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2015年03月01日
ギルガメッシュ叙事詩
カテゴリ : [案内望遠鏡]
待ち合わせの時間潰しに本屋を覗くと思わぬお宝を見つけることがある。
図書館でもご同様。気分転換の書架の間で、大概何かにぶつかる。
帰る時は予定外の本が両腕に抱えられ、コンビニに寄ることはできない。
夜も八時を過ぎた児童書コーナーは人の気配がなく、受付け係りの見て見ぬふりの中、
あれもこれもと、本を引っ張り出し、低くて小さな椅子で読みふけるのは
少々気恥ずかしいものがある。が、図書館でのお宝発見は俄然、ここである。
夜の九時まで児童書コーナーが開いているのは何とも嬉しい。
調べものに没頭する会社帰りの中年、ひたすら鉛筆を走らせる女学生。
その横で、消しゴムかすに顔を沈めて眠る男の子達。彼らとは別の階で静寂の中
贅沢な装丁、大きな文字、著名な作家による執筆、頁を繰るだけで気分の栄養補給になる。


そんな中 『ギルガメッシュ王物語』という本を見つけた。
岩波書店からの1993年初版発行の出版で、文/絵 ルドミラ・ゼーマン 松野正子訳。
あのギルガメシュ叙事詩が絵本になっている。
穏やかならぬ世界情勢を新書やら、紛争地写真が満載のハードカバーを
館の玄関で展示紹介するが、そもそものメソポタミアのことまでは中々さかのぼれない。
神話の時代まで辿るつもりも更々なかった。
が、ギルガメッシュの背扉の文字に手が伸びて… 結局 三部作の
 『ギルガメッシュ王物語』 『ギルガメッシュ王のたたかい』 『ギルガメッシュ王さいごの旅』
と大型絵本三冊を抱えて帰ることになった。

 

ギルガメッシュ叙事詩

あのギルガメシュ叙事詩〜 なんていうとさもさも知っているかのようであるが、
ただ、耳にその響きがあっただけで、とてもメソポタミアの神様まで手が回らない。
日本の神様だって覚束ない次第で…
世界最古の文明発祥の地といわれるメソポタミア。
今のイラクとシリアの辺りで 5000年以上前に粘土板に刻まれたのがギルガメシュ叙事詩。
実在したとする説が有力なギルガメッシュという王の話で、死後間もなく神格化され
ギルガメシュ叙事詩と呼ばれる説話に纏められ、今日まで受け継がれた。
シュメール人の王ギルガメッシュは メソポタミアに住んだ人々が語り伝えるうちに変化し、
その断片が、エジプト、ギリシャ、ペルシャの神話に流れ込み、ケルト人の神話にも影響していく。
旧約聖書にもしかり。 メソポタミアはエデンの園で、アブラハムの誕生の地ということである。
因みにアブラハムさんは ユダヤ、キリスト、イスラームの神様の大元さまである。
つまり、現在、世界人口の二人に一人が一神教の教えを奉ずるといえども、
はじめのはじめは みな かみさまいっぱい! だったのである。
もっとも、神様だか、人だか境目が判らないのは何処も同じだが。
ギルガメッシュやエンキドゥ、心優しいシャマトやら、火山のことだろうと推察される怪物フンババの
登場で、その地がいかに豊かであったかを伝え、自然大災害に見舞われながらも、勇気、思いやり、
誠実、理想への努力を失わず前に進むかを体現しているというわけだ。

           絵本見開きにルーブル美術館のギルガメシュのレリーフと楔形文字をギルガメッシュ叙事詩

    ギルガメッシュ叙事詩 
メソポタミアはチグリス、ユーフラテス川に挟まれた肥沃な地であった



このメソポタミアは、最初の法典を作り、灌漑技術や一時間かが六十分だということを発明した。
“川と川の間の地” という意味のメソポタミアは世界初の文字を編出し、今にその歴史を
伝えた。 図書館でも多くの大人はこの絵本を子供に読み、ギルガメッシュ王による古代都市の
遺跡があらぬことで破壊されないことを願ったろう。












       

                 
                   
投稿日 2015年03月01日 12:51:18
最終更新日 2015年03月01日 12:56:29
修正