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2008年03月01日
牡丹唐草
カテゴリ : [案内望遠鏡]
花や葉を蔓状の曲線でつないだ文様を唐草という。
平安時代に 大陸からの蔓草文様という意味で からくさ という名が使われていたようだ。
古代から洋の東西、その時代で変化をみせて 多くのものに取り入れられている。
エジプトの睡蓮文様が唐草文様の起源といわれるが 詳しくは 鵞毛庵の記事に任せるとして
日本では正倉院宝物に西方からの唐草文様が多くみられる。
文様の種類は数々あれど その後、日本の文様として牡丹唐草、ぼたんからくさ文様は定着する。
三宅坂の国立小劇場の緞帳の中に 牡丹唐草文の見事な綴織 (つづれおり)のものがある。

唐草文様の中でも 華やかな図柄は 装束、帯等々と目にする機会も多い。

正倉院古裂柄牡丹唐草 牡丹唐草牡丹唐草図

2月の鵞毛庵能の花シリーズで 春節の獅子にふれているが
唐代に盛んに使われた牡丹の唐草文様は獅子などと組み合わせて、華麗な文様を描き出している。
大陸伝来の唐獅子は幻想動物の獅子で、法隆寺や正倉院にその姿を見ることが出来る。
法隆寺展、正倉院展、書物などでお目にかかった御仁も多かろうと思う。
空海や円仁が唐から持ち帰った曼荼羅には獅子の図があった。
仏法護持の神獣ということか。


その後 12世紀末の鳥獣戯画に唐獅子は登場、興福寺供養での獅子舞なども行われているようだ。
能の起源となる 田楽や猿楽と並んで民間で獅子舞も行われたであろう。
勇猛な唐獅子の姿をかり 邪気を払う呪術的な要素も持った芸能は現在に至る。
能 石橋 (しゃっきょう) は百獣の王としての獅子が華麗な牡丹の花姿と対峙して登場する。
歌舞伎の鏡獅子や連子師の元になる。
紅白の牡丹の花が咲き誇る 大きな作り物が舞台中央に登場する。
張りつめた 冷たい気の中 静寂のうちに落ちる花の露の密やかな音がきこえる。
大、小、太鼓が露を伝える その息と力で。
そして親獅子、子獅子の登場。獅子の頭も白は親、子は赤く 
勇壮な親獅子、血気盛んな子獅子、 三間四方の舞台で処狭しと ぴョコタン、ピョこたん と跳ねる。
華やかそのものの演出である。


武家は唐獅子図を好んだ。
日光東照宮の装飾彫刻の中で多用される 唐獅子と牡丹の図柄。 豪華絢爛 。
まさに 唐獅子牡丹である。

義理と人情を 秤にかけりゃ 義理が重たい 男の世界
幼なじみの 観音様にゃ 俺の心は お見通し 背中で吠えてる 唐獅子牡丹

健サンは背中に彫る。

やがて夜明けの 来るそれまでは 意地でささえる 夢ひとつ 背中で呼んでる 唐獅子牡丹 と
                 
帯に牡丹唐草を選ぶ小生であった ……牡丹唐草









投稿日 2008年03月02日 9:38:32
最終更新日 2008年03月02日 9:38:51
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