記事移動

よそさんの前を御免下さいまし!
こんな親子が三余堂への行きに見送り、帰りに出迎える。
風流な御仁が設えた物だ。
身の丈 1メートル50はあるか信楽たぬき。
福々とした狸殿、編み笠を被り少し首をかしげながら徳利と通帳を持って立っている。
信楽焼<しがらきやき>は、滋賀県は忍者の里 甲賀市の信楽町を中心に作られる陶磁器。
狸の置物と言えば信楽と思っている。
常滑や備前、清水などでも焼かれている徳利片手の狸だが
大狸の信楽焼置物は比較的歴史が浅いのには驚いた。
信楽では 幕末に狸の置物を造っていた記録があるというが、あの大きいのになったのは
明治以降、の作家によるものが最初らしい。
戦後、昭和天皇が信楽へ行幸の際
をさなどき あつめしからになつかしも 信楽焼の狸をみれば
と狸たちに歓迎されたことを歌に詠まれた。
このことで 恐れ多くも、信楽の狸が全国に知られるようになったという。
「他を抜く」と書いてたぬき、よそ様を抜くということに通じるので 商売繁盛とばかりに
店の軒先に置かれることが多いという訳だ。 ご縁起物。
香合に掛軸と 茶席にも登場する気取った狸もいるし、昔話に登場して人を化かすのもいる。
憎めない その図々しさに親しみを感じるのか。
音曲から落語まで取り上げられる話題のつきない存在である。
2月の鉢木が講談仕立なら 次は落語の一席で「狸」といきたいところである。
えぇーっ 先代の小さんは その風貌から狸に似ていると云われましてぇ、
お頼まれしますってぇと 色紙などにもよく狸の絵を描きまして…。
一門はたぬきの噺をすると たぬきの料簡になれ!と教わったもんでございます。
たぬきの料簡 とはなんぞや… えぇーっ キツネは七化け、たぬきは八化け ともうしまして〜
若い噺家の枕の受売りだ。
いろいろあるたぬきの噺は とどのつまり 助けられた御礼話である。
劇作家の宇野信夫氏が そんな噺から 霜夜狸〈しもよだぬき〉 という作品を書いた。
1966年にNHKラジオで放送したものを ついこの間、ラジオドラマ・アーカイブスとして放送していた。
40年前のものである。
新派の大矢市次郎がとっつぁん、文学座の若き加藤武が狸。
孤独に暮らす番小屋の老人と、寒さに耐えかねて老人の死んだ息子に化けたタヌキが、
しだいに心を通わせていく……。
歌舞伎界の大御所・宇野信夫の原作を、森繁久彌が構想15年を経て完成させた人情アニメ。
森繁の語りが絶品だ。と 銘打ってDVDも売られている。
狂言現行曲にも 狸腹鼓〈たぬきのはらつづみ〉、 和泉流のみになるが 隠狸〈かくしだぬき〉、とある。
人間とお狸さまとのかかわりは、狂言も御同様。 で、今日も 寒空の下 たぬき親子に迎えられた。
おかえり!
2009年03月20日
2009年03月12日
カテゴリ : [三余堂月次]
鼓に掛けられた袱紗 
袱紗はその昔、まぁ ちょんまげを結っていた時代…
進物を贈る時に三宝〈さんぼう〉や広蓋〈ひろぶた〉、にのせた品物の上に掛けたり、
貴重品などを収めた箱の上に 掛けていた布のことである。
掛布というか、敷布というか、風呂敷状のものだ。
大風呂敷は散らかし部屋の雑物を覆い、楽屋では三余堂の身ぐるみ纏めてひとくくり、
と重宝なお風呂敷。
エコだとかなんだとか見直されているのが袱紗の親分 おぉ風呂敷である。
ちなみに検事諸氏、紋入りの風呂敷で書類を包んで法廷を移動する。
おおきな掛け布、包み布は、実用としての歩みと共に 日本人の美意識の表現一つにもなっていく。
昔は ネコもペリカンもこぐまも贈答品を運ばなかった。
もちろん 佐川さんも軽トラなんぞで運んではくれない。
そこで、贈答品の日除け、塵埃除けとして、ふくさで包んだり、掛けたりして
道中をテクテクと行ったわけだ。
羽二重や綸子などの柔らかい布で作ったところから、ふっくらと柔らかいという意味で
「ふくさ」と言うとか。
江戸時代中期には、掛袱紗が習慣になっていたようだ。
ご存知 東映時代劇!
忠臣蔵じゃぁ、吉良さんちに 定紋入りの掛ふくさの品々が 並んでいました。
浅野さんも 鷹の羽のぶっ違いで気張ったことでしょうが
今一つ、二つ お三宝が不足だったのでしょうか。
元々ふくさは一枚の布地で、其の後に 裏地付きの絹布で四隅に亀房と呼ばれる房付きのものに。
慶弔行事の儀式用品として、広蓋と言われる黒塗りの盆、と併せて用いられるようになっていく。
黒塗り盆に掛ける房付きの掛けふくさ
金封を包む小さい風呂敷を手ふくさなどというが、小さいものを 「帛紗」と書き、
掛けぶくさなどの場合には「袱紗」と書くということらしい。
茶道で茶器を拭いたりするふくさや 茶たくの代用とする出しぶくさも帛紗。
先月 鵞毛庵能の花シリーズで 「帛紗」を御覧に入れた。
大は風呂敷、小は金封用の帛紗と三余堂普段使いの愛用品である。
帛紗は四季折々の絵柄や布素材を楽しむ。
用途により、先様に応じた柄を選ぶこともなかなか面白いものである。
目的地に着くと帛紗は外され、懐にしまわれる。 ことさら先様の目に触れることはない。
枝垂桜を待つ頃に

