http://nogakusanpo.maya-g.com
記事移動
2007年06月20日
花なくして
                        花なくして 28x39cm
        La plume d’oie © 鵞毛庵 2005   この作品は現在、鎌倉能舞台に展示させて頂いております。  
     花なくして萎れどころ無益なり。  Sans la fleur, l’évanescence serait sans objet.

 今月の三余堂月次で、花の見せ処の話が出たので、それにつられて風姿花伝の一説よりの作品です。上記の作品は「萎れどころ」にイメージを置いて、色調を控え目に仕上げたのに対して、下の新作のほうは「花なくして」に焦点を当てたもの。両作品とも、書体はゴティック体を基礎にした自由書体で、竹や葦を削ったペン(カラム)や筆を使用しています。

La plume d’oie © 鵞毛庵 2007花なくして 28x39cm
 花の見せ処を間違えると、ただむなしく枯れて散っておしまいになってしまうのは、人の人生でも同じこと。などと言うは易し。はたして己はいかがであろうか......


 三余堂付近では枇杷も夾竹桃も今年はことさら際立っている様子。パリの鵞毛庵のアパートの前は街路樹の泰山木数本が満開。10年ぐらい前に歩道拡張の際に新しく植えられたもので、3年前の酷暑も生き延びて、順々に咲いてはよい香りを放っています。こちらも今年は例年に比べて花の数がものすごく多く、まさに見てくれ!といわんばかり。その自信ありげな咲きっぷりと、真っ白な花があっという間に惜しげもなく茶色く萎れてしまうのはあっぱれ。   
花なくして  泰山木の花あまたなり風わたる 

まだまだつぼみがたくさんあり、出かけるたびに当分いい香りを楽しませてくれそう。しかし、立ち止まって頭上の花をしげしげ眺めているのは庵主ぐらいなもの。  さらに写真まで撮ったりして! 

 はたして、他の人たちはこの香りに気づいているんだろうか、まったくもってアヤシイところです。
投稿日 2007年06月21日 4:52:06
最終更新日 2007年06月21日 4:52:51
修正