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2014年05月20日
          マロニエ?栃ノ木?

        ©La plume d’oie2014

 フランスのことわざより  聖テオドジィの日(5月28日)には、花と言えば薔薇。
                                                                  
今年のフランスの諺の暦の5月に選んだ諺。この時期、フランスではあちこちのバラ園が賑わいます。
一方、パリでは街路樹の代表のマロニエが花盛り。白や赤の花が遠目には円錐形に見えます。



マロニエ?栃ノ木?   パリ市内のマロニエ 白い花が満開
画像をクリックすると拡大します。

これは赤いマロニエの花。近寄って見るとこんな花!マロニエ?栃ノ木?   これが集まって円錐形をなしています。


先日、銀座で見かけたマロニエの花は木自体が小振りで、なんだかさみしい感じがしてしまいました。残念ながら写真を撮り損ねました。

調べてみると、どうやら栃ノ木の可能性もあるようです。マロニエも栃ノ木も同じトチノキ属で、マロニエは西洋栃ノ木。花は赤くても白くてもマロニエでも栃ノ木でもほとんど違いはなく、葉っぱも少しちぢれているのとそうでないものとありますが、大きな違いは実。栃の実の殻は突起がなく、マロニエはぼつぼつ突起があります。

銀座のはいったいどちらなのか、実の頃合いを見計らって自分の目で確かめてみようかな。
投稿日 2014年05月21日 23:32:12
最終更新日 2014年05月21日 23:46:23
修正
2014年05月12日
カテゴリ : [三余堂月次]
シリーズ 消えたアーカイヴ掘り起し 2012年5月の記事から

三河の国に着いた旅のお坊様が、沢辺の杜若を愛でておられました。すると、ここは杜若の名所、
八橋だと教える女がいたんでございますよ。 在原業平さんが かきつばた の五文字を句の上に
置いて、
  「からころも(唐衣)き(着)つつ馴れにしつま(妻)しあればはるばる(遥々)きぬるたび(旅)     
             をしぞ思ふ」  と旅の心を詠んだお話、ご存じでしょうか。
女はそんな歌の話をした挙句、侘び住まいでございますが、一夜の宿をお貸ししましょうなんて、   
お坊様を自分の庵に案内するのです。
やがて、唐衣に冠を戴いた姿で女が現れて、杜若の精だと云い出すのでございますよ。
歌を詠んだ業平さんの冠に、和歌に詠まれた高子の后の唐衣をまとって、
『伊勢物語』の東下りの話や、業平さんの華麗な恋、そして仏さまの功徳なんぞを
謡い舞ったんでございます。杜若の美しい季節、雅な詞章や音楽、華やかな装束、しっとりした舞。
花の精とお坊様とだけが向かい合う舞台でございます。
悟りの境地をお坊様のお力で得たと、杜若の精は夜明けと共に姿を消したそうでございます。 
と、これがお能の杜若。


このカキツバタ、湿ったところがお好のみで、風薫る五月あたりから紫の花を咲かせ始めて。
水辺にひっそりと一輪… なんてことはなく、群をなすんですよ。そりゃぁ、みごとでございます。    

内側の花びらが細くまっすぐに立っていて、その周りに外側に垂れ下がった花びらのある大きな
お花でございます。
まぁ、みなさんその見事さに魅せられて改良に改良を重ねて江戸の徳川様の時代には沢山の
品種が出来上がったそうでございますよ。
「いずれがアヤメかカキツバタ」なんて申しますが、アヤメ(菖蒲)は外側の花びらに網目模様で
乾いた土で育つとか。白い花もございますし、花びらに黄色い筋があったりもするそうで。

カキツバタ(杜若)は外側の花びらに網目模様でなく白い斑紋、色も惹きこまれるような
紫やら純白やら。
ついでに、ハナショウブ(花菖蒲)。これは外側の花弁に黄色の斑紋があるんでございますよ。
それはそれは、華やかな色がさまざまで、絞りもある。カキツバタと一緒で、水辺なんぞの湿地に
育って。 どれも素晴らしく優劣はもとより、見分けも就き難しってところでございましょうねぇ。
但、キショウブという、明治の御代におよその国から来た黄色いお花のショウブがございまして、
要注意外来生物ってのになっているとか。  綺麗なお花ですけれど…
そうそう、カキツバタは三河の国 愛知の県花だそうでございます。

カキツバタと云えば尾形光琳さんのお作に「燕子花図屏風」っていう見事な屏風がございます。
そのお話は昨年の根津美術館の催しにお任せして。
今も国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」がご覧になれますが、
               あそこのお庭のカキツバタもなかなかよろしゅうございますので…





記事は2012年5月時点で、2011年5月の特別展を紹介。
今年の根津美術館は18日まで『燕子花図と藤花図』 と銘打った特別展で艶やかに 
光琳、応挙が美を競って 孟夏を味わえる。


根津美術館には尾形光琳筆による紙本金地着色 6曲1双の 国宝 燕子花図が所蔵されていて、この時期に特別展での公開がある。根津美術館




投稿日 2014年05月13日 17:52:29
最終更新日 2014年05月13日 17:52:46
修正
2014年05月01日
カテゴリ : [案内望遠鏡]


 もう三十年近くになろうか、 新緑の下を歩くと必ずさわやかな芳香を感じる道があった。
風に乗ってくる香りは 春を知らせる沈丁花の香気とは異なり むっとするような湿り気を
含みはじめた空気に混じりながら 追いかけてきた。 なんだろうかと思いながらも花の
香りとも知らず行き過ぎる。
つっかけたサンダルを引きずりながら 照り返すアスファルトに影を見て 『さっきの香りだ!』
手にセブンスターと釣銭を握りしめて、辺りを見回した。 この時期 植栽、プランターから、
道端の小さな草に至るまで美しく新しい緑は どれも勢いに満ちた顔をしてこちらを見ていた。
が、これといって己が鼻に薫りを感ずるものもなく、握られた釣銭が汗で湿って 早く解放しろ
と叫んでいるようだった。
孟夏の心地よい風が、肩越しにすっうと抜けるのを 『こんな季節を楽しめよ』 と、腹の中で
小銭に云いながら玄関へ向かった。

 次の年、煙草屋への道にある家の庭先に白やら藤色やらといやに豪勢な感じで花が咲く。
よくよく見ると 一本の木に濃い紫から白まで、漏斗状の五枚の花弁をつけて花の間に 光沢の
ある葉が陽を受けて輝いてる。 顔を寄せて もっとよく見たいと思った。
覗き込んだ鼻には突き刺すように強い芳香がして、『あの 香りだ!』
香りの主は 匂蕃茉莉とや。 三余堂初めて見知る。
 



花は咲き始めが濃い紫で、次に薄い紫色、最後は白色になって、強い芳香を放つという
ニオイバンマツリであった。 匂蕃茉莉、は、ナス科の常緑樹で原産は南米とのことだが、
日本でも充分に越冬する。その後 三余堂にも小さな鉢植えが嫁入りしてきた。 当時の
園芸の流行りだったのだろうか。 結構大きくなるもので 初夏の爽やかさを玄関先に振り
まいていたが、いつの間にやら なくなっている。 







      五月の花 匂蕃茉莉
投稿日 2014年05月02日 13:30:12
最終更新日 2014年05月02日 13:30:28
修正