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2015年07月01日
“本当はひどかった昔の日本”を覗いてみれば…
カテゴリ : [案内望遠鏡]
先ごろ話題になった 『昔話は何故、おじいさんとおばあさんが主役なのか』 (草思社) 
という本がある。 その前作が、『本当はひどかった昔の日本』 (新潮社) という訳で、
両方とも ニヤニヤとしながらも 何故か納得し、ふむふむと頁を繰っていく。

昔話や古典文学に描かれた老人を探って、その時代の老人生態を知る!ということだ。
全国の六万話もの昔話から、古典文学まで徹底的に分析して、老人という “人” を
生活の中に見た。三面記事そのままに テレビのワイドショー顔負けの捨て子に
育児放棄、マタハラに介護地獄。まぁ 次から次へとあるワあるワ。

子供の頃に出会う、『むかしむかし〜』とはじまる話は、『それでぇ〜、次はぁ〜、
え゛っ〜』 などとせがむうちに 大抵、眠ってしまう。 
そして、又翌日に『むかしむかし〜 』と始まる。だから、そう深く内容を考えていない。
が、大人になって思い返すと、結構きつい話である。
『むかしむかし〜』 の昔話は何時だか判らない、昔々の物語であった。 
ところが、自らが老境に差掛り、世の中が高齢社会となると 『昔話は何故、
おじいさんとおばあさんが主役なのか』 はいやに興味が湧く題材であるし、
この社会事情では 本当はどうだったのか昔の日本 となるわけだ。
昔話に登場する、したたかに頑張る老人は、返して見れば、したたかに
頑張らなきゃぁならなかったということでもある。
      七十過ぎても“婚活"!   姥捨て山に捨てられても、みごと生還!
極楽往生したくて、井戸にダイブ!   ……昔の老人はやばかった!! 
昔話は何故、おじいさんとおばあさんが主役なのか』 という本の内容紹介は、少々
袈裟を広げすぎるとは思えど、ついつい本の著者 大塚ひかり氏による老人論に
引込まれる。実在したイカす老人として、かの世阿弥の名前も挙がっていた。
まぁ、長く生きりゃぁ それなりにいろいろあらぁな… 

一般にどうも人は 昔は良かった と思いたいようだが、さして昔も今も変りなしと、
本当はひどかった昔の日本』 に突き付けられる。
まっ、この日常茶飯事、事の善し悪しは兎も角、昔から誰かが、何処かで経験済み
ときている。
昔はよかった」なんて大嘘です!?
我らがご先祖様は、こんなにも残酷で、だけど強かった!
みんな古典に書いてある!
と著者は言う。が、この古典の中には勿論 能 もある。 
そう、イカシタ老人の世阿弥の作った能である。



投稿日 2015年07月03日 17:26:17
最終更新日 2015年07月03日 17:26:37
修正