物語に於いて、舞踏会に向かうために黄金の馬車に姿を変えるという素敵な一面もあるのです。


秋の夜長にカボチャあれこれ。今宵の夢に黄金の馬車とでるか、ジャック・オ・ランタンに脅かされるか、たらふく食べるか...。



              (c)La plume d’oie 2014   カボチャ
投稿日 2014年10月20日 17:02:17
最終更新日 2014年10月20日 17:11:43
修正
2014年11月20日
ノエル展

今年もノエル展の季節となりました。

12月2日(月)〜12月7日(日)
12:00〜19:00 最終日は17時まで

神楽坂セッションハウス  2階 最寄駅 東西線 神楽坂

アクセス

今年もたくさんの作家が集います。
絵画、版画、切り絵、カリグラフィー、創作額、フラワーアート、キャンドル、フェルト、アクセサリー、刺子、陶芸、雑貨など。

期間中、出展者によるワークショップも予定しています。予約不要、¥500から¥1,500、フェルト、ビーズ、カリグラフィーなど各作家在廊時に行います。お気軽にご参加ください。

12月6日(土)は18時から 甲斐圭一郎、小野塚豊によるジャズ・ボサノヴァのミニライブ(ドリンクチャージ¥700)


2015年のカレンダーはラ・フォンテーヌの寓話です。イソップなどでも馴染のある寓話を12話選びました。

ノエル展

文字が宿るツリー       ノエル展
皆様のお越しをお待ちしております。



投稿日 2014年11月29日 10:35:52
最終更新日 2014年11月29日 10:36:26
修正
2014年12月20日
  キリストが誕生したことを祝うクリスマス。Christmasと書き、英語ですが、これはChristがキリスト、masが礼拝の意味でラテン語のクリストゥス・ミサが語源です。
  また、ギリシャ語ではクリストゥスをxristosと書くことから、キリストのことを略してXとすることが多く、それからXmasと表記されることも。従って、X-mas、Xmas、X’masと表記はさまざまですが、中でもX’masとアポストロフィを加えて表記したものはXがすでにキリストの略なのだから実は間違っています。その表記を見るたびに、小学生の時の英語の時間にアイルランド人のシスターが、「略さずにきちんと英語でお書きなさい、ましてやX’masと書いてはいけません!」と言ったのが頭をよぎる鵞毛庵です。

  ではクリスマスを意味するフランス語のノエルNoëlの語源は何かというと、それはラテン語で誕生などを意味するnatalisという言葉からきています。時代を経て母音に変化などが加えられてNoëlになったようです。
  同じようにイタリア語ではNataleナターレ、スペイン語ではNavidadナヴィダー(やはり誕生を意味するラテン語のnativitasが語源)。ではゲルマンのドイツ語では...Weihnachten ヴァイナハテンで聖夜の意味です。

  本来はキリスト生誕を祝う宗教祭日なのですが、宗教に関係なく年末の年中行事化している日本では、みなさま、どうぞ良いクリスマスを!

Merry Christmas !   Joyeux Noël !
     Buon Natale !     Feliz Navidad !    Frohe Weihnachten !




             ノエル?クリスマス?  (c)La plume d'oie2014
投稿日 2014年12月22日 11:03:38
最終更新日 2014年12月22日 11:09:57
修正