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2007年01月20日
四海波
もうすっかり正月気分も抜けていますが、一応1月ですので 月並みですが(笑) 新年にちなんでおめでたい「高砂」より。

  鵞毛庵のサイトLa plume d’oie ラ・プリュム・ドワでも「高砂」の作品を取り上げていますが
http://www.maya-g.com/monthly/index.html >(2005年10月参照) 

こちらでは「四海波静まりて」の一節から。


              四海波
                  38x50 鵞毛庵© 2005         「高砂」 四海波静まりて 
                     SUR QUATRE MERS LES VAGUES APAISEES

  ゴティック書体のひとつである手書きの草書体を庵主風にアレンジしたもの。
  ゴティック書体というのは主にドイツ語圏で発達したもので、グーテンベルグの印刷術が発明されたの(15世紀)と、ヨーロッパでは大学が発生し、それまでの聖書が中心だった書物の需要と供給が一般的に一気にひろがった時代の書体。印刷用の活版文字、手書き文字、場所や用途により、実に多くの種類があります。ゴティックというとどうも硬い印象を受けがちですが、手書きの流れるような書体も日常生活の中では存在していたわけです。


またまたここで「かめのぞき」色を試みている庵主ですが...  静かな潮騒の音が聞こえてくるでしょうか?? 
                       四海波

                  鵞毛庵© 2005     「高砂」 四海波静まりて  部分 


  さて、おめでたいと云えばよく結婚式で謡われるのが「高砂」。時代劇やドラマなどで耳にするのは、その殆どが「高砂や この浦舟に帆をかけて」の部分ですが、これは厳密にいうと何かの出立を祝う時にふさわしく、結婚式では本来は「四海波静まりて」の部分を謡います。

  この風習は江戸時代に一般庶民の間でかなり流行したそうです。当時は能は武家のたしなみであって、普通の人は勧進能とか町入能とかいう特別な催しの際だけが実際に目にする機会だったのですが、謡はかなり浸透していた様子で、そのおかげで寺子屋での課程に組み入れられたり、謡を習ったり、そのために読み書きを覚える町人の数はかなり多かったとか。ここ数年、日本の学校教育で日本の古典芸能の実習や体験などを教科課程に取り組んでいる様子。それが効をなしてひとりでも多くの方にもっと気軽に能を楽しんでいただけるようになるかしらん。

ところで、平成19年の日本ならびに世界の四海波はどうなることか。
               
投稿日 2007年01月21日 9:52:41
最終更新日 2007年01月21日 10:28:50
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