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2012年08月20日
この世で希少なもの
夜遅くなっても蝉が鳴く暑さの続く中、しばしお付き合いのほどを。

今、上野の東京都美術館でフェルメールの「真珠の耳飾の少女」が公開されていますが、その耳にぶら下がっている真珠、とても大きいです。直径2cmぐらいだそうな。この絵が描かれたのは、フェルメールの没年などから、恐らく1665〜66年にかけてだろうと推定されています。

時を同じくして、フランスにジャン・ド・ラ・ブリュイエールというモラリストがおりました。モラリストというのはフランス特有の呼称で、17世紀頃から使われ始めたのですが、人間性や風俗習慣などを随想や格言で書き残している人達です。ラ・ブリィエールはその代表格なのですが、彼の格言のひとつに、「人間の分別に次いでこの世でもっとも稀なものといえば、それはダイヤモンドと真珠である」というのがあります。

分別、ゴミの分別ではありませんッ。ふんべつ、つまり、物の道理をわきまえていること、事の善悪や損得を心得ていること、仏教用語ではもろもろの事理を思量し、識別する心の働きのことをいい、要は思慮深いということ。それが17世紀フランスにおいて、すでに、というか当然ながらなのか、非常に難しいことであり、今もちっとも変わりないかと。

そして当時のフランス、おそらくヨーロッパにおいて、世の中で希少価値の高かったものがダイヤモンドと真珠であったのですね。これは今の時代では何に値するのでしょうか。

少女の耳飾の真珠、さぞ希少で高価だったでしょうが、直径2cmとなると今でも充分希少で高価ですね...

さて、この一節、今までも作品にしていますが、今回、蝋画の技法も取り入れて新作を書きました。
 

(c)La plume d'oie 2012      この世で希少なもの

Après l’esprit de discernement, ce qu’il y a au monde de plus rare, ce sont les diaments et les perles.
「人間の分別に次いでこの世でもっとも稀なものといえば、それはダイヤモンドと真珠である」
             −カラクテール・当世風俗誌より−


9月3日から銀座のあかね画廊でのグループ展「虹色Palette展 vol.2」に出展します。他にもラ・ブリュエールの格言などの小作品を展示予定です。


この世で希少なもの
虹色Palette展 vol.2  於 あかね画廊
2012年9月3日(月)〜9月9日(日)
11:00〜18:30 (初日13:00から、最終日17:00まで)

もしお時間ございましたらお運び下さいませ。
投稿日 2012年08月20日 0:06:02
最終更新日 2012年08月20日 0:11:44
修正