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2006年12月01日
カテゴリ : [案内望遠鏡]
鵞毛庵が 親孝行をして 朝食後 パリの自宅へ親父殿を招いた。 東京の家から 西へ 西へ と上空を飛ぶ。  もののン拾秒で パリ自宅上空へ到着。  空から ご近所に挨拶をして お馴染の シャンゼリゼへ行き 店を覘き、 オペラ座やら なにやら立ち寄って 国外へ。
                           モスクワを越えて 東へ 東へ とカザフスタン共和国へ行く。

カザフスタン東部にある バルハシ湖の近くを丹念に巡る。
ソビエト連邦時代から 今に至るまで 軍事関連の地がある為か お目当ての場所には あまり近づけない。 それでも 寄ったり 引いたりして 湖の西半分は淡水、東半分は塩湖 という バルハシ湖付近を 行ったり来たりする。 親父殿 ロシアの捕虜として三年間 電気技師をしていた地である。  
書生時代の 丸七年を戦争に盗られたことになる。    

なおも 東へ 東へ。 行けども 行けども 同じような景色を見ながら 満州新京へ。
現在の吉林省長春へ着く。ここは終戦を迎え 捕虜となった処。 
ここまで来たのだからと一寸 大陸の思い出のあちこちを散策。  そして 海を越えて東京へ。

生まれ育った 本郷へ寄り、牛込矢来町の舞台 矢来能楽堂へも顔を出して、自宅へ帰る。

昭和23年 抑留解除になり カザフから品川に着くまで 丸ひと月。
昭和32年 能楽渡欧団の際は パリから南回りで丸?日。 平成18年 朝食後の一服は 15インチほどの画面で85年分を 一時間で駆け巡った。         

グーグル・アースで世界さんぽである。 
3D地球儀ソフト Google Earth http://earth.google.co.jp/  
2、3年 前の状況ではあるが 自宅前に停まる車も、歩く人もはっきり見ることが出来る。ひっそりと自室に篭って思い出の地を巡られよ!

今は兵役もなく 捕虜にも捕られず書生を勉められる。活字も、音も、映像も、溢れるように活用できる。
さて、さて、厳寒の地で電気技師をしていたほどに謡が謡えているか。


3D地球儀ソフト  Google Earth http://earth.google.co.jp/
投稿日 2006年12月02日 13:21:34
最終更新日 2006年12月02日 13:22:11
修正
2006年12月20日
   世阿弥のこの言葉を耳にしたことがある方は非常に多いと思う。世阿弥の言葉でこれほど人口に膾炙したものはない。だが、その本当の意味は殆ど誤解されて使われている。それは「初志貫徹」のような意味に解釈されているからである。世阿弥が言いたかったのは、「初心」とは「初めての経験」「未熟な演技」などを指すもので、「初志」を言っているのではない。世阿弥が言う「初心」とは恥ずべきものなのである。 

この言葉は「花鏡」の中の三か条の口伝で、
      
      是非初心忘るべからず
      時々の初心忘るべからず
      老後の初心忘るべからず

とある。
つまり、初心の頃の未熟な芸をこころして上達過程の判断材料にせよ、齢を重ねるごとに年相応の芸をひとつづつ忘れずに幅広い芸域を求めよ、老後に至っては老いるという至難を乗り越えてこれまでの経験を生かして芸力を極めよ、ということなのだ。

                        初心忘るべからず
              (c)La plume d'oie2005 鵞毛庵 「初心忘るべからず」 37cmx62cm 
                  BON OU MAUVAIS N'OUBLIEZ PAS VOS DEBUTS
                  N'OUBLIEZ PAS VOS DEBUTS DANS CHAQUE PERIODE
                  N'OUBLIEZ PAS VOS DEBUTS DANS LA VIEILLESSE

  
   
この作品の書体は二種類あるが、両方ともローマ時代の書体で、石などに刻まれていた御馴染みの大文字書体ローマン・キャピタルと違い、手書きのローマ草書体である。ポンペイの遺跡などにみられるもの。下地はローマン・キャピタルを柔かく崩したような行書風な形で、黒地に白抜きの書体は完璧な草書体で、綴りによって崩し方にも変化がさまざまで、書くのが楽しい。しかし難読。画像をそれぞれクリックして大きくしてご覧ください。

       初心忘るべからず         初心忘るべからず  

       ローマン・キャピタルの例 鵞毛庵撮影       (c)La plume d'oie2005 鵞毛庵  上記作品部分


  よくタレントやスポーツ選手などが「初心に返ってその気持ちを忘れずに、これからも一生懸命がんばりたいと思いマ〜ス」などと誇らしげに言っているのを耳にするたびに、おいおい、それは初心じゃなくて初志ですぜ、とつぶやく庵主である。
恥ずべきことを貫徹されては困りモノ。

さてはて、わたくし鵞毛庵自身は如何なりや...。 
 
  
投稿日 2006年12月20日 21:11:06
最終更新日 2006年12月20日 21:11:06
修正