袱紗はその昔、まぁ ちょんまげを結っていた時代…
進物を贈る時に三宝〈さんぼう〉や広蓋〈ひろぶた〉、にのせた品物の上に掛けたり、
貴重品などを収めた箱の上に 掛けていた布のことである。
掛布というか、敷布というか、風呂敷状のものだ。
大風呂敷は散らかし部屋の雑物を覆い、楽屋では三余堂の身ぐるみ纏めてひとくくり、
と重宝なお風呂敷。
エコだとかなんだとか見直されているのが袱紗の親分 おぉ風呂敷である。
ちなみに検事諸氏、紋入りの風呂敷で書類を包んで法廷を移動する。
おおきな掛け布、包み布は、実用としての歩みと共に 日本人の美意識の表現一つにもなっていく。
昔は ネコもペリカンもこぐまも贈答品を運ばなかった。
もちろん 佐川さんも軽トラなんぞで運んではくれない。
そこで、贈答品の日除け、塵埃除けとして、ふくさで包んだり、掛けたりして
道中をテクテクと行ったわけだ。
羽二重や綸子などの柔らかい布で作ったところから、ふっくらと柔らかいという意味で
「ふくさ」と言うとか。
江戸時代中期には、掛袱紗が習慣になっていたようだ。
ご存知 東映時代劇!
忠臣蔵じゃぁ、吉良さんちに 定紋入りの掛ふくさの品々が 並んでいました。
浅野さんも 鷹の羽のぶっ違いで気張ったことでしょうが
今一つ、二つ お三宝が不足だったのでしょうか。
元々ふくさは一枚の布地で、其の後に 裏地付きの絹布で四隅に亀房と呼ばれる房付きのものに。
慶弔行事の儀式用品として、広蓋と言われる黒塗りの盆、と併せて用いられるようになっていく。
黒塗り盆に掛ける房付きの掛けふくさ
金封を包む小さい風呂敷を手ふくさなどというが、小さいものを 「帛紗」と書き、
掛けぶくさなどの場合には「袱紗」と書くということらしい。
茶道で茶器を拭いたりするふくさや 茶たくの代用とする出しぶくさも帛紗。
先月 鵞毛庵能の花シリーズで 「帛紗」を御覧に入れた。
大は風呂敷、小は金封用の帛紗と三余堂普段使いの愛用品である。
帛紗は四季折々の絵柄や布素材を楽しむ。
用途により、先様に応じた柄を選ぶこともなかなか面白いものである。
目的地に着くと帛紗は外され、懐にしまわれる。 ことさら先様の目に触れることはない。
枝垂桜を待つ頃に
投稿日 2009年03月12日 2:38:42
最終更新日 2009年03月12日 2:38:45
【修正】
2009年03月01日
カテゴリ : [案内望遠鏡]

