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2007年09月20日
能の花 Vol.3 作品紹介 その6
これはどうやって書いているのですか?と、よくご質問を頂いたのが白抜きの字。
マスキングゴムとかドローウィングゴムという液状のゴムを使用して書いています。このゴムで字を書き、乾いた後に擦り取れば白く抜ける技法です。
マスキングゴムは字を書くだけでなく、装飾の枠取りにも使用されます。これはペルシャやインドの写本でも枠取りに使われている技法です。下記でご紹介する「頼政」の扇面や「善知鳥」の装飾部分などはこの技法で枠取りしています。


高砂

能の花 Vol.3 作品紹介 その6

28x39(c)La plume d’oie 鵞毛庵2007

        松も色そい春ものどかに
Des pins la couleur profonde et du printemps la sérénité


松の青々とした感じに合わせて色を選びました。白抜きの件で一番質問攻めにあった作品。書体は白抜きの部分も中央の細かい部分も既存の書体をアレンジしたもの。

頼政 

39x56 (c)La plume d’oie 鵞毛庵2007  能の花 Vol.3 作品紹介 その6



          埋もれ木の 花咲くこともなかりしに 身のなる果は あはれなりけり 
           Sur le bois fossile, jamais la moindre fleur ne s’est épanouie  
               Et mon ultime destin fut affligeant plus encore



5月に取り上げた頼政ですが、これは扇の芝に着想を得た作品。細い書体は面相筆を使用しての自由書体です。緑の部分は和紙のコラージュ(貼り付け)、二番目の扇面が白抜きの技法です。この部分の書体はゴティックのフラクトゥール体。下方の扇面の書体はゴティック書体からのアレンジでYORIMASAと書いてあるのですが、文武両方に長けていたという老武将をイメージして。画像をクリックして拡大してご覧ください。

善知鳥

                      能の花 Vol.3 作品紹介 その6

                        39x56  (c)La plume d’oie 鵞毛庵2007

                           往時渺茫としてすべて夢に似たり
           Des choses d’antan le reflet lointain n’a plus de consistance qu’un rêve


色合いは「善知鳥」で用いる装束や扇からイメージ。往時渺茫(おうじびょうぼう)Des choses d’antan le reflet lointain の書体はリュスティカという古くローマ時代のものをアレンジ。白抜きの部分は自由書体とアンティカとかユマニスティックと呼ばれる書体です。

投稿日 2007年09月22日 5:11:41
最終更新日 2007年09月22日 5:49:15
修正