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2010年12月20日
カテゴリ : [鵞毛庵能の花シリーズ]
山茶花の咲いた垣根(いや、単なる塀ですな)を見ると、あの有名な「たきび」の童謡を思い出しますが、昨今、日本では落葉をかき集めての焚き火は環境問題やらなんたらで見かけなくなって、パチパチっと音がしたり、煙たい匂いがしたりしない。お芋を埋め込んでいるらしいと、どっかから良い匂いがしたんだけど... おててがしもやけなんて子も見かけないしなァ。
フランスでもパリのような都会では焚き火は見かけないけれど、暖炉がまだ使えるアパートは結構多いので、煙突から煙が出ていると時折煙の匂いがします。冬の匂い。
La plume d’oie(c) 鵞毛庵 2010 能 鉢木 より
「鉢木」についてはすでに三余堂の記事がありますので、こちらをご覧ください。
東京はやっと12月らしく寒くなってきました。
例年よりも暖かなので、もうすぐ冬至だなんてちょっと信じがたい感じもしますが、世の中はすっかりクリスマスだし。年の瀬も押し迫って来ました。
そこでひとつお知らせです。
鵞毛庵は年明け1月にいろいろなアーティストのグループ展に参加します。二ヶ所ですが出品作品は同じものです。
*ちいさな絵 matsuri 於 ギャラリーK
1/9(日)〜1/18(火) /12(水)休廊 11:00〜18:00 初日12:00より、最終日16:00まで)
越谷市瓦曽根3-7-7 小柳ビル3F TEL&FAX 048-947-9135
オープニングパーティー9日16時より
*大きな夢 小さな絵 展 於 神楽坂セッションハウスガーデン
1/21(金)〜1/30(日) 12:00〜19:00 最終日 17:00まで
新宿区矢来町158 セッションハウス2F TEL 03-3266-0461 FAX 03-3266-0772
21日オープニングパーティー
見て楽しむカリグラフィーの小さな小さな作品を10点ばかり出品予定です。
鵞毛庵はどちらも初日には在廊しております。
今年も一年、「能楽さんぽ」のご愛読、どうもありがとうございました。
みなさま、良いお年をお迎えください!
東京のホテルに飾られたクリスマスツリー
フランスでもパリのような都会では焚き火は見かけないけれど、暖炉がまだ使えるアパートは結構多いので、煙突から煙が出ていると時折煙の匂いがします。冬の匂い。
La plume d’oie(c) 鵞毛庵 2010 能 鉢木 より
「鉢木」についてはすでに三余堂の記事がありますので、こちらをご覧ください。
東京はやっと12月らしく寒くなってきました。
例年よりも暖かなので、もうすぐ冬至だなんてちょっと信じがたい感じもしますが、世の中はすっかりクリスマスだし。年の瀬も押し迫って来ました。
そこでひとつお知らせです。
鵞毛庵は年明け1月にいろいろなアーティストのグループ展に参加します。二ヶ所ですが出品作品は同じものです。
*ちいさな絵 matsuri 於 ギャラリーK
1/9(日)〜1/18(火) /12(水)休廊 11:00〜18:00 初日12:00より、最終日16:00まで)
越谷市瓦曽根3-7-7 小柳ビル3F TEL&FAX 048-947-9135
オープニングパーティー9日16時より
*大きな夢 小さな絵 展 於 神楽坂セッションハウスガーデン
1/21(金)〜1/30(日) 12:00〜19:00 最終日 17:00まで
新宿区矢来町158 セッションハウス2F TEL 03-3266-0461 FAX 03-3266-0772
21日オープニングパーティー
見て楽しむカリグラフィーの小さな小さな作品を10点ばかり出品予定です。
鵞毛庵はどちらも初日には在廊しております。
今年も一年、「能楽さんぽ」のご愛読、どうもありがとうございました。
みなさま、良いお年をお迎えください!
