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2008年01月20日
燃える魂とは...
 ここ数年、能の花シリーズとは別に、歌会の御題にあわせて原文がフランス語のものをお書初めをしている庵主ですが、今年の「火」というのは題材としては事欠かないのだけれど、いざお書初めとなると内容が暗かったり縁起よくなかったり。さらにどうしても今まで作品にしている葵上や「道成寺」のような執念や怨念がメラメラ〜〜っというほうに気がいってしまいがち。

                     燃える魂とは...
                         道成寺 部分

 「火」から「炎」、「火焔」へいろいろと連想した庵主。能の装束にもしばしば見られる火焔文様、火焔太鼓、不動明王、ゴティック建築の後期のフランボワイヤン様式。フランボワイヤンとはまさに燃えているといった意味で、15世紀ごろになりますが、教会やお城などで見かけることができます。

燃える魂とは...これはパリ市内にあるサン・セヴラン教会。

まさに炎です。

 不動明王の背後には迦楼羅焔(かるらえん)。この迦楼羅とは人間の三毒を食べてしまうという火の鳥のこと。百八つあるといわれる煩悩は大きく三つに分けられ、それは貪ること、怒ること、愚かなことで、三毒と云います。実は西遊記にでてくる三人の従者はこの三毒を表しているとか何とか聞いたなぁ〜などと、横道にそれ、仏教の地獄の火車、生計が苦しい状態をいう火の車、そうそう、フランス語でも状況が悪いことを云うのに似た表現があり、だけど、中国語で火車は汽車や列車のこで、と また横道へ。

 あれやこれやで、やっとヴィクトル・ユーゴの小説「笑う男」の中の一節である 

Le corp est cendre, l’âme est flamme 「肉体は灰、魂は炎(ほむら)」

になりました。これを、たとえ肉体は滅んでも、情熱は生き続けるというように解釈してペンを取った作品がこちら。


                燃える魂とは...
 さて、この「笑う男」という小説、誰に話しても知らない人ばかりで、かく言う庵主もそうでした。そこで早速検索。和訳は大正年間になされて以降、少し改定されたものの新しいものは出ていないらしく、アメリカでは1928年に映画化されているのが判りました。
あらずじはこちらで

 この映画の複雑なあらすじを読むに、これはやはり...メラメラ〜〜のほうでしょうか。
投稿日 2008年01月20日 22:28:00
最終更新日 2008年01月20日 22:28:32
修正