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2015年05月01日
スズランの日
カテゴリ : [案内望遠鏡]

五月の朔日、近頃ではちょっとした花屋の店先にスズランが登場するようになった。
生きのイイ葉に埋もれて申し訳なさそうに ウズクマッタ白い花は無理やり花束にされ
誠にお気の毒。 “スズランの日”なぞという おフランスの習慣に、花屋の都合で紙だの
リボンだの巻き付けられて年々暑くなる東京のこの時期、花にとっては辛いお勤めに見える。

16世紀にヨーロッパに於いて、スズランの栽培が始まってからこの風習が生まれたという。
仏国のシャルル9世が、幸福をもたらすとされるスズランの花束を贈られて歓喜したことが
一つの切っ掛けで、恋人たちの出会いや幸せの象徴ということのようだ。
スズランを摘み、小さな花束にして贈るのは5月1日が、愛の日という事とも相まって
出来た洒落た話である。

そもそもスズランはユリ科、スズラン属の総称だから、多種多様なのだろうが、我国では
君影草、谷間の姫百合などとも云うらしい。
この名は、柔で清楚な感じが伝わるが、年々、放っておいても、忘れ去られてもしっかり
芽を吹く多年草である。根から、葉から全てに毒があって吾身を守っているという
なかなかの兵だ。誤ってこのスズランを活けた水を飲んで、死亡した例もあるというから
決してあなどれない。山菜として珍重されるギョウジャニンニクと似ていて、まさかとは
思えど、誤食し中毒を起こした話を聞いたこともある。 日本の在来種は高地に自生して、
スズランと云えば北海道! 
となるのだが、現在の園芸店のものは ヨーロッパ原産のドイツスズラン。
花の香が強く、人を振り返させる。そして、美しいラッピングに 
    何とも幼気な雰囲気を包み込んでこちらをじっと見つめている。 
                    今日は スズランの日 です〜  と。

今日はスズランの日

スズランの日 
投稿日 2015年05月02日 11:47:58
最終更新日 2015年05月02日 11:47:58
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