東京のホテルに飾られたクリスマスツリー
投稿日 2010年12月19日 23:59:50
最終更新日 2010年12月19日 23:59:50
【修正】
2010年12月01日
カテゴリ : [案内望遠鏡]
「鸚鵡(おうむ)は能く言して飛鳥を離れず。猩々 (しょうじょう)は能く言して禽獣を離れず」と
礼記(らいき)にあるそうだが 大酒飲みで真っ赤な顔の 人のようでもあり、人のようでもなし…
その昔、猩々という想像の生き物が大陸で作り上げられた。
ちなみに猩々はオランウータンの和名ということだが。黒猩々がチンパンジーで、大猩々はゴリラ。
人に似た顔と子供のような声、鮮やかな赤い体毛で、人語を解し、酒を好む。
その血はあくまでも赤く 黄味を帯びた深紅の色は一際目を引き、猩々緋という色名に象徴される。
戦国時代、この色が馬上の陣羽織として活躍したのは当然のことと思う。
昔読んだ洋物小説で子供の病気の代表選手に 猩紅熱 というのが必ず登場していた。
あれも真っ赤になるから 猩紅 と名付けられた。
ショウジョウトンボ、ショウジョウエビ、ショウジョウバカマ等、みんな赤い。
時節柄 よく見かけるあのポインセチアも和名はショウジョウボク、 猩々木と書く。
日本には、明治期に入って来たという植物。
当時、あの赤は 猩々をすぐに連想させたのだろう。
酒に惹かれる蠅は、酒好き猩々になぞらえてショウジョウバエと名付けられた。
かの白楽天、白居易45歳の力作に 「琵琶行」がある。冒頭に 潯陽江頭夜客送と詠われいる。
ご存知よりも多いと思うが、朗誦すると10分以上もかかるという大作の長歌で、実に美しい。
白居易が左遷された頃の作品で、中唐代。
その頃、潯陽江あたりは蘆や荻が一面に茫々と生い茂った寒村だったようだ。
といったって潯陽江、今でいう揚子江はあまりにも大きい。 その潯陽江での話をひとつ。
潯陽の里に高風(こうふう)という親孝行者が住んでいたと思いねぇ…
ある晩のこと高風は、市で酒を売れば繁盛するってぇ夢を見て、市で酒売りをしていたら
いっくら飲んでも飲んでも 顔色一つ変わらないお客がいたってンだ。
お客さま、その飲みっぷり! ただもんじゃぁござんせんねぇ〜
いったい 何処のどちら様でございましょうか?
へぇっ〜 あの広い海ン中にお棲みなさるっ! ほぉっ〜 猩々さまぁっ!!
と 腰も抜かさんばかりに驚いた高風。
テンで、川のほとりに酒壷を供えて夜すがら待っておりますってぇと…
真っ赤なお顔の猩々さまのお出ましいっ〜 て、 言ったって、赤いのなんのって。
そのおん出立は赤い頭に赤地の唐織、緋の大口か、はた又赤地の半切、
つまりキンキンキラキラの赤袴。 笑みを浮かべたお顔はほろ酔い機嫌。
ン、まぁ 旦那、いいごきげんて゛ござんすねっ。 ちくと、一杯 いかがです!
こうして 酒をたんと持って参りました!と、猩々にたっぷりと酒を振舞ったりなんかして。
ちょっと ご機嫌な猩々さまは 益々ご機嫌よろしく、一杯か、いっぱいか きこしめして
オミ足もごきげんに酔態の様。 ゆったりと 楽しそうに舞われまして今までの酒代と言いましょうか、
孝行者の高風に 酌めども尽きない酒の泉が湧く壷を賜ったってぇから さぁ大変。
“おまえさん、おまえさぁんっ、 やだよ、この人、夢見てんだよ、何の夢だろうねぇ、にやにやしてさ。”
と、おかみさんが言ったかどうだか。
高風、その酒壷のおかげで末長く栄えまして、誠におめでたいこって、 あっ、お後がよろしいようで…
と、能 猩々では描いている。
シテの舞は 水上を動く猩々の様を見せるための工夫が随所に施されているというわけで、
真っ赤なほおずきのお化けのような猩々が 得も言われぬ特別な足のさばきを 水面にみたてた
舞台の上に見せる、いや魅せる。 めでたい祝言曲。
ちなみに 番組上で 乱 と表されていればこの能を示す。
葡萄の美酒とばかりに 解禁が天下の一大事と大騒ぎした時代があった。
海の向こうの広い大陸、その向こうに砂漠、それを越えた その又向こうの西洋のお酒。
街のスーパーでもあやかり商法で、販売したボジョレー・ヌーヴォーはそれなりの見目麗しき
おばさんが声を張り上げて売り子をしていたが、今や解禁一週間と持たない話題である。
しかし 酒をこよなく愛でる人は洋の東西も、古今も問わない。
Le bon vin fait parler le latin.
