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2006年11月20日
秋乃水
鵞毛庵の制作の題材が「能」なので、色合いは装束や内容からイメージすることが殆どである。 従って、日本画の顔彩を使用することが多い。

先日、三余堂がしげしげと何色か揃っている顔彩の箱を眺めているので、西洋と日本では色合いが違うために用途によって顔彩を使い分けている旨説明した。

  「じゃあ、瓶覗きは?」

さすがに三余堂である。
 ちょいといいとこついてくるじゃありませんかねぇ。

残念ながら「瓶覗き」は持っていなかった。

日本の色には本当に面白い名前が多い。その中でもこの「瓶覗き」はすこぶるカッコいい。
別名「白殺し」ともいうらしい。

どんな色かというと、極々薄い水色。藍染の瓶に布をさっと通して染めた色である。白では場合によってはきついので、藍をほんのり染めて、白を殺すのである。歌舞伎の浅葱幕よりももっともっと薄い水色。

水色系を取り入れたいと思うと、いつも「瓶覗き」を一番に頭に描くけれど、決して成功したことがなく、別の色を使う庵主である。




               秋乃水
                       「江口」より  秋乃水 漲(みなぎ)り落ちて 去るふねの
                    Sur les eaux de l’automne qui se gonflent et retombent, la barque fuit

                                (c)鵞毛庵 La plume d'oie

「秋の水」というと、澄み渡って冷ややかな水を指し、俳句では秋の季語になっている。川や湖水ならば紅葉が水面に映っているのだ。
秋乃水 同じく「江口」より (c)鵞毛庵 La plume d'oie


日本のなんとも表現しがたい色合いのひとつ。
投稿日 2006年12月04日 6:19:07
最終更新日 2006年12月11日 8:17:29
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