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2013年04月20日
貴婦人と一角獣
毎年恒例になっている蔵書票展が今年もやってきました。17日から5月2日まで小手指のギャラリーUSHINで開催されています。BOOK EXHIBITION カリグラファーと銅版画家からの紙片 と 題し、毎年ご一緒している銅版画家の大野加奈さんとの二人展です。和とじ袖珍本「風姿花伝」カリグラフィー作品集やブックカバーなども合わせて出展し、お買い上げ頂いた蔵書票にはカリグラフィーでの名入れも致します。


蔵書票は、今回は本にまつわる格言に中世の写本の装飾からのモチーフを加えたものを中心に、近日日本で初公開となるパリのクリュニー美術館所蔵の「貴婦人と一角獣」のタピスリー(タペストリーは英語)に着想を得た蔵書票も数枚加えました。

貴婦人と一角獣



この「貴婦人と一角獣」のタピスリーは鵞毛庵がパリに住み始めた当初から馴染み深いもので、クリュニー美術館には何度も足を運んだものです。 タピスリーは6枚のシリーズで、15世紀末ごろパリで下絵が描かれ、フランドル地方で織られたとされています。その内容は貴婦人が一角獣と獅子を従えて人間の五感を表す5枚と「私の唯一の望みに」と書かれた謎の6枚からなり、どれも草花や動物が細かく描かれています。6枚目がなぜ謎かというと、まず他の5枚に比べてサイズが大きいとか、何を意味するのかなど、さまざまな解釈がなされてきているからです。4月24日から7月15日まで、東京の国立新美術館で、その後は大阪で展示されます。特設サイトがありますのでこちらをご覧ください。

今から10年ほど前ですが、「真珠の耳飾の少女」という映画を覚えている方もおられるかと。この映画は同名の小説の映画化で、あのフェルメールの少女の肖像画から着想を得たアメリカの小説家トレイシー・シュヴァリエの作品なのですが、このシュヴァリエ女史は「貴婦人と一角獣」のタピスリーを題材にした小説も書いています。謎の多いタピスリーがどうやって出来上がっていったか、依頼主と若い絵師や周囲の人間模様、タピスリーの工房の様子などが描かれています。日本語訳もあるようですね。

5月末には別のグループ展に参加しますが、その時にはこのタピスリーを題材にした6枚の新作も予定しています。それはまた追って...
投稿日 2013年04月20日 1:59:12
最終更新日 2013年04月20日 1:59:12
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