良いワインはラテン語をしゃべらせる.... つまり、よい酒を飲むと饒舌になる、楽しい酒になる、という意味の格言。
La plume d'oie(c)鵞毛庵2010
“おまえさぁ〜ん いつからここに こんな壷! やだねぇ、蠅がいっぱいたかってるよぉ…”
礼記(らいき)にあるそうだが 大酒飲みで真っ赤な顔の 人のようでもあり、人のようでもなし…
その昔、猩々という想像の生き物が大陸で作り上げられた。
ちなみに猩々はオランウータンの和名ということだが。黒猩々がチンパンジーで、大猩々はゴリラ。
人に似た顔と子供のような声、鮮やかな赤い体毛で、人語を解し、酒を好む。
その血はあくまでも赤く 黄味を帯びた深紅の色は一際目を引き、猩々緋という色名に象徴される。
戦国時代、この色が馬上の陣羽織として活躍したのは当然のことと思う。
昔読んだ洋物小説で子供の病気の代表選手に 猩紅熱 というのが必ず登場していた。
あれも真っ赤になるから 猩紅 と名付けられた。
ショウジョウトンボ、ショウジョウエビ、ショウジョウバカマ等、みんな赤い。
時節柄 よく見かけるあのポインセチアも和名はショウジョウボク、 猩々木と書く。
日本には、明治期に入って来たという植物。
当時、あの赤は 猩々をすぐに連想させたのだろう。
酒に惹かれる蠅は、酒好き猩々になぞらえてショウジョウバエと名付けられた。
かの白楽天、白居易45歳の力作に 「琵琶行」がある。冒頭に 潯陽江頭夜客送と詠われいる。
ご存知よりも多いと思うが、朗誦すると10分以上もかかるという大作の長歌で、実に美しい。
白居易が左遷された頃の作品で、中唐代。
その頃、潯陽江あたりは蘆や荻が一面に茫々と生い茂った寒村だったようだ。
といったって潯陽江、今でいう揚子江はあまりにも大きい。 その潯陽江での話をひとつ。
潯陽の里に高風(こうふう)という親孝行者が住んでいたと思いねぇ…
ある晩のこと高風は、市で酒を売れば繁盛するってぇ夢を見て、市で酒売りをしていたら
いっくら飲んでも飲んでも 顔色一つ変わらないお客がいたってンだ。
お客さま、その飲みっぷり! ただもんじゃぁござんせんねぇ〜
いったい 何処のどちら様でございましょうか?
へぇっ〜 あの広い海ン中にお棲みなさるっ! ほぉっ〜 猩々さまぁっ!!
と 腰も抜かさんばかりに驚いた高風。
テンで、川のほとりに酒壷を供えて夜すがら待っておりますってぇと…
真っ赤なお顔の猩々さまのお出ましいっ〜 て、 言ったって、赤いのなんのって。
そのおん出立は赤い頭に赤地の唐織、緋の大口か、はた又赤地の半切、
つまりキンキンキラキラの赤袴。 笑みを浮かべたお顔はほろ酔い機嫌。
ン、まぁ 旦那、いいごきげんて゛ござんすねっ。 ちくと、一杯 いかがです!
こうして 酒をたんと持って参りました!と、猩々にたっぷりと酒を振舞ったりなんかして。
ちょっと ご機嫌な猩々さまは 益々ご機嫌よろしく、一杯か、いっぱいか きこしめして
オミ足もごきげんに酔態の様。 ゆったりと 楽しそうに舞われまして今までの酒代と言いましょうか、
孝行者の高風に 酌めども尽きない酒の泉が湧く壷を賜ったってぇから さぁ大変。
“おまえさん、おまえさぁんっ、 やだよ、この人、夢見てんだよ、何の夢だろうねぇ、にやにやしてさ。”
と、おかみさんが言ったかどうだか。
高風、その酒壷のおかげで末長く栄えまして、誠におめでたいこって、 あっ、お後がよろしいようで…
と、能 猩々では描いている。
シテの舞は 水上を動く猩々の様を見せるための工夫が随所に施されているというわけで、
真っ赤なほおずきのお化けのような猩々が 得も言われぬ特別な足のさばきを 水面にみたてた
舞台の上に見せる、いや魅せる。 めでたい祝言曲。
ちなみに 番組上で 乱 と表されていればこの能を示す。
葡萄の美酒とばかりに 解禁が天下の一大事と大騒ぎした時代があった。
海の向こうの広い大陸、その向こうに砂漠、それを越えた その又向こうの西洋のお酒。
街のスーパーでもあやかり商法で、販売したボジョレー・ヌーヴォーはそれなりの見目麗しき
おばさんが声を張り上げて売り子をしていたが、今や解禁一週間と持たない話題である。
しかし 酒をこよなく愛でる人は洋の東西も、古今も問わない。
Le bon vin fait parler le latin.
良いワインはラテン語をしゃべらせる.... つまり、よい酒を飲むと饒舌になる、楽しい酒になる、という意味の格言。
La plume d'oie(c)鵞毛庵2010
“おまえさぁ〜ん いつからここに こんな壷! やだねぇ、蠅がいっぱいたかってるよぉ…”
投稿日 2010年12月01日 1:16:07
最終更新日 2010年12月01日 1:17:39
【修正】