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2007年03月20日
旅の衣は篠懸の
ご存知「安宅」。

旅の衣は篠懸の...の篠懸(すずかけ)とは篠懸衣(すずかけい)とも呼ばれる山伏など修験者が着る法衣。これは露を払い易いように麻が用いられています。スズカケとは鈴懸とも書き、プラタナスのこと。なんで山伏の法衣が篠懸と呼ばれるかというと、首から纏う結袈裟(ゆいげさ)の丸い房がスズカケの実に似ていることからきているとか。なぁる。
パリの街路樹にはこのスズカケ、つまりプラタナスが多いので実があちこちでみられます。


旅の衣は篠懸の 鵞毛庵撮影 パリにて 2007 

こうやってしげしげ眺むるに。。。確かに似てますね。昔の人の着眼点は面白い。
せっかく実の証拠写真も撮ったし、ちょっとそれらしい雰囲気も加えてATAKAを自由書体で表現してみました。 
 

                       旅の衣は篠懸の  
                     はがき大 「安宅」© La plume d’oie 鵞毛庵 2007  

先回の個展で能の曲目イメージを桐箱に描き、いくつか父に目を通してもらったのですが、その際に そりゃぁ弁慶だ!安宅ッ!と一発でどんぴしゃだった色合いをもとにしています。

今月の23日から30日まで鵞毛庵が住むパリのオペラ座ガルニエで団十郎・海老蔵の「勧進帳」の公演が催されます。それゆえに今月の作品に「安宅」が登場。

歌舞伎の「勧進帳」は能の「安宅」が原曲の松羽目物。能の「安宅」では弁慶は富樫に対して関所を通さないと仏罰が下るとかなんだとか脅しをかけて強引に押し切りますが、歌舞伎では富樫は疑いつつ、最終的には確信しつつも もののふの情け から関所を通すという泣ける展開。この違いは、「安宅」が作られた時代には、一般的に山伏の存在がかなり怖いものだったらしいのに対して、江戸時代ではその権力が低下、判官びいきでお涙頂戴的な娯楽要素が高まった仕立てからきています。

今回のこの歌舞伎パリオペラ座公演は「勧進帳」のほかに、やはり能から題材をとった「紅葉狩」が演じられます。「安宅」の色調が春らしくないのでちょっと寂しいから色を添えて、と思いましたが これも季節物にあらず。昨年11月の三余堂月次で「紅葉狩」に触れた際には庵主撮影の紅葉の写真を掲載しましたが、ここではあの紅葉狩を思い出しながらの作品。
  

旅の衣は篠懸の  
はがき大 「紅葉狩」© La plume d’oie 鵞毛庵 2007

成田屋親子のパリ公演は千秋楽に観に行きますので、観劇報告は後々に鵞毛庵日記にて。
来月は4月らしい作品を掲載せねば!
投稿日 2007年03月20日 19:29:13
最終更新日 2007年03月20日 19:29:13
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