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2007年06月01日
ころもがえ
カテゴリ : [案内望遠鏡]
初夏の空になった 衣更えの日ころもがえ

6月1日は衣更えである。袷 アワセの着物が単衣 ヒトエになる。
要は 冬から夏になるということである。
一般に 6月1日から夏服に、10月1日から冬服に替えるとしている。

そもそも 衣替えは更衣といった。
季節、季節で衣服を着かえることで 平安貴族が 4月に 薄衣 ウスギヌ、
5月 捻り襲 ヒネリガサネ、6月 単襲 ヒトエガサネ、
8月1日から15日まで捻り襲、8月16日から9月8日まで生織 キオリ の衣、
9月9日から生織の衣の綿入れ、10月から3月まで練絹 ネリギヌ の綿入れ着用と 
決まっていたということである。

季節の移ろいと共に 装束説明がある源氏物語ではお馴染。
天皇の着替え役の女官の職名を更衣と言い、後に女御に次ぐ者を更衣と言うようになった。


いずれの御時にか、女御更衣あまたさぶらひたまひける中に、……、 
そこで ご遠慮申上げて季節の着替えを更衣とは言わず衣替えと言うようになった、と。


江戸時代には 4月1日、10月1日をもって春夏の衣を替える日となり
明治時代、旧暦から新暦に変わって
政府が6月1日を夏の衣替え、10月1日を冬の衣替えと定める。 
 お上が 定めたのか!
今も、制服を着るところでは、6月1日と10月1日を衣替えの日としているところが多い。
が、 昨今の温暖化で 各校で移行期間が設けられ 同じ学校でも バラバラの様相である。
女子中高生の制服衣替えが 新聞一面を飾ることも あまりない。

でも 着物は違う。 きちんと季節、季節を衣替えで受止める。
と 言っても 5月に摂氏30度ではなぁ。
そこは ドウヌキなる 袷のうらが袖口と裾廻しのみの仕立てのもの、
襦袢の衿はともかく 見えない所は 涼しい生地を利用しての工夫がある。
もっとも 空調装置 という強い味方もある。
3月月次 春つ方 に書いたが舞台の上では 能の装束は常に同じである。

季節に係らず酷使される 能の装束を夏の土用のころ、虫干しをする。
カビや虫害を防ぎ 風を通すためである。
暦の上では、土用の間に虫干しをすると良いことになっているが 
結局 冷房を強力にかけての作業になる。

趣ある季節を感じることを文化としている うつくしいくににっぽん は何処!

お手打ちの 夫婦なりしを 衣替え ってな句があった。
単衣の紋付に絽の襦袢のしつらえを見ると ふっと 口をついて出た。



毎年衣更えの頃 産卵を終えたメダカが池を泳ぐ 子メダカの姿は単衣も身についた頃に見られるか…
ころもがえ
投稿日 2007年06月01日 11:44:31
最終更新日 2007年06月01日 11:45:15
修正