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2009年04月01日
カテゴリ : [案内望遠鏡]
正確な文字数が把握できる升目に、一字一字を書込む原稿用紙。
日本語の文章を書くために誂えた用紙である。小学校の作文の時間からの馴染だ。
通常用いられる原稿用紙は400字詰と200字詰の二種類で、1行を20字。
升目は正方形に近いかたちにつくられ、行と行との間に振仮名、傍点を記入しやすいように
ある程度の余白がある。行間の余白を取らず横長の升目のものもある。
老舗の原稿用紙を使って文章をしたためると、 ちょっとした文士気分で作文も上等になるかと…
あぁ 勘違いも甚だしい限りだが、名入りの原稿用紙には憧れたものだ。



原稿用紙の起源は、隠元禅師でご存じの黄檗宗が 経典の版木をつくるに当たって、
縦一行の字数を20字横10行と定め、これを1頁と定めたことによるらしい。
要するに、明朝風の出版活動が我が国に置いて活発に展開された産物 ということで 新聞活字の
明朝体もこの時の名残だということである.。
その後も 原稿用紙は、頼山陽が『日本外史』を記すのに用いた升目様の用紙であったとか、
400字詰様式の起源はやれなんだとか、あるようだ。
一字一字を区切った用紙は漢文を記す為に、適したものと深い関係があろう。
明治になってからは 活版印刷が一般的になる中で、新聞・雑誌などに原稿を掲載する際、
字数が正確に計れることが 最重要視されたことも関係する。
書かれたものの 分量の単位として原稿用紙換算が利用されている為か、日本語ワープロソフトには
原稿用紙のフォーマットがテンプレートとして入っている。  ネット検索をすると 
     原稿用紙のダウンロードができます!    の文字が溢れるように出てくる。


作家の丹羽文雄お気に入りの満寿屋の原稿用紙。 
大切な目と万年筆の保護に、永久保存の効く中性紙使用と説明書きにあり
書くために生まれてきたその書き味をぜひ一度お試しください、ともある。
洋紙の原稿用紙は相馬屋から というのは相馬屋源四郎商店 。
明治中期に和半紙だった原稿用紙を 尾崎紅葉の助言で洋紙にして売り出した。
夏目漱石、北原白秋、石川啄木、坪内逍遥といった文豪たちにご愛用頂きました、と言われては
末は 芥川賞か、直木賞。はたまた 本屋大賞か。使わずばなるまい。




名入れ百冊単位でお受けします!   原稿用紙
文士じゃあるまいし… 学校の作文の時間にはもったいねぇ。


勿論 銀座の伊東屋にも特製の原稿用紙はある。原稿用紙


利用者の便宜、製作者のこだわりなど さまざまな飾りやデザインで工夫が凝らされている 
原稿用紙。
好事家はどこにも居られるもので ○○紙店、××屋、と駆けずり回って いろいろと楽しむ。
原稿用紙を売る老舗店。どちらも 付近は文芸の香りを味わえる。
文士の利用した旅館、編集者と打ち合せに使った洋食堂のあと、わいわいと集まった飲み屋。
神楽坂の相馬屋までちょっと 用足しに行けばそんな気になれる。 か…  ?
矢来能楽堂で観能の節は御立ちよりも。   ただし 日曜は定休なり。




日曜の夕暮れ相馬屋 原稿用紙
投稿日 2009年04月03日 7:41:26
最終更新日 2009年04月03日 7:42:39
修正
2009年04月20日
                   桜蘂 La plume d’oie© 鵞毛庵 2007

花なくしてしおれどころ無益なり  
Sans la fleur l’évanescence serait sans objet

今年は東京でお花見に興じた庵主。その桜もすっかり散ってしまいましたが、その後、赤みがかったガクに残った蘂(しべ)を降らせ、どんどん緑の葉が茂ってゆきます。俳句の季語に「桜蘂降る」というのがありますが、散った蘂で赤くなっている地面に桜を最後まで愛でてやまない哀愁が感じられるものです。美しい花があってこその桜蘂。


桜蘂 花の雲の下花見客賑わう小金井公園

そして街はやがて新緑から万緑の季節へ。


桜蘂 La plume d’oie© 鵞毛庵 2007

高砂 松も色そい春ものどかに
Des pins la couleur profonde et du printemps la sérénité
投稿日 2009年04月20日 19:47:57
最終更新日 2009年04月20日 19:47:57
修正