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2010年03月01日
春をまつ
カテゴリ : [案内望遠鏡]
何だこれは…
つんつんと細い針のような葉が 踏みつけられても致し方ないように、ちょこんと顔をだしている。
どうも これは昨秋に植えたものらしい。 いつ植えた…… 三余堂は植えてはいない。念のため。
春先の庭で 小さく土の上に花を咲かせるための球根が葉を出したのか。 
とにかく草の間から細い葉が出て 花芽をつつんでいるというわけだ。
あぁ〜 クロッカスだな。


足元に見つけた 春をまつ


クロッカスは秋植えの球根で、子供の頃は ヒヤシンスとならべて 水栽培をしたものである。
水栽培用の透明な鉢で、根が伸びていく様を見ながらも 花が枯れるまで ことさら世話をした
記憶もない。
直径4cmくらいの球茎で、小さな玉葱だと言われれば、これまた そんなものか… と皮を剥きたくなる。
葉は細長く、花の終わった後も長く、ながく、見苦しく、伸びていたのを思い出す。

地中海沿岸から小アジアが原産地だというが、今年の雪に埋もれてもしっかりと芽を出している。
もっとも アルプスの山の麓一面に 野生のクロッカスの花が咲いている写真を見たことがある。
要は ほっておいても、寒くても、時期が来れば春を報せるということなのだろう。
地上すれすれのところに咲くと思われるこの庭の花は 何色だろうか。黄色か白か、あるいは薄紫か。







長く赤いめしべのサフラン春をまつ


薄紫といえば 似たような花にサフランがある。
以前、クロッカスだ、と思いながら スパイスの本に見つけた。
日本へは江戸時代に薬として伝わった。生薬として、鎮静、鎮痛のために使われるという。
国内での栽培は、明治になってからで、今では大分県の竹田市の名産だ。
小さな花のめしべをひとつ、ひとつ、手で摘み取る作業をしている。
1キロのめしべを収穫するためには数万個の球根がいるというから まことに気の遠くなる話。
竹田産のサフランは、有効成分が国外産の数倍もあり、品質の高さは海外でも有名だとか。
独特の香りの長く赤いめしべは、水に溶かすと鮮やかな黄色になる。
料理のブイヤベースやのパエリアなどでみる、あの色だ。
紀元前からヨーロッパでは、めしべが香料や染料として利用されていたというし、
古代ギリシアではその黄色がロイヤルカラーとされた時代もあるそうだ。
そんな サフランは秋に咲く。

クロッカスは早春に咲く。春サフランとも云うそうである。が、観賞専用。
スパイスのサフランとは全くの別物。
似て非なるものは何事もご用心、これも念のため。


投稿日 2010年03月01日 1:31:24
最終更新日 2010年03月01日 1:31:24
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