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2010年07月20日
  先日の三余堂の記事で葦について触れていたので、鵞毛庵が使っている南仏産の葦のペンをご紹介した次第。今回はもう少しその葦のペンのお話をば。

  この葦のペンをカラムqualamというのですが、その語源はギリシャ語で葦を意味する言葉。現在ではアラビア語やトルコ語などではペンや筆のことをカラムといいます。湿地帯に多く育つ植物ですから、ナイル河、チフリス・ユーフラテス河流域から広まっていったと思われます。その古代においてはさらに広範囲に渡って筆記用具として使用されていましたが、ヨーロッパでも羽ペンが定着するまではパピリュスや羊皮紙にカラムを使って字を書いていました。ルネサンス期の人文主義者達もまだカラムを使っていることが多かったようです。

  南フランスには湿地帯に暖竹といわれる葦の一種が密生していて、そのカラムがこちら。そのほか、竹のカラムも使われています。これはアジア産が主流になっています。

葦と竹のカラム。こうやって写真でみると違いが判りづらいですが。。。。


カラム


実際に生えている根元も竹のようで。。。。


葦のカラムで書いた作品。

                             カラム

                     能 「邯鄲」より La plume d’oie(c) 鵞毛庵2003

                        百年の歓楽も命終われば夢ぞかし
                    Cent ans fussent-ils de joie et bonheur
                    quand la vie s'achève ne sont plus que songe

書体はリュスティカというローマ時代のものなので、カラムを使用。

*作品の画像はクリックしてください。少し拡大されます。
投稿日 2010年07月20日 0:52:18
最終更新日 2010年07月20日 0:53:16
修正
2010年07月12日
カテゴリ : [三余堂月次]
チャイコフスキーのバレエ組曲 くるみ割り人形の中に
『葦笛(あしぶえ)の踊り(Danse des Mirlitons)』というのがある。
この葦笛の踊りは、フランスの踊り、女羊飼いの踊りとも呼ばれる。
葦は、温帯から熱帯にかけての湿地に分布する背の高いイネ科の多年草。
水辺に自生して、世界で最も分布の広い植物だそうだ。
「アシ」が「悪し」に通じるのを忌んで、「ヨシ」とも呼ばれ、漢字表記も「葦」「蘆」「芦」とある。

茎の中は竹のように空胴で、笛として加工するのに都合が良い。
西洋のパンフルートは、長さの異なる芦笛を並べたものである。
古代中国の楽器で、雅楽演奏で見ることができる、簫(しょう)も同じ系統だ。
又、雅楽器の篳篥(ひちりき)、西洋楽器のクラリネットやオーボエ、などに用いられるリードは
この葦の英語でReedを指している。
西洋ではフランスのヴァール地方で採れたリードが 上物とされているとか。
音の明瞭さ、音量の具合等を決めるリードの選定は演奏者の重要な仕事。

ラテン語でcanna、ギリシア語でkannaと云う葦は、南フランスに広く分布している。
南仏は葦が一面に生い茂る沼地が多く、Cannesと呼ばれる地名がつけられたというのだ。
中世から19世紀頭までは、農業や水産業を中心とする村落であったというCannes(カンヌ)は
現在、「カンヌ国際映画祭」で知られる南仏のリゾート地だ。

葦・蘆・芦

鵞毛庵愛用の南仏産の葦(正確にはcanne de Provence 暖竹)のペン 
このようなペンは古代ローマやペルシャなどで多く使われていた。


イネ科の草、芦。日本では稲刈りの後に、芦刈(あしかり)が行われ、各地の風物詩だったという。
軽くて丈夫な棒である茎は用途も広い。
夏にお世話になる葦簀(よしず)は 芦の茎で作ったすだれ。
屋根材としても茅葺民家の葺き替えに現在でも使われているという。
日本神話ではヒルコが葦舟で流される。
パリのギメ美術館所蔵に 鈴木春信が描いた鷺と葦があるが、
芦は 河川の下流域や干潟広大な茂み、芦原を作り、多くの水生動、植物のよりどころとなる。
ちなみに 日本の古名は豊葦原瑞穂の国という。


能には 世阿弥の改作とされる《蘆刈》という曲がある。
津の国難波の浦で芦を売る男と、離れ離れになった妻との再会を描く。
漁師達の網を引く様や 乙女達の花笠の舞などを真似て見せたりなど
難波の春の様子と芦売りの風情を添えている能で、この部分を笠の段と云っている。
浄瑠璃や地歌箏曲でも《能 蘆刈》の笠の段の部分をとりあげている。
最後に芦売りは 男舞と称する舞を颯爽と舞い、妻と共に都へ帰って行くという話だ。

今、芦笛も芦売りも、夏の設えとしての葦簀さえも、東京はとんとご縁が遠い。
が、三余堂 昨日の九皐会では《能 蘆刈》の地頭を勤めた。
投稿日 2010年07月12日 0:25:30
最終更新日 2010年07月12日 0:25:30
修正
2010年07月01日
カテゴリ : [案内望遠鏡]
昨年の案内望遠鏡で 深海ワンダーの紹介をした。 
涼を求めて 深海散策はなかなかのものであった。
それからしばらくして、可愛いペンギンとオーロラを見る 南極探検をした。
一年後は 宇宙へ飛び立つことに…
事業仕訳とはやぶさの帰還で何かと話題になったJAXAの仕事も垣間見ることができる。

深海ワンダーはキッズワンダーとなり、深海、南極、宇宙の探検となったのだ。
ゲームで楽しみながら学べる子ども向けの学習ウェブコンテンツを文部科学省が制作している。
子供たちが好奇心のまなざしを向け、学びのきっかけを提供することを目的としているというが、
大人も活用の価値あり。文部科学省のお仕事である。

同じく 文部科学省のお仕事。
今年が 国民読書年と御存じよりのお方はおられるかな!!!
手前 まぁ〜ったく 存じよらず。
国民読書年とは、2008年6月6日の衆議院・参議院での全会一致で
「国民読書年に関する決議」にもとづいて制定された。と。
決議では、深刻化する活字離れ、読書離れが危惧される昨今の状況を踏まえて、
文字・活字によって伝えられてきた知的遺産を継承・発展させるために、2010年を「国民読書年」に制定し、政官民協力の下で、国をあげてあらゆる努力を重ねることが宣言されているそうな…  ふぅ〜む。
解ったような、分からぬような。
一応こんなサイトがある。

「国民読書年」云々のサイト、結局 辿り、たどりして チャレンジクイズ文化財ってな〜に? 
に到着する。
文化財の定義やら 国宝の話やら きちんと確認しておくべきことがよく判る。
能を担う者として当然のことが、文化財の指定を受けていても案外不勉強なものである。
一度は目を通したい内容であった。これこそ 文部科学省のお仕事。

が、はたして 此処へどれだけの人がアクセスしているのか。
夏の暑中、まっ、キッズワンダーには勝てない。








鵞毛庵からも 一寸一言!

文部科学省のお仕事  La plume d'oie (c)2006 

深海ワンダーならぬ、ジュール・ヴェルヌ 「海底二万里」1870年初版の復刻版(ポケットサイズ) 鵞毛庵の蔵書である。
なんだか読書年にはぴったりかもしれない。ワクワクしながら子供の頃に日本語訳を読んだ方も多いのでは?

ちらりと背後に見えるのは海にちなんだ作品。

グラスの底に見える海、よォく覗き込むと... 
Au fond des verres où l' on aperçoit la mer ,quand on se penche bien.....


投稿日 2010年07月01日 0:26:50
最終更新日 2010年07月01日 14:31:32
修正