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2015年05月20日
                   コウノトリ

今年の暦の5月に選んだラ・フォンテーヌの寓話は「キツネとコウノトリ」。イソップの原作も同じタイトルですが、日本ではキツネと鶴とかキツネと鶴の御馳走などとも。イソップの寓話のフランス版の著者ラ・フォンテーヌは17世紀の詩人なので、その時代に合わせたフランス特有のロンド体という書体で寓話の冒頭を書いています。

この寓話は、常日頃、キツネはコウノトリを、内心、変なカッコのやつだなぁと思っていたので、御馳走に招待すると言って、わざと食べにくいお皿で料理を出してからかおうとします。困ったコウノトリは、ぐっと我慢して冷静に対処。後日、今度はお礼にうちで、とキツネを招待し、首の細長い容器で御馳走を用意します。キツネはしてやられたわけですが、この寓話の教訓は、人を傷つけると自分も同じように傷つく。

コウノトリというと、赤ちゃんを運んでくるイメージが強いと思いますが、抱卵から子育てまで雄雌の共同作業という習性があり、コウノトリが巣を作る家は幸福を呼ぶなどとも言われて、ヨーロッパでは幸せのシンボルとされている鳥です。フランスのアルザス地方では屋根の上に巣が作りやすいように工夫もされています。

アジアでみられるコウノトリはくちばしが黒いですが、ヨーロッパのは朱いのが特徴。遠目には鶴とよく似ているし、日本では鶴の方が身近でなじみがあるのでしょう。
お祝い事や結婚式には欠かせない鶴。コウノトリも鶴も、どちらも良いイメージです。

投稿日 2015年05月29日 11:04:58
最終更新日 2015年05月29日 11:06:09
修正
2015年05月12日
カテゴリ : [三余堂月次]
消えた記事の掘起し  2011-05-12 三余堂月次から

常用漢字の画数8画に「典」という字がある。テン、のりと読む。
典子とかいて、のりこをテンコちゃんと愛称で呼んだりするのは、その為で、
名前でとしては他に、みちこ、ふみことも読む。
源氏物語の桐壺は典待(ないしのすけ)だったが、おき、すけ、つかさ、つね、などとも読む。

この「典」は 基本となる書物のことを表していて、その大切さを言っているという。
「古典」とか「経典」の「典」で、基準となる教え。転じて、原則。 
そうなると、「典型」や「典範」という言葉が思い浮かぶ。 ずっしっと重みを持った、基準となることを示しているのだ。
読みに「つかさ」とある如く、つかさどるという意味もあって、職務として仕事をあずかる。
時代劇チャンネルでは徳川家、上様のお脈を取る特別上等の医者が登場。
御典医である。 この典医、如何に重職か…
一方、大陸では君主の衣服をつかさどる官職を「典衣」といった。 衣服係だ。
その典衣が衣服を質に入れる意味に転移か?
もっとも今現在、典衣が質入れとしての意味で分かるか。 わからねぇなぁ…

だいだい この文字「典」をじぃっと見ると、上の部分が冊という字。
この字は竹簡の形を描いたもので、竹礼に書いた物が紐で綴られた形だ。
木簡や竹簡は紙が普及するまでの書付物だったから、要は書物を示す。
では下部は。 当然それを載せる台、机ということになる。
机の上に本が置いてある。乱雑に埃に塗れていてはいけない。
整然と、恭しく、鎮座ましまして…  そんな書き物が 「典」 というわけである。

以前 よめねぇやつは 辞書をひけ!と文字を読むと題して記事を書いたが、
この辞書と辞典、字典に字引、違いはなんだと手繰っていく。
う〜むと唸りながら  はたまたう〜む。  
そんな折から、《岩波国語辞典》の編纂に関わられた水野静夫先生の近著《曲り角の日本語
》岩波新書 でその違いをよく識るところとなり、本題の日本語については 溜飲を下げたり、感心したり、はたまた、にやにやとしながら頁を繰る。

辞書の件、荒っぽく言えば同じことで、と先生の言。
電子辞書はさておき、ともかくも手元の字典の埃を払い机上に鎮座願い上げ!



投稿日 2015年05月12日 9:35:39
最終更新日 2015年05月12日 9:35:57
修正
2015年05月01日
カテゴリ : [案内望遠鏡]

五月の朔日、近頃ではちょっとした花屋の店先にスズランが登場するようになった。
生きのイイ葉に埋もれて申し訳なさそうに ウズクマッタ白い花は無理やり花束にされ
誠にお気の毒。 “スズランの日”なぞという おフランスの習慣に、花屋の都合で紙だの
リボンだの巻き付けられて年々暑くなる東京のこの時期、花にとっては辛いお勤めに見える。

16世紀にヨーロッパに於いて、スズランの栽培が始まってからこの風習が生まれたという。
仏国のシャルル9世が、幸福をもたらすとされるスズランの花束を贈られて歓喜したことが
一つの切っ掛けで、恋人たちの出会いや幸せの象徴ということのようだ。
スズランを摘み、小さな花束にして贈るのは5月1日が、愛の日という事とも相まって
出来た洒落た話である。

そもそもスズランはユリ科、スズラン属の総称だから、多種多様なのだろうが、我国では
君影草、谷間の姫百合などとも云うらしい。
この名は、柔で清楚な感じが伝わるが、年々、放っておいても、忘れ去られてもしっかり
芽を吹く多年草である。根から、葉から全てに毒があって吾身を守っているという
なかなかの兵だ。誤ってこのスズランを活けた水を飲んで、死亡した例もあるというから
決してあなどれない。山菜として珍重されるギョウジャニンニクと似ていて、まさかとは
思えど、誤食し中毒を起こした話を聞いたこともある。 日本の在来種は高地に自生して、
スズランと云えば北海道! 
となるのだが、現在の園芸店のものは ヨーロッパ原産のドイツスズラン。
花の香が強く、人を振り返させる。そして、美しいラッピングに 
    何とも幼気な雰囲気を包み込んでこちらをじっと見つめている。 
                    今日は スズランの日 です〜  と。

今日はスズランの日

スズランの日 
投稿日 2015年05月02日 11:47:58
最終更新日 2015年05月02日 11:47:58
修正