よそさんの前を御免下さいまし!
こんな親子が三余堂への行きに見送り、帰りに出迎える。
風流な御仁が設えた物だ。
身の丈 1メートル50はあるか信楽たぬき。
福々とした狸殿、編み笠を被り少し首をかしげながら徳利と通帳を持って立っている。
信楽焼<しがらきやき>は、滋賀県は忍者の里 甲賀市の信楽町を中心に作られる陶磁器。
狸の置物と言えば信楽と思っている。
常滑や備前、清水などでも焼かれている徳利片手の狸だが
大狸の信楽焼置物は比較的歴史が浅いのには驚いた。
信楽では 幕末に狸の置物を造っていた記録があるというが、あの大きいのになったのは
明治以降、の作家によるものが最初らしい。
戦後、昭和天皇が信楽へ行幸の際
をさなどき あつめしからになつかしも 信楽焼の狸をみれば
と狸たちに歓迎されたことを歌に詠まれた。
このことで 恐れ多くも、信楽の狸が全国に知られるようになったという。
「他を抜く」と書いてたぬき、よそ様を抜くということに通じるので 商売繁盛とばかりに
店の軒先に置かれることが多いという訳だ。 ご縁起物。
香合に掛軸と 茶席にも登場する気取った狸もいるし、昔話に登場して人を化かすのもいる。
憎めない その図々しさに親しみを感じるのか。
音曲から落語まで取り上げられる話題のつきない存在である。
2月の鉢木が講談仕立なら 次は落語の一席で「狸」といきたいところである。
えぇーっ 先代の小さんは その風貌から狸に似ていると云われましてぇ、
お頼まれしますってぇと 色紙などにもよく狸の絵を描きまして…。
一門はたぬきの噺をすると たぬきの料簡になれ!と教わったもんでございます。
たぬきの料簡 とはなんぞや… えぇーっ キツネは七化け、たぬきは八化け ともうしまして〜
若い噺家の枕の受売りだ。
いろいろあるたぬきの噺は とどのつまり 助けられた御礼話である。
劇作家の宇野信夫氏が そんな噺から 霜夜狸〈しもよだぬき〉 という作品を書いた。
1966年にNHKラジオで放送したものを ついこの間、ラジオドラマ・アーカイブスとして放送していた。
40年前のものである。
新派の大矢市次郎がとっつぁん、文学座の若き加藤武が狸。
孤独に暮らす番小屋の老人と、寒さに耐えかねて老人の死んだ息子に化けたタヌキが、
しだいに心を通わせていく……。
歌舞伎界の大御所・宇野信夫の原作を、森繁久彌が構想15年を経て完成させた人情アニメ。
森繁の語りが絶品だ。と 銘打ってDVDも売られている。
狂言現行曲にも 狸腹鼓〈たぬきのはらつづみ〉、 和泉流のみになるが 隠狸〈かくしだぬき〉、とある。
人間とお狸さまとのかかわりは、狂言も御同様。 で、今日も 寒空の下 たぬき親子に迎えられた。
おかえり!

投稿日 2009年03月01日 0:36:47
最終更新日 2009年03月01日 0:36:47
【修正】


昇順

