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2013年05月20日
   物を切って細かくする、彫る、記憶にとどめる、入れ墨をする、切って跡をつける、細かく区切って進行する(時を刻む)、の他、責め苦しむなどの意味のある「刻む」。

   先回の三余堂の記事の「ハンコ」も文字を刻んであるもので、その多くに篆書を用いるために篆刻と呼ばれています。

   鵞毛庵が最近よく作品に取り入れている蝋画も、蝋を薄く引いたところに軽く彫って跡をつけるということから、北浦和のアートプレイスKで催される「なめらかに刻む」展に出展します。


刻む


「なめらかに刻む」展

2013年5月24日(金)〜6月1日(土)
11:00〜18:00 土日は13:00〜19:00  最終日は17:00まで
29日(水)、30日(木)休廊
於 アートプレイスK

銅版画、蝋画、絵画など、「刻む」作家7人でのグループ展です。

  世阿弥生誕650年を記念しての「風姿花伝」のカリグラフィー作品のほかに、日本初公開中のフランスのタピスリー「貴婦人と一角獣」から題材を得た「五感」の新作を展示いたします。どれもすべて蝋画作品です。蝋画については鵞毛庵を蝋画への扉に誘って下さった荻野哲哉氏のブログ にて。  1月には私のことも取り上げて下さいました。今回の展示もご一緒します。

刻む  5 sens  五感


  人間には五感という感覚機能のほかに、第六感と呼ばれるインスピレーションや直感、霊感などがあります。

  乳母の見舞いに行った際に、ひなびた隣家の夕顔の花をみかけて、姿を見ずともなんとなくそこの女主人が気になってしまった光源氏。なんとなく何かを感じるというのも第六感のひとつかもしれません。


さて、その夕顔を、三余堂こと五木田三郎が7月の観世九皐会定例会で勤めますので ご高覧賜りたく御案内申し上げます。

まだ多少お席をご用意できるかと思いますので是非ご予定にお加え下さい。

7月14日(日)  観世九皐会定例会  13:00〜
        於 矢来能楽堂
 
                  
『夕顔』 五木田三郎
      ワキ 工藤和哉  
           笛 一噌隆之  小鼓 大倉源次郎  大鼓  柿原弘和
                        
    他  能 『阿漕』、 仕舞、 
        狂言 『口真似』 山本泰太郎 山本則重ほか

 正面 ¥6,000   脇正面・中正面 ¥5.000 〈 全席指定 〉

お申込は ご連絡先、チケットお届け先住所、ご希望枚数を添えて
ブログの右上の「メール」に件名「夕顔 さんぽ」でお申込ください。 こちらからチケットをご予約頂いた方にはもれなく鵞毛庵より小さな特典をご用意いたします。


投稿日 2013年05月22日 1:35:12
最終更新日 2013年05月22日 19:12:42
修正
2013年05月12日
カテゴリ : [三余堂月次]
責任や権威を証明するものに印がある。 
判、印判、印形、印顆、印信、判子に押印、捺印、押捺と、
聞いたような、耳慣れぬような言葉もあるが、“ここにハンコウお願いします!” のハンコである。
ちなみにこのハンコウは、版木に彫った文字や絵を刷り、発行するので、版行。
転じて認めはハンコで、判子。ハンコウと、厳密にはちと 意味合いが違う。

ハンコは、古代メソポタミアで使われるようになったというから 6、7千年もの歴史がある。
わが国で古いものと言えば 「漢委奴国王」の金印を思うが、大化の改新後、律令制定とともに
ハンコが使用されるようになったそうだ。
公文書に押されていたものが、中世には花押になる 。

これは所謂 個人のサインで今も閣僚署名は、花押で行なっている。
花押なぞ普段使用することがないので、閣僚就任とともにデザインを考えるとか。
大臣初就任の人にとっては重要優先事項ってところだろう。
昔ながらの免許状は発行者や、それを認めた責任者として、宗家、家元の花押が
印されるので、我々は 結構馴染深い。
江戸時代には何かと役所で書類にハンコを押すようになっていたようだ。 が、ご維新後、
明治政府は欧米諸国にならって署名制度の導入を試みたものの、ハンコに軍配。
その後印鑑で、個人や法人を証明する印鑑登録の制度も始まり、平成の御代も
                                      “ハンコお願いします!  ”である。


大陸で印鑑制度というか、印璽制度が確立したのは 秦の始皇帝の時代という。 
皇帝は天からの授かりものの“璽” じというものを持っていた。
恐れ多くも 『ギョメイギョジ』の 璽である。
官僚任命に当たっては 印と紐を授け、“印綬をもってす”という次第で、
皇帝は最高級の玉製印璽、官僚は官職に従って 金、銀、銅と区別。
名称も璽、印、章と異なり、当然大きさも変わってくる。
秦漢の時代は役人が印に紐を通して、腰に下げ、身分を表していた。
当時の政治文書は紙ではなく、木簡や竹間なので、それらを束ねて紐でくくり、
そこに粘土を塗って、押印した。押印された粘土を封泥という。むやみやたらの開封防止の策。
故に、この時代の印は文字が凹に彫られ、粘土上の文字がくっきりと凸に浮かぶように
鋳込まれていた。その後時代が下って、紙のご登場。

