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2008年03月12日
野守の鏡
カテゴリ : [三余堂月次]
観世九皐会三月定例能、月並に野守が出た。

山伏が大和の春日野の池にたどり着く。
出会った野守の老人に尋ねると、野守たちが 鏡の代りにしているので 
野守の鏡 という名だと教える。
昔 昼は野守、夜は鬼神の姿となる鬼がいた。その鬼が持っていた鏡を野守だという。
山伏は、箸鷹の野守の鏡得てしがな …  という古歌を思い出す。
老人は、それもこの池を詠んだものであることを云う。
ある時、帝が鷹狩りの折 野守が水中に白斑の鷹の姿があることを教えた。
それは木の上にいた鷹の影が水に写っていたものだった。
そこで、 箸鷹の野守の鏡得てしがな 思い思わず外ながら見ん となる。 
はしたかの のもりのかがみ えてしがな おもいおもわず よそながらみん

雄略天皇鷹狩りの時という。

塚の中に姿を消した老人の野守は 夜になると鬼神となって現れた。
天上界から地獄の底までを映し出す大きな鏡を持って。
そして、大地を踏み破って去って行く。   という 話である。



野守というと 額田王の歌を思い起こされよう。
万葉集の中に 天皇の蒲生野に遊猟したまひし時に額田王の作りし歌 として

あかねさす紫野行き標野行き 野守は見ずや 君が袖振る  
とある。 後の天武天皇、大海人皇子の歌に額田王が 返した歌である。

井上靖の小説 額田王 等々で そこのいきさつは お読み頂きたいが …
標野は 立入禁止の標を立てた野のことで、天皇の直轄地。
故に野を守る野守が 番人としている訳だ。 
古今和歌集の  
春日野の飛火の野守 出でて見よ 今いく日ありて若菜摘みてむ を能 野守 では シテの老野守が 
春日野の飛ぶ火の野守いでで見れば 今幾程ぞ 若菜摘む と謡う

野のことは 何でも 野守のおじぃさんに聞けば ご存じ!
野は 奈良東方、春日野の飛火野。
春日野は興福寺、東大寺、春日大社などの広大な範囲になる。 
その中でも春日大社参道の南側を特に 飛火野 とぶひの という。
そこの野守は 夜になると天上地獄の赤裸々な姿をご存じ!
天上、地獄、つまり宇宙の真実を映し出す鏡を持ってる おじぃさん? 
いやいや、眼光鋭き鬼神なり。が、この鬼神の私がこわけりゃ引っ込みますよ とも言う。
地獄案内をたっぷりしてくれる。 いろいろなものを見せ、解き明かしてくれる。


昨日 スペースシャトル エンデバー号が、日本時間午後3時28分に打上げ成功。
土井隆雄宇宙飛行士の手によって スペースシャトルのロボットアームの起動・点検など実施。
地上約400キロメートル上空に建設が進められている巨大な有人施設。 
国際宇宙ステーションの一部となる「きぼう」日本実験棟 を据付けるという訳だ。
「きぼう」は、宇宙飛行士が長期間活動することができる、日本では初めての有人施設となる。
3回に分けて、アメリカフロリダ州からスペースシャトルで打上げられるとのこと。
その第1回が昨日だった。

野守の鬼神は 大きな鏡でセンコクゴショウチ だったろう。



奈良市観光センターhttp://www.narashikanko.jp/      
宇宙航空研究開発機構http://kibo.jaxa.jp/index.html    
投稿日 2008年03月14日 23:39:37
最終更新日 2008年03月14日 23:40:00
修正