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2013年12月12日
枇杷
カテゴリ : [三余堂月次]
花屋の店先は鉢植えが賑やかに並ぶ。
クリスマスに向けての華やかなシクラメンだのポインセチア。
一方街路樹の銀杏は黄葉の葉が落ちて寒々しくなっていく。
山茶花や椿、柚子の実の色を道々見ながら、緑を満々と湛えた
大きな木にぶつかる。 花は満開。 小さな白い花弁が重なり合って、
ぎっしりとつき、凝らした目には暖かそうな毛に包まれた蕾も見える。
バラ科の常緑高木。枇杷である。
20cmもある長楕円の厚く堅い葉が互生して、枝は年がら年中ぐんぐんと伸びる。
手の入らない枇杷の木は、家の塀を越えて、道を隔てたくましく生き、
花が咲き、実がなり、種が地に落ちれば容易く発芽する。

大きくなる枇杷の木枇杷

          枇杷 満開の花

中国南西部が原産だという。日本には古代に持ち込まれたらしい。
中大兄皇子や藤原鎌足、はたまた額田王も目にしたのか…
時代は下って、江戸の時代には「枇杷葉湯」として、庶民の夏の暑気払に
盛んに飲まれたそうな。てんびん棒を肩に売り歩いたという。
栽培種は江戸末期に導入され、明治から、茂木や田中などの名で今も知る。

ふっくらとした橙の実を掌に包み、みずみずしさと甘さを頬張る 初夏の枇杷の実。
師走の乾いた真っ青な空の下では その素が数で勝負を賭けてきている。 
今日も 東京は乾燥注意報が出た。



投稿日 2013年12月12日 14:14:03
最終更新日 2013年12月12日 14:14:03
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