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2008年04月20日
宝尽し
ちょっとお祝い事があり宝尽しのイニシャル。

                   宝尽し  La plume d’oie©鵞毛庵2008               
              
書体はLOMBARDE(ロンバルド)といって、13世紀以降のゴティック書体のテキストの頭文字などに使われています。
従来のゴティックの写本の装飾頭文字のスタイルを現代風さらに和風にアレンジしています。


宝尽し
従来のスタイルで書かれた作品 La plume d’oie©鵞毛庵 2000

イニシャルのHは亀甲、Mは七宝で埋めてアカンサスの葉をあしらい、和風のおめでたい鶴亀と宝尽しにしました。

宝尽しは、もともと中国で瑞祥を表した道具類を集めた文様が室町時代に日本に取り入れられたもので、当時の貴重な品、縁起の良い品物で埋めつくした文様です。


               宝尽し 宝尽しの袱紗


このイニシャルでは分銅、宝珠、宝鑰(ほうやく)、打出の小槌、金嚢(きんのう)、丁子(グローブ)、書物(謡本)を配しました。

今の時代では、え〜〜?どうしてこれが縁起よいの?と思うような品物ばかりですが、昔はさまざまな理由から珍重されていたものです。

「分銅」は秤のおもりですが、金や銀で分銅型に鋳造してお金の代わりに非常時に備えたことから蓄えのシンボル。

「宝珠」は密教の法具で、如意宝珠とも呼ばれ、金銀財宝望むものなら何でも出せるというもの。

「宝鑰(ほうやく)」とは鍵のことで、蔵の鍵をかたどったもので、蔵ということから財産を象徴。

「打出の小槌」は一寸法師のお話にもありますが、望みを何でもかなえてくれるもの。

「金嚢(きんのう)」はお金を入れる巾着。巾着には香料やお金、お守りなど大切なものを入れていました。

「丁子(グローブ)」は丁字とも書き、香辛料のグローブです。平安時代に日本に輸入され、その芳香と希少価値から珍重されたもの。香料のみでなく、染料、薬にも使われました。ここで用いたデザインは、丁子入れです。今ではスーパーでも普通に売っている香辛料ですが...

「書物」は巻子で表されることが多いですが、ここでは書物の形で謡本です。かつては巻物や書物は知識の宝庫とされ、現在では考えられないほどとても大切にされていました。

宝珠や打出の小槌はポケットに忍ばせたいかもなぁ。
投稿日 2008年04月20日 12:45:50
最終更新日 2008年04月20日 12:46:11
修正