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2009年06月20日
往時渺茫

La plume d’oie ©鵞毛庵 2007  能  善知鳥より (部分)

往時渺茫としてすべて夢に似たり
Des choses d’antan le reflet lointain n’a plus de consistance qu’un rêve


月探査機の「かぐや」から送られた地球の姿は目を見張る青さだったが、アポロの足跡の映像も送られて、ああ、あの日、双眼鏡片手に月を見つつ、実況中継を見ていたなァとぼんやり思い出しました。
これじゃ、うさぎさん、落着いて餅つきできませんな〜〜。

先日、三十年ぶりに幼馴染み数人と再会する機会があった庵主は、往時渺茫たる気持ちになるも、しばらくすると、みな、たちまち幼い頃の顔と声がよみがえり、夢ではない楽しいひと時を過ごすことができた次第。
しかし、人の記憶、それも子供の頃の記憶というのは曖昧なもので、同じことを話しているのに、食い違ったり、覚えていなかったりで、やはり往時渺茫であったかも。
投稿日 2009年06月20日 11:19:18
最終更新日 2009年06月21日 0:30:58
修正
2009年06月01日
カテゴリ : [案内望遠鏡]
仏教で 釈迦入滅のときの伝説によって聖木とされる 沙羅の木。
釈尊涅槃の際、東西南北に生えていて時ならぬ花を咲かせたと伝えられる木。
二本づつあった為に双樹、沙羅双樹、裟羅双樹と云われる木。
インド北部が原産で 日本では温室でなければ育たないという木。


よって 日本でいうところの 沙羅の木は ツバキ科のナツツバキということらしい。
茶花として 白く清楚な花が軸に添って飾られる。 朝に開花し、夕方には落花する一日花。

祗園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色
盛者必滅の理をあらはす おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし

てなわけで この沙羅双樹の花の色は 夏椿のことのようである。
名の如く 花は椿によく似た姿をもつが 秋には薄く、やわらかなその葉は 紅葉して散る。
初夏、 “ボッサッッ…” と 音ともならぬ気配が 落花の時を告げる。
この時期になると、国立能楽堂の中庭には 大きく育った夏椿、沙羅の木が見事な白い花をつけ、
それはみごとな落ちっぷりである。

本来の沙羅双樹は インドの高地などに生える高木の 二葉柿(フタバガキ)科のサラノキ。
こちらが お釈迦様入滅ゆかりの木で、葉の1枚が20センチにもなり、花は小さな房状で芳香あり。
インドのお釈迦様も日本でお釈迦様になると 花木も天竺風から和風へ となるってことで。


和風の沙羅の木には 伊豆半島より以西の山地に自生するという 花や葉の小振りなものがある。
花は梅花ほどの大きさで 姫沙羅という。 庭木や盆栽などでも栽培されている。
箱根にはヒメシャラ林がある。 神奈川県の天然記念物に指定されていることを知った。

以前、三余堂には 夏椿と姫沙羅が それぞれ双樹となって配していた。
日当たりの具合か、今 沙羅双樹は沙羅無樹となり、姫沙羅一本のみが独特の木肌をみせている。
葉は 重なり合いながらも 緑の紗をかけたように日の光を透し、
白い小振りの五弁の花が 黄色のしべを包む。
“ボッサッッ…” という 落花の気配は 姫 というには驚くほどの大きさで 陽の傾きを知らせる。
また、あしたに新しい花を咲かせる為に 本日の了を告げる ということか。


             姫沙羅  沙羅双樹


独特の木肌 沙羅双樹



            沙羅双樹 葉が陽を透かして
















投稿日 2009年06月06日 19:55:40
最終更新日 2009年06月06日 19:55:57
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