隋、唐代は紙に押印することが定着すると、印は官吏への支給品でなく、役所の常備品となる。
となると、印そのものはバッジや憲章の意味より、紙の印影のほうが 重要になってきた。
大きさと印影での勝負の始まり。
漢の時代の四倍もの大きさ、二寸四方になったそうだ。
秦漢の粘土に推すものは文字が凹み、陰の状態であったが、唐代になると、文字の部分が
凸となり、紙にはっきりと文字で見えるようになる。封泥に代わる認証の誕生であった。
物を閉じるのに使う具体的な仕事から、紙に押した形という 抽象的な性格をはらんでいく。
凹から凸へ、陰から陽への反転だ。

支給物でなくなった印は 個人的なしるしとしての 印を生む。
“これ、ぼくんちの!”“ 私のものだからっねっ。” と蔵書印や書斎の号印などと使われ始めて
官僚制度から解放されていく 。
もっと時代が下って、明、清の時代。 
材、装飾の彫りは勿論、その刻された文字の風雅、風化、風触を抱えて
芸術としてふるまう印が登場する。  篆刻である。

2008年、フランスのオークションで、清の第4代康熙帝のものが8億円近くで落札されたという。
凍石という石材で、重さ3キロ、縦14センチ、横10センチ。
皇帝を示す龍が彫られ、康煕帝が描いた絵画に使用されたらしい。

“ここにハンコお願いします! ”も 辿れば さまざまである。




 “ここに ハンコお願いします! ” 定武蘭亭序 王羲之
2006 東京国立博物館 書の至宝 日本と中国 図録より      歴代所有者による印が夥しく押されている




投稿日 2013年05月12日 14:46:13
最終更新日 2013年05月12日 19:38:01
修正
2013年05月01日
カテゴリ : [案内望遠鏡]
例年5月1日は若葉の香りが満ちみちて、夏への一歩がそこまでと感じるものだ。
不順な天候に幾分慣れてきた昨今、巣作りする野鳥より鳥インフルエンザ、
柔らかな新緑の椿より、それにつくチャドクガの方が気になるようで情けない。
過去に鵞毛庵で紹介されているが、フランスで 5月1日はスズランの日。
海流の関係で暖かいとはいえ、パリの緯度は北海道稚内よりかなり北であるかから
もっと 東京でも至る所に強く丈夫なにスズランを見かけてもよさそうだ。
最近でこそ おしゃれな花屋の店頭にスズランの切り花が並ぶことがあるが、それは
観賞用に栽培されているドイツスズランだろう。日本の野生種より大型で、良い香りがする。
鉢植えを放っておいても結構花をつけるが、群生させて花を観るには余程の条件が要りそうだ。

引き換えて、地面の近くから目を頭上に転じると そこには白い花が鈴なりに咲きだしている。
エゴノキである。 落葉の小高木で、雑木だ。 公園などでもよく見かける。
実を食べると喉や舌を刺激してえぐいので、転じてえごの木となったという。
毒だと教えられていたが、実の皮に含まれるサポニン成分の作用らしい。
水に溶かすと石鹸のように泡立つというし、その麻酔効果で魚取りに使ったりするそうだ。
ヤマガラの好物ということになっているが…  
もっとも、ヤマガラの御馳走になる秋には種子中のエゴサポニンは減少するそうである。


今年も開花 エゴノキ 三余堂のエゴノキ



チシャノキのほうが、耳馴染みのいい御仁もあろうと思うが、『伽羅先代萩』に登場する
ちさの木、“萵苣の木”のことである。
「知左(ちさ)の花咲ける盛りに愛(は)しきよしその妻の子と朝夕に 笑みみ笑まずも」
(知左=エゴノキ)
と 万葉集で大伴家持が詠っているのだから古くから親しみある木ということだ。

屋根ほどの高さで 今頃、横枝から出た小枝の先端に房状に白い花を下向きに多数つけるが、
沢山の落花に初めて花が咲いているのを知ることさえある。緑の中に芳香を放つ頭上の鈴蘭。
新梢にエゴの猫足油虫と呼ばれる「虫瘤(むしこぶ)」ができることがある。
6月を過ぎてエゴノキの枝の先の方を見入ると、花でも実でもないバナナの房の束のようなもの
を見ることがある。 アブラムシによって形成される黄緑色の虫こぶ。
枝先に産卵、寄生するので、その部分が肥大化するらしい。 
初めて見つけた時は正体不明の猫の足のような固まり、 決して気持ちは良くなかった。
この虫瘤、適度なおてんとうさまの陽を浴び、水分補給も充分、生き生きとした幹を持つ
環境の良い場所のエゴノキに発生。 少し日当たりが弱く、幹も力強さに負ける方の木には
養分が少ないと見たか、 何十年 一度も虫瘤をみない。
こぶの主、アブラムシは、8月には次の寄生先イネ科のアシボソに引っ越すと言う。

暑さの峠を越える頃、ふわふわと しろい綿が飛ぶように行くのを 見送りながら 
来年は御免蒙りたいがなぁ と。    しかしこのご時勢、共生ということなにるも致し方なし。







投稿日 2013年05月02日 8:18:14
最終更新日 2013年05月02日 9:45:21
修正
カテゴリ : [案内望遠鏡]
  編集中につき! 取敢えず今日の花を…



           今日は鈴蘭の日
投稿日 2013年05月01日 0:04:14
最終更新日 2013年05月01日 0:04:14
修正